グローバル投資環境見通し

柔軟性の高いポートフォリオで嵐を乗り切り投資機会をつかむ

提供元:フランクリン・テンプルトン・ジャパン

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本記事は、フランクリン・テンプルトン・インスティテュート「Global Investment Outlook(2023年12月)」の翻訳版を抜粋・再構成したものです。

今回のグローバル投資環境見通しでは、フランクリン・テンプルトン・インスティテュートおよびフランクリン・テンプルトン傘下の各運用チームの2024年の展望や、各資産クラスにおける投資機会についての多様な見解をご紹介します。

柔軟性で嵐を乗り切る

投資は木に例えると理解しやすいかもしれません。時間をかけて育てれば、徐々にしかし確実に成長し、成木になれば、木陰や木の実、甘い果実などの恵みをもたらします。また、木の中には、逆境に耐える力が他の木よりも強いものもあります。強靭(レジリエント)であるには柔軟である必要があり、強風下では、幹の太い樫の木よりも、風にしなる柳の木がより有利と言えます。

私たちは、2024年のマーケットは多くの嵐に遭遇すると予想しており、2024年に待ち受けている嵐にレジリエンスを発揮するには、しなっても折れることのない柳の木のようなポートフォリオが最も適していると考えています。

最近の当社レポート「Quick Thoughts: Inflation—the final mile(インフレ-最後の1マイル)」では、米連邦準備制度理事会(FRB)が米国のインフレ率を目標まで引き下げようとする決意が、2024年の経済成長と企業収益の両方を軟化させる可能性が高い理由を論じました。

米国の金融政策と信用状況は、金利が上昇するに従い、2023年を通じて徐々に景気抑制的になってきたことから、2024年には経済活動は軟化し、失業率は上昇し、信用ひっ迫に陥る家計と企業が増加する可能性があるーすなわち、2024年は、経済成長の減速を予想しています。

2024年は、世界人口の41%に相当する40の国政選挙が予定されており、政治も混乱と不確実性をもたらす可能性があります。ロシア、インド、欧州連合(EU)、そして言うまでもなく米国で実施される選挙は、2020年代後半の世界情勢の行方を再形成する可能性が高いと言えるでしょう。

これらの国々の指導者が交代し、新たな立法路線がとられれば、その影響により、将来の財政支出の方針や世界貿易の流れの両方が大きく変わることになるでしょう。

米国の場合、2024年の大統領選後も政権与党と議会多数派が異なる「ねじれ議会」が続けば、党派間の対立により、重要法案の成立の余地はほとんどなくなると予想されます。しかし、1990年代および2010~2016年の経験を振り返ると、ねじれ議会は、連邦政府の歳出抑制につながり、対GDP比で見た財政赤字比率の低下をもたらす可能性があります。

共和党が政権と議会を「完全制覇」すれば、減税、あるいは2025年以降に失効予定の、トランプ前政権下の減税を(財政赤字の規模によって多少制限されるにしても)少なくとも延長する機会が生じ、エネルギーの探査・開発、公有地の民間利用などのセクターでは規制緩和の余地が広がり、金融や医療といった、時価総額の大きいセクターでは、官僚主義的手続きが軽減されるでしょう。

逆に、民主党が「完全制覇」すれば、「クリーンテクノロジー」やインフラ、教育、医療への公共投資の拡大につながると思われます。加えて、個人所得税や法人税の引き上げや、場合によっては、相続税の復活の可能性もあるでしょう。

ただし、概ねどのような選挙結果になったとしても、欧州や中東、極東で「平和の配当」が消滅したことを考慮すると、米国および世界の安全保障・防衛支出は増加する可能性が高いと思われます。

このような状況を踏まえると、投資ポートフォリオのレジリエンスの確保に重点を置くことは、必要とまでは言えないにせよ、正当な理由があると言えるでしょう。

ある程度は、より質の高い株式や社債を重視するような慣れ親しんだ戦略が必要ですが、重要なポイントは、直接利回りがピークに達した後に低下していく局面では、投資家は選択的にリスクテイクする準備が必要であることです。マーケットがミスプライシングしていると考えられる株式や債券、オルタナティブ資産に適切に分散投資することは、この困難な状況を乗り切る上で、特に重要であると思われます。

▶レポート『グローバル投資環境見通し―柔軟性の高いポートフォリオで嵐を乗り切り投資機会をつかむ』を読む

出発点

経済とマーケットについて警戒すべきとする当社の主張に困惑する方も多いかもしれません。結局のところ、2023年の間に世界の株式市場は2022年の下落から急速に回復しました。さらに最近では、金利がピークから低下するに従い、債券のパフォーマンスも改善しています。いずれの場合も、好調なパフォーマンスを主に牽引したのは、米国をはじめとする多くの国で、景気後退に陥ることなくインフレ率が低下するという、痛みを伴わないディスインフレが進行していることです。

ただし、資産はすでに足元の好材料はもちろん、今後さらに好材料が続くとの期待をも織り込んでいます。株価は業績予想を上回る水準に急騰し、バリュエーション全般を押し上げています。米10年債利回りは直近のピークから約100ベーシスポイント低下し、債券市場全体の利回りを押し下げています。好材料が織り込まれたときは、投資家はただ熱狂に流されるのではなく、注意を払う必要があります。

投資家の熱狂は、米国や世界経済が金融引き締めにもかかわらず成長を続けているという、別の形のレジリエンスにも起因しています。底堅い経済成長により、株式アナリストも先行きにより楽観的になっており、2024年の予想利益のコンセンサスが2桁台の増益率に上方修正されています。しかし、私たちは企業利益がこのような高ペースで拡大する可能性は低いと考えています。

転換点

経済の弱さを示す兆候は、労働市場で雇用の伸びの鈍化がみられるほか、設備投資動向や、家計消費の減速を伝えるマクロ経済指標や「大型小売店」のレポートに現れています。

当社レポート「Quick Thoughts: Quiet shifts in corporate debt may explain this year’s big economic surprise(今年の経済の大きなサプライズの背景に企業債務の静かな変化)」で指摘したように、米国および世界経済の金利上昇に対するレジリエンスは、多くの企業が低金利で資金を調達していたため、金利が上昇しても借り換えの必要がなかったことも一因となっています。

現在は銀行などの貸出基準も厳格化されており、いずれどこかの時点で、借入コストの上昇が需要軟化を引き起こすことが予想されます。懸念されるのは、こうした転換点が到来した際に、中央銀行の対応が遅れれば、ソフトランディングがより不安定なものになる可能性があることです。

投資家は、あらゆる資産クラスについて、注意する必要があります。経済と企業利益に関する私たちの成長見通しは、ボトムアップ・アナリストやマーケットが現在織り込んでいるものとは異なるものです。結局のところ、企業利益の伸びを示す最も信頼できる指標のひとつは実質GDP成長率です。

経済がマイナス成長に転じた場合、株価収益率(PER)の上昇に織り込まれているにせよ、企業アナリストの予測に反映されているにせよ、企業利益の加速が実現したことは過去に一度もなく(図表1)、私たちは、来年はこのリスクが増していると考えています。

しかし、このことは景気循環株にとどまりません。経済成長や企業業績が予想を下回り始めれば、信用スプレッドも拡大する可能性が高くなります。

当社は、2023年第4四半期に急落した債券利回りは、さらに低下する余地があるとみています。米国の高金利は他国通貨に対し米ドルを押し上げてきましたが、今後米ドルは下落に向かうと予想しています。

詳細は、レポート『グローバル投資環境見通し―柔軟性の高いポートフォリオで嵐を乗り切り投資機会をつかむ』をご参照ください。

● 当資料は説明資料としてフランクリン・テンプルトン(フランクリン・リソーシズ・インクとその傘下の関連会社を含みます。以下FT)が作成した資料を、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が翻訳した資料です。
● 当資料は、FTが各種データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。
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