投資信託のトレンドが分かる!
2024年1月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2024年1月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「新しいNISA制度の開始に伴い、当月は大幅な資金流入超」
資金流出入額は約1兆1,830億円の流入超となり、前月(約1,850億円の流入超)から大幅な資金流入超となった。流入額が1兆円を超えたのは2022年12月以来13ヵ月ぶりである。
資産別の資金流入では、流入額の大きい順に、「外国株式型」(約9,530億円)、「エマージング株式型」(約1,390億円)、「国内株式型」(約1,010億円)となった。 2024年1月より新しいNISA制度が開始したことから、対象ファンドへ多額の資金が流入し、外国株式型は前月の約5倍の流入額となった。また、流入額全体の約7割がつみたて投資枠対象ファンドとなった。
資産別の資金流出では、流出額の大きい順に、「不動産投信型」(▲約460億円)、「その他」(▲約250億円)、「国内債券型」(▲約120億円)となった。不動産投信型は、米早期利下げ観測の高まりに伴い、直近反発を続けていたことから、利益確定による解約の動きが強まった可能性がある。
個別ファンドでは、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ)(約3,440億円)が資金流入で1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ)(約2,090億円)と、いずれも前月の水準から流入額が大幅に増加した。
主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「国内外の株式はハイテク株を中心に上昇」
1月の金融市場は、海外投資家による日本株買いや半導体関連株の上昇がプラスに寄与し、国内株式のリターンが最も高い結果となった。
株式市場は、米欧で早期利下げ観測への期待が後退したものの、ハイテク株を中心に株価は上昇した。月上旬の米国株式は、堅調な米経済指標などを受けて早期利下げ観測が後退し、まちまちの展開となった。月中旬から月下旬にかけては、米企業決算発表が本格化する中、好決算を期待したハイテク株を中心に買いが継続し、S&P500とNYダウはそれぞれ最高値を更新するなど株価は上昇した。
欧州株式は、月前半から月中旬において早期利下げ観測の後退や独実質GDPが低調な結果であったことなどから株価は下落した。月後半は、一部ハイテク企業の好決算がプラスに寄与し株価は上昇した。月前半の日本株式は、金融政策の正常化観測の後退に伴う長期金利の低下を受けて株価は上昇した。月中旬は、海外投資家による日本株買いや半導体関連株の上昇が株価を押し上げた。月後半は、日銀が金融政策決定会合にて政策金利の据え置きが決定したことから株価は上昇し、日経平均株価は一時33年11ヵ月ぶりの水準に到達した。
債券市場は、日米金利はおおむね横ばいとなった。米国10年国債利回りは、月前半から月中旬は早期利下げ観測が後退し金利は上昇した。その後、月末に開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)におけるパウエル議長の発言を受けて利下げ観測はさらに後退したが、米地銀の経営不安の再燃を受けて、おおむね月初の水準まで低下した。月前半の日本10年国債利回りは、金融政策の正常化観測が後退し金利は低下した。その後、月後半の日銀植田総裁の会見や展望レポートを受けて金融政策の正常化観測が再び強まり月初の水準まで上昇した。
為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安が進行した。月前半の米ドル・円は、日銀の金融政策の正常化観測が後退する一方で、米国では早期利下げ観測が後退したため、金融政策の違いから一時148円台まで円安が進行した。月後半は、日銀植田総裁の発言を受けて金融政策の正常化観測が強まり月末にかけてやや円高となったが、月初の水準から大幅に円安・ドル高が進行した。ユーロ・円は、欧州で早期利下げ観測が後退したことから、高水準の政策金利が維持されるとの見方から、一時161円台まで円安・ユーロ高が進行した。
これらを背景に、当月は主に国内外の株式のリターンがプラスとなった。日本は金融政策の正常化観測が強まり、米欧では早期利下げ観測が後退したものの、半導体関連株を中心にハイテク株が上昇したことや外国為替市場で円安が進行したことがプラスに寄与し、株価を押し上げる結果となった。
パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定本数、設定額ともに前月から減少」
当月の新規設定は38本と前月(44本)から減少し、設定額も約790億円と前月(約960億円)から減少した。
新規設定ファンドのうち、設定額が最も多かったのは、「野村HD社債/システマティック・グローバル・マクロ戦略2401」(T&Dアセット)(約350億円)、次いで「フィデリティ・日本割安成長株投信」(フィデリティ)(約160億円)となった。1位の野村HD社債/システマティック・グローバル・マクロ戦略2401は、信託期間が約8年間の単位型投資信託である。野村ホールディングス社債の固定クーポンとフィデリティ・システマティック・グローバル・マクロ戦略指数の累積収益率により決定される実績連動収益を獲得することを目指す。
新規設定金額、設定本数の推移
最後に、1月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)