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投資信託のトレンドが分かる!

2023年10月 投資信託の資金フロー

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2023年10月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「資金流入超を維持」

流入額は約8,240億円の資金流入超となり、前月(約9,950億円の流入超)からやや減少したものの、5ヵ月連続で流入超を維持した。

資産別の資金流入では、流入額の大きい順に、「外国株式型」(約4,280億円)、「国内株式型」(約2,700億円)、「エマージング株式型」(約820億円)となった。eMAXIS Slimシリーズを始めとする「外国株式型」パッシブファンドへの資金流入が継続した。

資産別の資金流出では、流出額の大きい順に、「国内債券型」(▲約170億円)、「不動産投信型」(▲約150億円)、「エマージング債券型」(▲約12億円)となった。国内債券は、日銀による金融政策修正観測で長期金利が上昇(債券価格は下落)したことが影響した。

個別ファンドでは、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ)(約860億円)が資金流入で1位となった。2位は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ)(約830億円)、「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」(インベスコ)(約730億円)が続いた。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「日米長期金利上昇や中東情勢不安などの影響で、全資産でリターンはマイナス」

10月の金融市場は、日米長期金利上昇や中東情勢不安などの影響で、内外株式・不動産投信を中心にすべての資産でリターンがマイナスとなった。

株式市場は米金融引き締めの長期化観測や日銀による金融政策修正観測を背景とした日米長期金利上昇、中東情勢不安を受けた投資家のリスク回避行動などの影響で、日米欧の主要株価は下落した。

米国株式は、月上旬は、複数のFRB高官が追加利上げに慎重な姿勢を見せたことで米長期金利の上昇が一服し、株価は上昇した。しかし、月中旬は、堅調な小売売上高や鉱工業生産などの経済指標を受けて、米金融引き締めの長期化観測が強まったことや、イスラム組織ハマスとイスラエルの紛争激化に伴う中東情勢の不安が重しとなり、株価は下落に転じた。

その後月下旬は、金利上昇は落ち着いたものの、7月~9月期の米企業決算発表において来期の業績予想が下方修正されるなど、企業業績の先行き不透明感が高まったことから、株価は月中旬の水準から小幅に下落した。

日本株式は、月上旬は、米金利同様、国内金利の上昇も一服感が見られたことで株価は上昇したが、月中旬からは堅調な経済指標を受けた米金利上昇に加え、月末の日銀の金融政策決定会合における金融政策修正観測や、中東情勢に対する不安の増加などが重しとなり、株価は下落に転じた。月末には金融政策の修正があったものの、金融緩和をなお継続するとしたことが市場に好感され、株価は小幅に反発した。

債券市場は、日米金利は上昇(債券価格は下落)、独金利は下落(債券価格は上昇)した。米国10年国債利回りは、月上旬は、堅調な米ISM製造業景気指数などの経済指標を受けて金利は上昇したが、その後複数のFRB高官が追加利上げに慎重な姿勢を見せたことで上昇幅は縮小した。しかし、月中旬以降も堅調な経済指標が相次ぎ、米金融引き締めの長期化観測が強まったことから、再び金利は上昇し、月末まで5%近辺で推移した。

日本10年国債利回りは、月末の金融政策決定会合において、金融政策が修正されるとの観測が強まったことから、金利は上昇基調で推移した。月末には、長期金利の上限としていた1%を目途とし、一定程度超えることを容認する金融政策へと修正されたことから、1%近辺まで上昇した。独10年国債利回りは、ECB理事会で11会合ぶりに利上げが見送られたことや、ユーロ圏の低調な経済指標を受けて、金利は低下した。

為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安が進行した。米ドル・円、ユーロ・円は、米金融引き締めの長期化観測や、中東情勢に対する不安の増加など、円高・円安それぞれをもたらす情報が錯綜したことで、おおむね横ばいの展開となった。他方、月末の日銀の金融政策決定会合において金融緩和姿勢が維持された後、金融政策正常化に対する過度な警戒感が後退し、いずれも円安が進行した。

これらを背景に、当月は前月同様、すべての資産でリターンがマイナスとなった。外貨建て資産については、外国為替市場で円安が進行したものの、円安による上昇率を超える価格の下落となった。株式・不動産投信などが日米長期金利上昇や中東情勢不安の影響を大きく受け下落した一方、リスク回避の金買いが強まったことから、金価格は上昇した。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数、設定額ともに前月より減少」

当月の新規設定は21本と前月(59本)から減少し、設定額も約640億円と前月(約1,900億円)から減少した。本数・設定額ともに水準としては小さかったものの、当月も限定追加型や新NISAを見据えた隔月決算型の新規設定が際立った。

新規設定ファンドのうち、設定額が最も多かったのは、「ドナルド・スミス米国ディープバリュー株式ファンドB」(三井住友DS)(約390億円)、次いで「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2023-10」(あおぞら)(約90億円)となった。

1位の「ドナルド・スミス米国ディープバリュー株式ファンドB」は、企業の本源的価値に比べて極めて割安(ディープバリュー)で投資魅力度が高いと判断される株式に投資する。割安度を見極める際には、「株価有形純資産倍率」という指標に着目する。バリュー投資に強みを持つドナルド・スミス・アンド・カンパニー(米・ニューヨーク)が実質的な運用を行う。

新規設定金額、設定本数の推移

※ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

最後に、10月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)

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