新NISA 成長投資枠で個別銘柄への投資を考える
提供元:東海東京証券 NISAセンター
2024年1月から新しいNISA制度がスタートしました。2023年までのNISA制度と比較して大きく利便性が向上し、これからNISAを活用して投資デビューを考えている人も多いことと思います。
新しいNISA制度のポイントとして、年間投資枠が大幅に拡大し360万円(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)となったこと、非課税期間の恒久化、成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能となったこと等により、投資スタンスに合わせて様々な戦略が考えられるようになりました。
その中で今回は、成長投資枠を活用して配当利回りの高い銘柄(高配当銘柄)へ投資する魅力について、考察していきます。
成長投資枠で高配当銘柄を保有するメリット・デメリット
新NISAでは非課税期間が恒久化されたことで、成長投資枠で得られた利益は無期限で非課税にできます。この利益には、キャピタルゲイン(売却益)とインカムゲイン(配当金等の利益)の両方が含まれており、高配当銘柄を保有しているだけで、定期的に非課税で配当金を受け取れます。
例えば、配当利回り4%の銘柄を保有するケースを考えてみます(保有期間中配当金が変わらないという前提)。2023年までの一般NISAでは、非課税期間が5年間だったため、最大20%相当の配当金を受領することができましたが、成長投資枠では、10年、20年と配当を受け取ることができます。
仮に25年間配当を受け取ることができれば、累計で100%相当の配当金となり、株価が大きく下落したとしてもトータルリターンで見ればプラスとなる可能性が高くなります。
一般的に、配当利回りの高い企業は、成熟した企業や安定的な業種に属していることが多く、高配当銘柄への投資は、投資家にとって安定した利益をもたらす可能性が高いと言えます。
一方、デメリットとしては、高い配当を維持するために利益の一部を配当に充てるため、成長性が限定される(株価が伸び悩む)可能性や、業績に左右され減配となるケースが考えられます。高配当銘柄への投資は、安定した収入を求める投資家にとって魅力的な選択肢ですが、成長性の制約や減配リスクにも注意が必要です。
高配当銘柄選択のポイント
高配当銘柄を選ぶにあたっては、株価や配当利回り以外に以下4つのポイントを確認することが重要です。
1. 企業の財務状況の評価:企業の収益性、負債水準、キャッシュフローなどを分析し、安定した配当を支払えるかどうかを判断する必要があります。
2. 配当政策の評価:一部の企業は、安定した配当を提供することを重視しており、そのために配当利回りが高い場合があります。しかし、一時的な要因によって配当が減少する可能性もあるため、配当政策について慎重に評価する必要があります。
3. 成長見通しの評価:業績の持続的な成長や市場の需要の変化など、企業の成長に関する情報を収集し、将来の配当性向や利益成長の可能性を考慮する必要があります。
4. 銘柄の分散:投資全般に言えることですが、リスク分散のため複数銘柄に投資することが望ましいと言えます。異なる業種や地域(外国株)にも投資を行い、ポートフォリオを組んで運用することも重要な要素です。
これらのポイントを考慮しながら、配当利回りの高い株式への投資を行うことで、安定したキャッシュフローや成長の可能性を追求することができます。
成長投資枠で保有したい高配当銘柄の選び方
では実際、高配当銘柄を選ぶにはどのような手法が考えられるでしょうか。せっかく新NISAで非課税期間が恒久化されたのですから、中長期的に見て安定した配当金を支払っている企業に投資をしたいですね。
そこで、一つの参考として考えたいのが、日本経済新聞社が算出・公表している「日経累進高配当株指数」に採用された銘柄はいかがでしょうか。この指数は、2023年6月30日から公表され、国内企業の配当に着目した指数となっております。
具体的には、長期的に減配をせずに増配か配当を維持する「累進配当」という方針を掲げ、実績ベースで累進配当を10年以上続ける上場企業のうち、予想ベースの配当利回りが高い順に30銘柄で構成さています。
2024年1月15日現在での組み入れ銘柄は下図の通りになります。
業種も多岐に分かれており、全ての銘柄で配当利回りが3%以上となっています。皆さんも一度は聞いたことがあるような銘柄も含まれているのではないでしょうか。
また、上記銘柄の中でも、PBRが1倍を下回る企業に着目するというのも、面白いかもしれません。というのも、東京証券取引所は、PBRが1倍を下回っている企業に対し改善に向けた計画を示すよう方針を明らかにしています。株価上昇に向けた取り組みとして、今後具体的な取り組みが開示されれば、配当金と合わせ株価上昇も期待できます。
新NISAが始まり、これまで以上に投資戦略の幅が広まりました。インカムゲインとキャピタルゲイン両方を期待したい方は、成長投資枠を活用して高配当銘柄への投資を検討されてはいかがでしょうか。
(東海東京証券)