社会課題から始める日本株!記録的な人手不足に立ち向かう日本企業
日経平均株価は、2024年2月22日、34年ぶりに最高値を更新しましたが、企業の人手不足は33年ぶりの深刻さとなっています。
一方で、人手不足という課題を大きな投資テーマとして考えてみると、魅力的な企業を見つけるキッカケになります。
以下の図は日銀が公表する企業の雇用人員の過不足を示す雇用人員判断D.I.という統計であり、マイナス値であるほど企業が人手不足であることを示しています。
日本の生産年齢人口は減少していく見込み
既に広く知られていることですが、労働の中核的な担い手とされる「生産年齢人口」は減少していく傾向にあります。
女性やシニアも働き手となってきたが、人手不足は解消せず
日本では、生産年齢人口が減少する中、女性やシニアの労働参加も促されてきました。以下の図は女性(左図)と60歳以上(右図)の労働力率を示したもので、1990年に比べると女性とシニア層において、働いている人の割合は増加していることが伺えます。
しかし、女性とシニアの労働率の割合も高まってきていることから、以前にも増して、日本企業は人手を確保するための施策を打つことや生産性を向上させることの必要性に迫られているともいえます。
人手不足に打ち勝つ企業とは?
人手不足という課題に直面する日本企業ですが、その課題に対応するために必要な施策を打つ必要があるでしょう。
例えば、DXの導入による「生産性の向上」、「女性活躍の推進・共働き・共育てへの支援」及び従業員の健康保持・増進の取組という「人的資本への投資」を行っている企業は、十分な人手を確保することができ、持続的に企業価値を向上させる見込みがあると考えられるのではないでしょうか。
さて、東証は経産省と協働で「DX銘柄」、「健康経営銘柄」、「なでしこ銘柄」等を選定・公表しています。
人手不足というテーマから日本株を見た場合、これらの企業は、持続的な企業価値の向上が期待できる銘柄といえるかもしれません。
各テーマと銘柄群の概要
(1)生産性の向上…「DX銘柄」
「DX銘柄」は、東証に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業として選定された企業群です。
<直近の選定企業はこちら>
「デジタルトランスフォーメーション銘柄2024」の公表について
<DXについて、もっと知りたい方はこちらの記事もご参照ください!>
インフォグラフィック「企業の「DX」ってどんなもの? 」
(2)女性活躍…「なでしこ銘柄」
「なでしこ銘柄」は、東証の上場企業の中から、女性が働き続けるための環境整備を含め、女性活躍を積極的に進めているとして選定された企業群です。令和5年度からは「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた上場企業として「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」も選定されています。
<直近の選定企業はこちら>
令和5年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の公表について
(3)人的資本に対する投資…「健康経営銘柄」
健康経営とは、従業員等の健康保持・増進の取り組みが、将来的に企業の収益等を高める投資であるとの考えのもと、従業員等の健康管理を経営的な視点から考え、戦略的に実践することです。健康経営の推進は、従業員の活力や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績や企業価値の向上に繋がると期待されています。「健康経営銘柄」とは、東証に上場している企業の中から、健康経営の取り組みが特に優れているとして選定された企業群です。
<直近の選定企業はこちら>
「健康経営銘柄2024」の公表について
相対的に高い収益性(ROE)
では、各テーマの銘柄群について、企業の収益性を示す指標であるROE(自己資本利益率)の状況を確認してみましょう。
なお、各テーマの銘柄群は、直近で選定された「DX銘柄2024」・「令和5年度 なでしこ銘柄」・「健康経営銘柄2024」を基にしています。
各テーマの銘柄群のROEは相対的に高いことから、効率よく利益を稼いでいる銘柄群といえるかもしれません。
時価総額はどのように変動したか
各テーマの銘柄群について、その時価総額はこれまでどのように変動したのでしょうか。
以下の表は、各テーマの銘柄群において、2024年5月末時点の時価総額と1年前・5年前・10年前の時価総額を比較し、その増減率(%)を記載したものです(業種・銘柄コード順)。
【ご参考 テーマ別のETF】
東証では様々なテーマ別ETFが上場しています。今回の記事でスポットを当てた生産性の向上、人的資本への投資、女性活躍に関連したETFも上場していますので、ご参考ください!
1479:iFreeETF MSCI日本株人材設備投資指数
1480:NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信
1481:上場インデックスファンド日本経済貢献株
1483:iシェアーズ JPX/S&P 設備・人材投資 ETF
1484:One ETF JPX/S&P 設備・人材投資指数
1485:MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信
1652:iFreeETF MSCI日本株女性活躍指数(WIN)
2518:NEXT FUNDS MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)連動型上場投信
2626:グローバルX デジタル・イノベーション-日本株式 ETF
(東証マネ部!編集部)