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グロース一辺倒で大丈夫ですか!?機関投資家が本気でPBR改革に注目している理由

提供元:シンプレクス・アセット・マネジメント

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近年はグロース株優位が続いてきましたが、2023年は1年通してバリュー株優位でした。その背景には、東京証券取引所(以下「東証」)の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請等、企業が投資家との対話を受け入れる素地の醸成があります。
では2024年はどうなるのでしょうか。これまでのようにグロース株一辺倒のポートフォリオで良いのでしょうか?
今回は、2024年の株式市場で機関投資家が注目しているポイントをご紹介します。

グロース株、バリュー株とはどのような銘柄なのか

—以下引用—
引用元:グロース株とバリュー株の違いとは?指標を使った見分け方も紹介

グロース株(成長株)とは
グロース株とは、将来大きく株価が上昇すると期待されている株式銘柄のことです。そのため、成長株と呼ばれることもあります。
投資家からの期待が大きいため、理論上の企業価値よりも株価が高い点がグロース株の特徴です。会社規模や業種で一括りにはできませんが、一般的に新興企業やテック企業などがグロース株に該当する傾向にあります。また、需要の高い商品やサービスを取り扱う企業も、グロース株に該当する可能性が高いです。
なお、グロース株に注目して投資することをグロース株投資と呼びます。

バリュー株(割安株)とは
バリュー株とは、対象企業の株価が企業価値や経済状況と比較して割安と市場から評価されている株式銘柄のことです。そのため、割安株と呼ばれることもあります。
一般的に、知名度が低かったり、注目を集めていなかったりすることで株価が低い状態にある点が特徴です。
なお、バリュー株に注目した投資をバリュー株投資と呼びます。

—引用終わり—

グロース株、バリュー株に対する機関投資家と個人投資家の認識の違い

機関投資家と個人投資家で、投資したいグロース株の定義には違いがあるかもしれません。一定期間でのパフォーマンスが評価される機関投資家は、ペースを崩すことなく、順調に成長をしていくことを期待しているように思います。それに対して、個人投資家のなかには、より中長期のグロースを見据えた投資を行っているひともいるように思っています。

つまり、機関投資家には過熱気味と思えても、中長期な株価推移でみると結果的には最適な投資タイミングだった、ということもあるかと思います(その逆もあるでしょう)。

バリュー投資を行っていくうえでも、うまくいく場合とうまくいかない場合を考えたとき、投資銘柄の隠れたバリューが実際に発揮されていくかどうかが大事だと思います。

機関投資家の場合、企業とのミーティングのなかで企業がそういったバリューを引き出すような変化があるのかについて日々取材を行っているので、そういった変化を評価して投資判断をしていく傾向があるように思っています。

「グロース一辺倒で大丈夫ですか!?」~2024年、機関投資家はPBR改革に注目している~

現状のようにグロース株が勝ってきたのはこの10年程度であり、長らく「バリュー株が優位」が株式投資の常識でした。

今回、東証が本気でPBRをあげていこうという施策に取り組むなかで、バリューの優位性が高まる機運が高まっています。 2024年は東証のPBR改革が引き続きおこると考えています。

株価資本コスト経営の引き続きの開示充実が期待されます。これは「他社はこんなに出しているのに、うちはこれだけしかやっていないのか」という、日本人らしい同調圧力によるものもあると思っています。「PBR1倍割れは恥ずかしい、超えていて当たり前。」そういう世界が来る可能性があります。

そして、もう一つ。東証にはたくさんの上場子会社がありますが、今回東証は年末にそれらの定義を広げて、従属上場子会社として多くの企業に情報開示の充実をもとめました。こういった企業のガバナンス改善も注目点のひとつであろうと思っています。

PBR改革の何がそれほどまでに注目されているのか~PBR改革と個人投資家の関係~

「東証のPBR改革は個人投資家に関係あるのですか?」と質問されることがあります。もちろん、個人投資家にも関係があります。

東証はPBR1倍割れの企業だけに株価・資本コスト経営の開示を求めているわけではなく、これをもとに投資家ともっと建設的な対話をしてほしいといっています。

企業価値を引き上げるために企業側がなにを考えてなにを発信しているのか、マーケットからの意見をより受け入れて力強く成長し評価をより集めることに今後はなると思います。

企業は本当に東証の要請を受け入れて努力するのか

東証による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」についての要請に基づき、現状プライム市場の49%、スタンダード市場の19%の企業が開示済み、もしくは検討中となっています。

この1年、企業はこの要請に対しどういったことをすべきかを喧々諤々と議論してきました。昨年の春先に要請があってから、いよいよ一年がたち、多くの企業がもうすぐ本決算を迎えます。

機関投資家のエンゲージメント活動と企業の対応

機関投資家は、IR担当者、あるいは役員と面談を行い、評価をあげるためのアイデアを共有しています(これを、「エンゲージメント」といいます)。

従属上場子会社の取り組みのように、大株主がそれでいいからと許される時代は終わろうとしています。エンゲージメント活動をしていくと、「そもそもそんなことがいけないとか、だめだとかは考えたことがなかった」というのが、企業から一番多く聞かれる反応です。「自己資本比率が高すぎるのではないか」「現金を持ちすぎでは」と聞いた時には、「安全経営のためであり、そういうことを真剣に考えてこなかった」といわれることも多いです。

それらに対して、真摯にどうあるべきかをアドバイスをするだけで、スピードの速い・遅いの違いはあるものの、企業は自身の在り方を考え、変わっていくと思います。もちろん、中には「絶対にそんな考えに従わないぞ」という企業もあるかもしれませんが、そういった企業も長い時間の中で少しずつ変わっていくでしょう。

PBR改革を活用した個人投資家が使える投資手法

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示をしている企業の場合は、マーケットはその取り組みをどのように評価するでしょうか。マーケットが気づいていない素晴らしい取り組みならば、その企業への投資を検討するべきかもしれません。

逆に非開示の場合は、今後開示の検討をする見込みはあるのか、あるいは検討した場合に考えられる還元変更の可能性について調査を行うとよいかもしれません。

(シンプレクス・アセット・マネジメント)

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