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2023年12月号「投資環境レポート」

バリュー相場が続いた日本株の今後

提供元:野村アセットマネジメント

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野村アセットマネジメントでは、毎月、世界経済や金融市場の注目点を投資環境レポートとしてお届けしています。

12月の投資の視点は、「バリュー相場が続いた日本株の今後」です。

<注目点>

●年初から好調を維持してきた日本株は、その一因としてバリュー株(割安株)が安定した推移をしてきた点が挙げられる。日本のバリュー株は特に米国長期金利との連動性が高く、今年はその金利環境の恩恵を大きく受けてきた。

●日本株とは対照的に、米国のバリュー株は米国長期金利のプラスの影響をほとんど得られてこなかった。背景には、少数の大型ハイテク株がグロース株(成長株)を押し上げてきたことが推察される。

●今後のマクロ経済環境を鑑みると、米国長期金利は低下基調となる可能性が高い。一方で日本のバリュー株は政策面や業績面などに下支えされた推移をしていく展開も考えられる。

米国長期金利に沿ったバリュー相場

年初から好調を維持してきた日本株は、その一因としてバリュー株(割安株)が安定した推移をしてきた点が挙げられる。

バリュー株とグロース株(成長株)を軸とした視点は、今年の株式市場にとり非常に重要なものとなっている。その背景には、主要国の金利の変動が拡大している点がある。

日本株はその中でも、クローバル株と比較してバリュー株・グロース株の格差が米国長期金利の変動の影響を受けやすい傾向がある。米国長期金利が上昇する場面ではバリュー株が相対的に強くなりやすく、低下する場面ではグロース株が相対的に強くなりやすい。長期金利が米国のものであるにも関わらず、その連動性は米国の株式市場よりも強いものとなっている(図1参照)。

今年は概して米国長期金利は上昇傾向にあり、日本のバリュー株はその恩恵を大きく受けてきた。11月末の時点では、年初来のMSCIの国・地域別指数で日本が+29%、MSCIワールドが+18%であったのに対し、その内バリュー株指数はそれぞれ+34%、+6%となった。こうした背景からも、今後の日本株市場のバリュー相場の持続性は、米国の金利環境が大きなカギを握っているといえるだろう。

なぜ米国の金利動向が重要か

米国長期金利は10月あたりから、雇用環境の軟化やそれに伴うインフレ率鈍化の期待を受け低下に転じてきた。そしてほぼ同時に日本のバリュー株もその動きに沿うように上値の重い推移に変化してきた。

日本のバリュー株がこれほどまで米国の金利環境との結びつきが強い背景には、バリュー株に属する銘柄のセクター構成がある(図2参照)。日本のバリュー株は、金融や自動車が占める割合が高く、それぞれが米国金利から直接的、または間接的に影響を受けやすい面を持っている。

金融株は、直接的な影響を受けるセクターといえる。長期金利の上昇が貸出金利と預金金利の差である利ざやを生み出し、業績改善の面で大きな恩恵を受けるためだ。したがって、金融株は米国の長期金利に限らず、日本の長期金利が上昇する場合にもプラスの影響を受けやすい。

一方、自動車株は金融株とは異なり、間接的な影響を受けるセクターといえる。近年の円/米ドル相場は、米国と日本の長期金利の差がそのまま反映されたような推移となっている(図3参照)。すなわち、米国と日本の長期金利の差が大きくなると、米ドル高・円安が進み、業績改善効果の大きい自動車株は特に有利となる。

これらの点から、米国の長期金利が上昇する場面では、日本の長期金利の動向により有利となるセクターは異なるにしても、バリュー株対グロース株の観点ではいずれもバリュー株が有利になりやすいのである。

一方の日本のグロース株は、米国長期金利の低下局面で有利となるセクターが多い。グロース株の代表格であるハイテク株は、国内外の長期金利が上昇する局面では概して弱く推移しやすい。株価に含まれる長期の成長期待が他のセクターと比べて大きく、金利上昇時はその部分が剥落しやすいと考えられるためだ。実際に、今年の株式市場は米国・日本共に米国の長期金利上昇時にはハイテク株が下落する場面が多く見られた。

また、グロース株にはハイテク株の他に、消費関連株などの内需・ディフェンシブ銘柄も多く含まれている点も重要である。米日間の金利格差の縮小に伴い円高が進む場合には、景気敏感株が振るわなくなると同時に内需・ディフェンシブ株などは相対的に強く推移しやすくなる。このように、グロース株には米国長期金利の低下局面で相対的に有利になるセクターが偏った構成になっている。

2023年12月号「投資環境レポート」の続きは、こちらからご覧ください。

当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。

(提供元:野村アセットマネジメント)

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