実はあの銘柄も手が届くように!?

「株式分割」のニュースが個人投資家にとってホットな理由

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最近、何やら株式分割のニュースをよく目にするなぁと思われる方も多いのではないでしょうか?

一例であげると、2023年12月13日に軽自動車でお馴染みのスズキ(7269)が、2024年4月1日付で1:4の株式分割を、2023年12月15日には「Dydo」ロゴのお茶や清涼飲料水でお馴染みのダイドーグループホールディングス(2590)が2024年1月21日付で1:2の株式分割を発表しました。

いずれの会社も、実は株式分割を行うのは上場後初のようです。でも、どうしてこのタイミングで株式分割を行うのでしょうか?両社が掲げたのは「より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図る」ということ。でも、どうして株式分割が投資家を増やすことにつながるの?今回はそんな素朴な疑問にお答えしていきます。

そもそも株式分割とは?

株式分割とは、既に発行されている株式を分割して株数を増やすことです。持っている株式の株数が増える!と言われると、なんだかラッキー?と思うかもしれないですが、株式分割が行われても、保有する株式全体の実質的価値に変化はありません。

例えば、1株2万円のA社の株式を100株持っていて、その株が1:5の割合で分割した場合、保有株式数は100株から500株に増えますが、理論上の株価も5分の1(2万円⇒4千円)になるため、保有している株式全体の価値は分割前でも分割後でも200万円で変わりません。

では、何故株式分割をするの?実は株式分割には次のメリットがあるんです。

株式分割のメリットとは?

実は、株式分割が行われると、投資単位(最低投資額)が小さくなるため、株式を購入しやすくなります。どういうことか、詳しく説明しましょう。

皆さんがインターネット等で「〇〇(会社名)+株価」と調べると、通常1株の値段が表示されますが、実は、日本の個別株式の場合、売買できるのは100株単位となっています。(但し、証券会社によっては1株から売買できるサービスを提供しているところもあります。)そのため、先ほどの例で見てみると、A社株式の価格が1株2万円だった場合、A社株式を1単元(100株)購入するために、最低必要な金額は200万円(2万円×100株)です。

一方で、A社株式について1株につき5株の株式分割が行われた場合、理論上の株価は5分の1となるため、1単元40万円(4千円×100株)からA社株式を購入できることになります。
一個人でいきなり200万円の個別株式をポン!と買える人はなかなかいないと思いますが、40万円ならちょっと頑張って買ってみようかな?と思う方もいるのではないでしょうか。また、それ以外でもメリットがあるんです。

株式分割でNISAに組み入れやすくなる?

それはずばり、NISAへの組み入れ。NISAとは、ある一定額の投資までは、投資で得た利益に通常かかる税金が非課税になる、という制度です。

2024年から始まったNISAの場合、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つの枠があり、つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円まで投資することができ、「成長投資枠」なら個別株式に投資することが可能です。(※ただし、監理・整理銘柄等一部の商品は対象外。)

例えば、Nintendo Switchでお馴染みの任天堂(7974)は2022年に1:10の株式分割を実施していますが、分割前の株価は1株5万円~6万円で推移していました。そのため、任天堂の株を買おうかなと思っても、なんと分割前の最低投資額は500万円以上!なかなか手が出るものではありませんし、仮に今でも株式分割を行っていなかったら、NISAを利用しての投資はできなかったでしょう。株式分割を行うことで理論上株価が10分の1になり、NISAの成長投資枠内での投資が可能となりました。

東京証券取引所の取組み

実は、東京証券取引所では、個人投資家が投資しやすい環境を整備するために、望ましい投資単位として50万円未満という水準を明示しています。また、上場内国株券の発行者に対して、望ましい投資単位の水準以上(50万円以上)で株式が売買されている場合には、事業年度経過後3か月以内に、50万円未満の水準へ移行するための、当該発行者の投資単位の引下げに関する考え方及び方針等を開示するよう義務付けています。

そういった東京証券取引所の取組や上場会社のご協力もあり、投資単位が50万円以上の会社の割合は、近年10%を下回る水準で推移しており、2023年9月末時点では、93.7%の会社が50万円未満となっています。

50万円、と聞くとまだ少し手の届きにくいイメージがありますが、実際の投資単位の分布状況は以下のとおりとなっています。こうして見ると、5万円未満、10万円未満で購入できる会社も意外とあるんだなと感じられる方もいるのではないでしょうか。

東京証券取引所ではさらに2022年10月に、投資単位が50万円以上の会社に対して、あらためて投資単位の引下げに係る検討について要請を行っています。(参考:「投資単位の引下げに係るご検討のお願い」(上場会社代表者あて通知)

要請後に株式分割を実施した会社はなんと70社近く!(参考:要請後に株式分割を決議した会社(2023年10月25日時点))明治ホールディングス(2269)、東京ディズニーリゾートの運営元であるオリエンタルランド(4661)、バンダイナムコホールディングス(7832)といった個人消費者に馴染みの深い会社も多く含まれています。

少し前に株価をチェックして、とても買えないと思っていた銘柄も、もしかしたら株式分割を実施して、投資しやすくなっているかも…?是非チェックしてみてくださいね。

(東証マネ部!編集部)

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