ヨーロッパの株価指数にはどのようなものがある?4つの指数を紹介

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ヨーロッパ諸国には、STOXX・FTSE100・CAC40などの株価指数があります。それぞれ構成銘柄が異なるため、参考にする際は使い分けることが大切です。本記事では、ヨーロッパの4つの株価指数と、関連する証券取引所について紹介します。

ヨーロッパと日本の株価の関係

ヨーロッパ全体のGDPが世界のGDPに占める割合は大きく、ヨーロッパの動向が世界経済や世界経済に影響を与えることがあります。また、ヨーロッパからの資金が日本の株式市場に流入する割合も少なくありません。

そこで、投資やビジネスにおいて、日本の株価に影響を与えうるヨーロッパ諸国の株価指数などを日々チェックすることが大切です。ここから、ヨーロッパを代表する4つの株価指数(「ユーロ・ストックス50」「FTSE100」「CAC40」「DAX40)」)について、詳しく解説します。

ユーロ圏を対象とする「ユーロ・ストックス50」

ユーロ・ストックス50とは、STOXX社が算出するユーロ圏の株式市場を対象とした株価指数です。ユーロ圏やSTOXX社の概要を説明してから、ユーロストックス50の特徴を紹介します。

ユーロ圏とは

ユーロ・ストックス50が対象とするユーロ圏とは、EU(欧州連合)に加盟している国のうち、欧州統一通貨である「ユーロ」を導入している国々で形成される経済圏のことです。EUに加盟する国(27か国)のうち、20か国がユーロを導入しています。

ユーロ圏で中央銀行としての役割を果たすのが、ECB(欧州中央銀行)です。ECBについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

ECB(欧州中央銀行)とは?役割・組織概要・歴史について解説

STOXXとは

ユーロ・ストックス50を算出するSTOXX(ストックス)社とは、ヨーロッパの指数開発・算出会社です。

元々、STOXXはドイツ証券取引所とスイス証券取引所(SIX Swiss Exchange、SWX)の合弁企業として、1997年に設立されました。その後、2015年にスイス証券取引所から株式を取得したことに伴い、ドイツ証券取引所が単独親会社となっています。

ユーロ・ストックス50の特徴

ユーロ・ストックス50は、流動性の高い50銘柄で構成される株価指数である点が特徴です。ユーロ圏主要12か国が対象ですが、フランス・ドイツ・スペイン・イタリアの4か国で全体の8割以上を占めています。

株価指数の計算方法は、時価総額加重平均型(時価総額の大きさに比例して銘柄の占める割合を決める方法)です。また、基準日(1991年12月31日)における値を1,000として算出されています。

近年のユーロ圏における重要な出来事

EU加盟国のクロアチアは、元々クーナ貨を採用していましたが、2023年1月1日よりユーロ貨を自国通貨として導入することになりました。クロアチアは観光業が盛んな国のため、今後ユーロ圏内の往来がますます活発になることが予想されます。

なお、以前よりユーロ導入を目指すルーマニアは、政府目標で2024年を導入目標に掲げていました。しかし、導入に必要な目標を達成できず、先送りとされているのが現状です。

英国の代表的な株価指数「FTSE100」

FTSE100とは、英国にあるロンドン証券取引所(LSE)の株価指数のことです。最初にロンドン証券取引所の概要を説明してから、FTSE100の特徴や英国における経済の重要な出来事を紹介します。

ロンドン証券取引所とは

ロンドン証券取引所とは、1801年に正式に発足した英国の歴史ある証券取引所で、金融市場のインフラを提供するLSEG(ロンドン証券取引所グループ)の一員です。自国通貨(ポンド)以外でも決済可能(米ドル・日本円・ユーロなど)で、国際的な金融取引の中心的存在として位置づけられています。

また、英国企業以外の海外企業(日本企業を含む)も多く上場している点も、ロンドン証券取引所の特徴です。

FTSE100の特徴

FTSEは、ロンドン証券取引所に上場する企業のうち、上場する時価総額が大きい優良企業100社で構成されている点が特徴です。時価総額加重型で、基準日(1983年12月31日)における値を1,000として計算しています。

FTSE100の「FTSE」とは、LSEGの一員であるFTSE Russell社によって算出されていることが由来です。FTSE Russell社では、他にもFTSE100に含まれない中型株で構成されたFTSE250、FTSE100とFTSE250の構成銘柄で作成したFTSE350なども発表しています。

近年の英国における経済の重要な出来事

英国における近年の重要な出来事のひとつが、EU離脱です。

英国は、2016年6月における国民投票でのEU離脱選択を経て、2020年1月にEUを離脱しました。EU離脱後、英国はEU出身労働者の減少に伴う人手不足などに悩まされています。

なお、2022年における英国のGDPは、インドについで世界第6位でした。

フランスの代表的な株価指数「CAC40」

CAC40とは、フランスのユーロネクスト・パリの株価指数のことです。ユーロネクストの概要を説明してから、CAC40の特徴やフランスにおける経済の重要な出来事を紹介します。

ユーロネクストとは

ユーロネクストとは、2000年にユーロ圏の3つの証券取引所(アムステルダム証券取引所・ブリュッセル証券取引・パリ証券取引所)が合併して新たに誕生した証券取引所です。2007年には、ニューヨーク証券取引所との合併に伴い、NYSEユーロネクストとして生まれ変わりました。

その後、2013年に米国のインターコンチネンタル取引所(ICE)が、NYSEユーロネクストを買収した際、ICEはユーロネクストをスピンオフさせたため、新たに「ユーロネクスト」として、アムステルダム・ブリュッセル・パリの各取引所に上場されています。

CAC40の特徴

CAC40は、ユーロネクスト・パリ(旧:パリ証券取引所)に上場している銘柄のうち、時価総額・出来高上位40銘柄で構成されている点が特徴です。時価総額加重型で、基準日(1987年12月31日)における値を1,000として計算しています。

なお、CAC40の「CAC」は、Compagnie des Agents de Change(旧:フランス公認仲買人協会)に由来した言葉です。

近年のフランスにおける経済の重要な出来事

フランスでは、2021年に「フランス2030」を発表しています。フランス2030とは、海外に依存している部門において、自国やヨーロッパ域内への生産拠点の回帰を目指す国内投資計画のことです。

また、2024年7月からは、フランスの首都パリにおいて、夏季オリンピックの開催が予定されています。開催時の施設は主に既存のものや仮設のものを使うことで経費を削減し、フランス財政への打撃を抑える見通しです。

なお、2022年時点のフランスのGDPは、英国についで世界第7位でした。

ドイツの代表的な株価指数「DAX40」

DAX40とは、ドイツのフランクフルト証券取引所に上場する企業を対象とする株価指数のことです。フランクフルト証券取引所の概要を説明してから、DAX40の特徴やドイツにおける経済の重要な出来事を紹介します。

フランクフルト証券取引所とは

フランクフルト証券取引所とは、1585年に設立されたドイツの証券取引所です。STOXX社の親会社でもある、ドイツ証券取引所がフランクフルト証券取引所を運営しています。

フランクフルト証券取引所の特徴は、電子取引システムを通じた売買が多くの割合を占めている点です。また、製造業や金融業、製薬業など、ドイツを代表する会社の多くがフランクフルト証券取引所に上場しています。

DAX40の特徴

DAX40は、フランクフルト証券取引所に上場している銘柄のうち、時価総額や流動性が高い上位40銘柄で構成されている点が特徴です。時価総額加重型で、基準日(1987年12月30日)における値を1,000として計算しています。

1988年の算出開始以来、DAXの指数は30銘柄で構成されるDAX30でした。しかし、決済サービス会社の粉飾会計問題などをきっかけとして、2021年に業種・銘柄を広げたDAX40が誕生しています。

近年のドイツにおける経済の重要な出来事

2022年時点で、ドイツのGDPは世界第4位でしたが、翌2023年には名目GFPで日本を抜いて世界第3位になっています。主な要因は、円安ドル高が進みドル換算で日本のGDPが目減りしたこと、日本が低成長を続けている点などです。

一方で、ドイツ経済も決して盤石なわけではありません。エネルギー価格が高騰していることや内需の低迷などを理由に、2024年はマイナス成長となる可能性もあります。

投資はヨーロッパ各国の株価指数にも配慮する

投資では、日本やアメリカだけでなく、ヨーロッパの株価指数をチェックするとよいでしょう。なぜなら、ヨーロッパの経済が日本に大きな影響を与えることもあるためです。

ヨーロッパ各国の代表的な株価指数として、STOXX・FTSE100・CAC40・DAX40が挙げられます。それぞれの特徴を理解した上で、日々インターネットなどで確認してみましょう。

参考:THE WORLD BANK「GDP Ranking」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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