「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)より

【第3回】ペアローンに向いている世帯・不向きの世帯とは?

提供元:三井住友信託銀行/三井住友トラスト・資産のミライ研究所

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前回は、“令和の住宅ローンスタイル”について確認しました。今回は、借入金額について取り上げます。

世の中の人は住宅ローンをどれくらい借りている?

借入金額を確認するにあたって、まず単独ローン(住宅ローンの借入に際して、1人で借入れを行うケース)とペアローン(夫婦やパートナーと2人で借入れを行うケース)それぞれの割合を確認したところ、全年代では単独ローンの利用割合が68.3%と多数を占め、ペアローンの利用割合は10.8%にとどまりました【図表1】。

しかし年代別に確認してみると20代のペアローン利用率は16.5%、30代では18.6%と全年代のおよそ1.5倍の水準でした。不動産価格の高騰や共働き世帯の増加を背景に、若年世代を中心にペアローンの利用が高まっていることが伺える結果となりました。

【図表1】単独ローンとペアローンの利用比率

では、単独ローン、ペアローンそれぞれの借入金額について確認してみます。

まず、単独ローンの場合、全年代では最も多いのが2,000万円以上〜3,000万円未満の34.5%、次いで1,000万円以上〜2,000万円未満の28.7%で、借入金額の中央値はおよそ2,373万円でした【図表2】。

年代別に見ると、住宅の一次取得者が最も多い30代では、最も多いのは全年代同様2,000万円以上〜3,000万円未満の30.9%である一方、2番目に多いのは3,000万円以上〜4,000万円未満の30.4%で、中央値も2,858万円と全年代よりも500万円ほど多いことがわかりました。

※国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査報告書」より

【図表2】住宅ローン借入額(単独ローンの場合)

次に、ペアローンについて確認してみます。全年代で最も多いのは2,000万円以上〜3,000万円未満の31.5%、次いで3,000万円以上〜4,000万円未満の23.4%で、借入金額の中央値はおよそ2,833万円でした【図表3】。

先ほどと同様に30代をみると、最も多いのが3,000万円以上〜4,000万円未満の26.6%、2番目に多いのは2,000万円以上〜3,000万円未満と3,000万円以上〜4,000万円未満が同率の18.8%で、中央値は3,412万円でした。

【図表3】住宅ローン借入額(ペアローンの場合)

住宅ローンの借入形態によって、住宅ローンの当初借入金額に差が出るかについて確認をしたところ、いずれの年代においてもペアローンの方が単独ローンよりも当初借入金額が高額化していることが分かりました【図表4】。

新築分譲マンションの価格も継続的に上昇しているなど(【図表5】)不動産価格は高騰しており、“世帯として理想とする住まいを手に入れるために、夫婦・パートナー双方が力を合わせて借入れをする”といった取り組みも増えてきているものと思われます。

【図表4】住宅ローン借入額(中央値)比較

【図表5】マンション価格推移(2014年~2023年)

ペアローンに向いている世帯・不向きの世帯とは?

ペアローンは、

• 借入額が大きくできることで物件の選択肢が広がる
• 住宅ローン控除の要件を満たした場合、それぞれが住宅ローン控除の適用を受けることができる

などのメリットが期待できる一方、

• 「子育て」、「介護」、「転職」といったライフイベントによって、いずれかの収入が大きく減少した場合であっても、返済を継続できるか

という点を、長期の目線で十分に検討しておくことが望まれます。

例えば、将来においてペアを解消(離婚など)することになった場合の選択肢として、「住宅を売却する」と「所有を続ける」に大別できますが、購入した住宅が共有名義の場合、パートナー双方の「売却同意」が必要になります。片方が売却を拒否する場合は、売却することができません。売却に同意した場合でも、「物件を売却してローンを完済する」ことが可能であればよいですが、債務が残るケースでは返済が困難になることもあります。

こういった点も踏まえて、「ペアローン向きの世帯・不向きの世帯」を考察してみました。

ぺアローン向きの世帯の特徴

• 夫と妻のどちらも安定的で十分な収入がある
• ローン完済までは共働きの予定が立っている
• 今後ライフプランが大きく変わる予定がない
• 十分な生活防衛資金を確保できている

職種・資産状況・ライフプランが安定しており、万が一のトラブルにも対応できる可能性が高い世帯に向いています。

ペアローンに向いていない世帯の特徴

• 夫と妻のどちらか一方の収入が不安定である
• 今後ライフプランが大きく変わる予定がある
• 十分な生活防衛資金を確保できていない

ペアローンは、万が一のときの返済リスクが高い借入れのため、返済計画がしっかりと見通せない世帯には「ペアローンは不向き」だといえます。

「インフレ-ションの時代」を迎え、住宅価格が過去最高を更新している昨今、「ずっと2馬力が前提」の計画だけでなく「2馬力から1馬力への変更が生じても返済ができる借入額」で住まいの購入を検討すること、言い換えると「夢と希望の物件ファースト」ではなく「安定的な返済ファースト」で”持ち家”を考える、こんなスタンスが重要になってきていると考えています。

ここまでのコラムの内容に加え、より多くのデータをまとめた資産のミライ研究所のアンケート調査結果「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)より令和の”住まい”と住宅ローン事情(2024年)を資産のミライ研究所のHPに掲載しています。是非、ご覧ください。

(提供元:三井住友トラスト・資産のミライ研究所)

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