世界共通語「ESG/SDGs」

「SMTAMのESG」

自然資本 ― 新たな環境に関する枠組みのはなし

提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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自然資本とは

2023年の夏も観測史上最も暑い夏という報道があちらこちらで見られました。また、さらに暖冬を予想するニュースも伝えられ、このように私たちの生活にとっても環境問題が非常に身近な問題になってきたことを様々な場面で認識するようになりました。

さて、今回は数多ある環境にかかわる課題の中でも近年急速に関心を集めている自然資本について考えてみたいと思います。

まずは自然資本とは何なのかという点についてですが、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI) の定義では「水、土壌、大気、植物相、動物相等の地球の自然財産から構成される」とあります。また、世界経済フォーラム(WEF) のレポートでは、「世界のGDP総額の半分以上に相当する約44兆ドルが自然資本より生み出されている」と試算され、さらに、自然資本を有効活用することで「2030年までに年間約10兆ドル規模の付加価値が生まれ、約4億人に達する雇用創出効果の可能性がある」とも分析しています。つまり、自然資本とは我々にとっては、更なる経済成長の礎でもあると考えられるわけです。

企業活動に関する新たな情報開示フレームワーク

それでは、企業はどのようにして自然資本を活用しているのでしょうか。自然資本を利用した企業活動と考えれば水や土地の利用等が例にあがりますが、その一方、それらの活動がどの程度自然資本に影響を与えているかを評価することについては長年にわたって議論が進められており、現在検討が進められているのが、国際的なイニシアチブである自然資本関連財務情報タスクフォース(TNFD)です。

TNFDは民間企業や金融機関が自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価、開示するための活動を推進しており、世界的に活用が広がっている気候関連財務情報タスクフォース(TCFD) が提案したガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標という情報開示フレームワークをベースに自然資本のリスクや機会についてのフレームワークの研究を進め、すでに一部の日本企業も自社ビジネスによる自然資本への影響について発表しています。

私たち、三井住友トラスト・アセットマネジメントもTNFDに賛同し、「自然資本」を当社のスチュワードシップ活動推進の際の基軸とする12のマテリアリティの一つと位置づけ、日々の投資先企業宛のエンゲージメント活動を推進しています。また、さらに社会貢献のための具体的な取組として当社は東京都水道局の「みんなでつくる水源の森実施計画」に賛同し、山梨県甲州市の水道水源林の保全活動を2019年より進めています。

最後になりますが、自然資本の減少・劣化は、多くの産業にとり経済的損失を意味するだけでなく、新たなビジネス機会の減少・喪失を通じて企業価値に潜在的に影響を与えると言えます。

このため、TNFD等の国際イニシアチブによる取組等を通じて多くのステークホルダーが企業の自然資本の活用に強い関心を持ち、自然資本を考慮することが企業価値の形成に取り込まれるという循環がなされるように、我々も運用会社としての立場から企業やイニシアチブ団体との対話をこれまで以上に進め、企業価値の向上を目指してまいります。

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(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)

著者/ライター
阿由葉 真司
現在、三井住友トラスト・アセットマネジメントにて国内外の企業に対するESGの観点でエンゲージメントに携わる。シンクタンク、国際機関等で企業・政府向けに気候変動に係る金融や情報開示制度の調査や制度設計に携わる。東京大学博士(国際協力学)。東京大学大学院非常勤講師。
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