アクティブETFの開拓者に聞く

【後編】日興アセットマネジメントが「アクティブETF」プラットフォームを使って実現する新戦略

【日興AM】「ETF」は投資家と運用会社が同じ目標を目指していく商品

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2023年10月5日に上場されたETF「上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)(2093)」は、特定の指数に連動しない。しかし、アクティブETFのようなリスクを取るわけではなく、「残存期間2年以下の米国国債に投資する」というルールのもと、パッシブ運用(指標に則った運用)を行う。

前編では、日興アセットマネジメントETF事業本部の花村憲治さんに、「上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)」を上場した理由や商品としての特徴を伺った。後編では、現在の利用状況や日本のETF市場の変化について、聞いていこう。

「資産の一部を外貨に換える」が手軽にできるETF

――「上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)」が上場されて半年が経ちますが、反響はいかがですか?

「個人投資家の皆さんの声はSNSなどを通じてチェックしていますが、好意的な評価をいただいているように感じます。特にETFに関心を持っている方はコストもしっかり見ていることが多いため、信託報酬0.066%(税込)というところを評価していただいています」

――個人投資家からの支持も厚いんですね。純資産総額も伸びていますか?

「ここまで数十億~150億円程度で推移しており、当初からいい形で増減を繰り返しています。上場初日から活発に取引されていたので、低コストに加え、アクティブETFプラットフォームを利用したことや円を米ドルに換えるというコンセプトも評価されたのではないかと思います。

為替レートが動いた日にも、取引所を介した小口のやり取りが多く発生しているので、個人投資家が為替の変化に合わせて活用してくれているのだろうと感じています。個人投資家にとって債券型ファンドは馴染みが薄いと思いますが、過去のETFと比べても活発に取引されているので、いい効果を生み出せたのではないかという感触を得ています」

――既に資産形成に取り入れている方もいると思いますが、改めて個人投資家には「上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)」を、どのように活用してほしいと考えていますか?

「日本の個人投資家の多くは、日本の会社で働き、日本円で給与をもらい、日本円で住宅などを購入していると思います。結果として円に投資していることになり、円安になった場合に資産の価値が相対的に下がってしまうのです。いままさに円安の状態が続き、実感している方も多いと思います。

このような状況を乗り切るポイントは、米ドルをはじめとする外貨建ての資産に投資して保有しておくことです。『上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)』であれば、リスクやコストを抑えながら、手軽に米ドル建て資産への投資ができます。『新しいNISA』の『成長投資枠』でも使えるので、ぜひ資産形成のひとつに取り入れてほしいですね」

――日本で生活していると、円以外の通貨に触れる機会はほとんどないですもんね。

「そうですよね。円高の局面もあれば、米国経済を中心としたドル経済圏が盛り上がり円安になる時期もあります。『上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)』で米ドル建て資産への投資を経験していただくと、資産の増加を感じてもらえるのではないかと思います。『新しいNISA』で長く保有していただくことで、より実感しやすくなるとともに、分配金や売却益といった利益を非課税で受け取れるというメリットもあります」

着実に高まっているETFに対する“期待”

――アクティブETFの解禁によって組成できるETFの幅が広がり、投資家の選択肢も増えていきそうですが、現在の日本のETF市場はどのような状況にあると見ていますか?

「まだまだ黎明期から脱していないと思っています。だからこそ、市場全体でさまざまなETFを生み出しながら、切磋琢磨して、盛り上げていけたらと思っています。

特に個人投資家のETF活用は、これからの段階にあるといえます。日本のETFの保有者はまだまだ機関投資家が中心です」

――機関投資家のETF活用は進んでいる印象がありますが、なぜ個人投資家にはなかなか浸透しないのでしょうか?

「私の見解ではありますが、フラグシップ的な大ヒット商品が出ていないからだと思います。ETF市場が盛り上がっているアメリカには、数十兆円規模のロングヒット商品がいくつもあります。そのくらいのインパクトが必要なのかもしれません。

ただ、2023年から日本高配当株に投資するETFに個人投資家の資金が入ってきていますし、半導体などのテーマ型ETFの残高も増えているので、着実にETFに対する注目度が高まっているという肌感覚はあります」

――投資そのものの注目度が高まったことで、ETFの認知度や期待度も上がっているのかもしれませんね。さらにETFの活用を推進するため、日興アセットマネジメントとして進めていきたいことはありますか?

「“個人投資家向けのヒット商品”をテーマに掲げてETFの開発を進め、『こういうETFが欲しかった』といわれるものを世に出したいと思っています。当社にはグローバルな拠点がありますし、国内外でノウハウを蓄積してきた自負もあるので、それらを結集して革新的かつ先進的なETFをつくり、いいパフォーマンスを投資家の皆さんに提供することが一番だと考えています」

ETFは投資家にとっても運用会社にとっても理想的な商品

――個人投資家にとって、ETFはどのような点が魅力だと感じていますか?

「ETFは投資信託の一種ですが、個人投資家が機関投資家や海外投資家と同じ商品を売買できるところが特徴であり魅力だと思います。『現状だとまだ投資するには早い』と感じるようなテーマで組成されたETFがあったとしても、機関投資家などのプロが先に資金を投入して、好きなタイミングで売買できる状態に持っていってくれることが多いので、個人投資家は買いたいときに買えます。

また、投資家と運用会社が同じ方向を向いて運用できる商品ともいえます。運用会社は、投資家の皆さんがそのETFを保有していた期間に対して手数料をいただくので、できるだけ長く持っていただけるようにしっかり運用し、目標通りのパフォーマンスを実現する事を目指します。その結果、投資家にとっても運用会社にとっても理想的な商品となっていくのです。私たちが胸を張っておすすめしている商品を試してもらうことで、ETFの魅力を実感していただけると思います」

――投資家と運用会社が一緒になって、成長を目指していけるところが魅力ですよね。

「特定の誰かに利益が偏らない構造も、ETFの優れている点です。運用会社、指数算出業者、取引所など、様々なビジネス関係者が少しずつ利益を分ける形になっているので、1カ所が利益を独占することで競争がなくなるといったことが起こりにくく、投資家のニーズに合う商品が生まれやすいのです。この構造があるから、海外の市場で爆発的に残高が伸びているのだと考えられます。

個人投資家の皆さんにETFの特徴や魅力を知ってもらうことができたら、市場が盛り上がり、さらに活用しやすい商品になっていくと思います」

ETFの新たな魅力に気付かせてくれた「上場Tracers 米国債0-2年ラダー(為替ヘッジなし)」と日興アセットマネジメント。米ドルを持つようなイメージで、活用してみるのもいいだろう。


(取材・文/有竹亮介(verb) 撮影/森カズシゲ)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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