高配当銘柄、パフォーマンス良いのはいつ?
提供元:野村證券(FINTOS!編集部)
Q:高配当利回りの銘柄は権利確定日が集中している3月や9月に注目されますが、実際、パフォーマンスが良いのはいつなのでしょうか?
A:「ファクター効果」が高いのは1月
ファクター分析の結果を使ってお答えします。
ファクター分析とは、(1)銘柄集団を指標(今回の場合は配当利回り)の高低によりグループ分けし、(2)月初に指標の優れた(配当利回りの高い)グループを買い/指標が劣る(配当利回りが低い)グループを売った際の、(3)月末までのパフォーマンス、を計測するものです。ここでは以下、『配当利回りのファクター効果』と呼ばせていただきます。
配当利回りのファクター効果を月ごとに見てゆくと、ご指摘の通り3月の配当利回りのファクター効果は1年の中で実は最低です。9月も下から数えて5番目です。また3月、9月ともに配当利回りのファクター効果の符号はマイナス、すなわち配当利回りの低い銘柄のほうがパフォーマンスがよかったということになります。
配当利回りのファクター効果が、3月、9月ともに良くない理由としては、「個々の企業の配当額は3月、9月の配当取りが話題になるはるか以前から広く知られた情報であり、すでに株価に織り込まれていたため」と考えられます。なお、配当利回りのファクター効果がさえない理由のひとつに月末に配当落ちがあることも考えられますが、実際の配当利回りのファクター効果のマイナス幅は配当利回りで相殺するのが困難なほどのマイナス幅です。
一方、配当利回りのファクター効果が最も高いのは1月で、以下12月、8月と続きます。あくまでも仮説ですが、中間決算が確定し⇒通期業績の着地点が見え始め⇒その結果配当の信頼性も高まり始める、12月~1月ごろから株式市場は準備を進めているのかもしれません。
※ファクター効果は、『買い/売り』ポジションのリターンスプレッドのため、スプレッドがプラスでも、『買い』ポジションの絶対リターンがプラスとは限りません。また、毎月月初に『買い/売り』ポジションを組み、月末にポジションを解消する前提のため、配当の権利確定日が無い月には配当を受け取ることはできません。