少子化対策に目配り

住宅ローン控除「2024年から縮小」の対象にならない人は?

提供元:Mocha(モカ)

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2024年度税制改正は、物価高への対応として「減税」を前面に打ち出したものになりました。今回の住宅関連の税制では、住宅ローン控除やリフォーム促進税制で子育て支援として育児世帯の負担減を考慮したものになっています。今回は、住宅ローン控除で2024年からの控除額縮小の対象にならない人を紹介します。

そもそも住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除は、一定の条件を満たしたマイホームを購入・リフォームするために住宅ローンを借りると、最大13年間にわたって年末のローン残高の0.7%を所得税や住民税から差し引く制度です。

住宅ローン控除を受けるための主な要件は

・自ら居住するための住宅
・床面積が50㎡以上(2024年末までに新築の建築確認を受けた新築住宅を取得する場合、合計所得金額1000万円以下に限り、床面積要件が40㎡以上)
・合計所得金額が2000万円以下
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・引き渡しまたは工事完了から6か月以内に入居
・1982年以降に新築または現行の耐震基準に適合

などがあります。

ここで注意したいのは、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅で住宅ローン控除を受けるためには、省エネ基準の適合が要件になったことです。

●住宅ローン控除の借入限度額

筆者作成

新築の省エネ基準に適合しない「その他の住宅」では、2023年までに建築確認を受けていない場合には住宅ローン控除を使えません。これは、地球温暖化ガスの排出量を削減することを目指したパリ協定から始まった取り組みです。省エネ住宅はイニシャルコストがかかりますが、中長期的には快適で健康面にやさしく、エネルギーコストが下がるという利点があります。

借入限度額は、省エネ性能に応じて金額が変わります。住宅の環境性能には、長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅があります。また、新築住宅か既存住宅(中古住宅)かどうかでも借入限度額が変わります。控除期間は、新築住宅で13年間、既存住宅で10年間になっています。

住宅ローン控除でも次元の異なる少子化対策

今回の税制改正では、次元の異なる少子化対策に目配りしたものになっています。

上の表で示したとおり、2024年からは住宅ローン控除の借入限度額が住宅の省エネ性能に応じて縮小されています。しかし、19歳未満の子どものいる世帯または夫婦のどちらかが40歳未満の世帯では、2024年入居であれば住宅ローン控除で借入限度額が縮小されません。

住宅取得は、教育資金、老後資金とともに人生の三大支出といわれ、ライフプランでも重要な位置を占めています。できれば広い空間でのびのびと子育てをしたいと思っても、現実は厳しいものがあります。

特にこの数年、原材料の価格高騰や人件費が上がっている影響で、住宅価格は3割ほど高くなったといわれています。教育費にも大きなお金がかかることを考えると、生涯に産む子どもの数を制限せざるを得ないという声もあります。このような背景から住宅面でも子育て支援の後押しをしようというわけです。

住宅リフォームも子育て向けを拡充

2024年税制改正では、住宅取得以外にも既存住宅の住宅改修(リフォーム)に関する優遇に子育て世帯向けを新設しています。今までリフォーム促進では耐震、バリアフリー、省エネ、三世代同居、長期優良住宅化に限っていました。これに加えて2024年は、居住環境をめぐる子育て支援として子育てに対応した住宅リフォームにかかる工事費用相当額の10%等を所得税から控除します。工事の限度額は250万円で、所得税の控除額は最大25万円になります。

事例として、転落防止の手すりの設置や対面式キッチンへの交換、防音性の高い床への交換など小さな子どもいっしょに暮らす空間の安全性や利便性を高める工事があげられます。

この子育て世帯向けのリフォームで控除対象になるのは、19歳未満の子どもがいる世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯です。この子育てに対応したリフォーム促進税制は、2024年の1年間の措置となっていますので、制度を利用したい場合には早めに検討するようにしましょう。

その他、省エネ住宅を建てる際には、ZEH化支援事業、子育てエコホーム支援事業、各自治体による補助金などがあり、既存住宅を購入する場合もZEH導入のためのリノベーションに補助が用意されています。

これからの住宅取得は、減税や補助金をうまく活用しながら住宅の資産価値を高める意識を持つ時代になってきているといえるでしょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 池田幸代]

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