円安と円高、海外旅行するならどちらがお得?賢く楽しむコツとは

提供元:Money Canvas

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新型コロナウイルス感染拡大によって需要が落ち込んでいた海外旅行ですが、徐々に回復の兆しを見せています。*1
ある旅行会社の推計によると、2024年のGW期間中の海外旅行者数は、2023年と比較して68%増の52万人となる見通しです。

一方で、2024年4月29日の東京外国為替市場では、1ドル=160円台まで円安ドル高が進行し、海外旅行への影響を懸念されている方もいるのでないでしょうか。*2

本コラムでは、円安・円高による海外旅行への影響や、円安の状態でも海外旅行を賢く楽しむ方法をご紹介します。

円安・円高ってどういうこと?

円安とは、海外の通貨と比べて円の価値が下がることです。
反対に、円高とは海外の通貨と比べて円の価値が上がることです。

例えば、日本人が旅行先で手元にある1万円をアメリカドルに両替するとします。為替相場が1ドル=100円であれば、1万円で100ドルに両替することが可能です。*3

しかし、1ドル=125円であれば、1万円で80ドルしか取得できません。
この時、1ドル=100円の時と比較して、同じ金額でより少ないドルしか取得できないため、円安ということになります。

一方で、為替相場が1ドル=80円の場合には、1万円で125ドル取得することができます。この時、1ドル=100円の時と比較して、同じ金額でより多くのドルを取得できるため、円高ということになります。

円安の原因や理由についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

海外旅行に行くなら円安・円高どちらが良い?

海外旅行で現地の通貨に両替する場合や現地での買い物を楽しむ場合など、お金を使うタイミングに為替が関係しています。コストを抑えたい場合には、同じ円でより多くの通貨を得られる円高の方がお得です。
また、現地でクレジットカードを利用する場合は、カード会社によって決済のタイミングが異なることや事務手数料がかかることがあるため注意が必要です。

反対に、現地の通貨を円に戻すときは、より多くの円を得られる円安時に換金するのがお得でしょう。

円安でも海外旅行を賢く楽しむ方法とは?

一般的には円高の方が海外旅行はお得ですが、近年の円安下でも海外旅行を楽しむには、どうすればよいのでしょうか。

日本から近い国への旅行を検討する

一つ目の方法は、日本から近い国を選択し、渡航費を安くすることです。

旅行会社の発表によると、2023年夏の人気旅行先として、韓国や台湾などのアジア圏が上位になりました。*4
日本から近い国や地域への旅行は、遠い地域と比較すると燃油サーチャージ分の費用を抑えることが可能です。

例えばANAの場合、2024年4月1日から2024年5月31日購入分について、日本から欧州や北米(ハワイ除く)、中東、オセアニアへ行く場合、燃油サーチャージは33,000円かかります。*5

一方で、韓国を除く東アジアへ行く際の燃油サーチャージは10,000円、韓国・ロシア(ウラジオストク)の場合は3,500円となっています。

このように、地理的に近い国や地域であれば、渡航費を抑えることが可能です。

クレジットカードを有効活用する

クレジットカードをメインで利用することで、現地通貨に両替する際の手数料を節約することができます。現地通貨に両替する場合、為替レートに追加で手数料がかかります。

しかし旅行先でキャッシュレスが進んでいれば、ほとんどの支払いをクレジットカードで済ませられるので、現地の通貨を用意する必要がなくなり、手数料分の支払いを削減できます。

さらに、ゴールドカードやプラチナカードと言ったランクの高いクレジットカードの場合、付帯サービスとして空港ラウンジを無料で利用できるものがあります。
こうした付帯サービスも活用することでお得に楽しむことができます。

外貨預金を活用する

外貨預金とは、米ドル・豪ドル・ユーロなどの外国通貨建てで預け入れる預金のことです。*6

円預金と比べて金利の高い外貨預金を行うことで、その分利息を受け取れますが、海外旅行の時には、預金している外貨預金を引き出して使うこともできます。

外貨預金を活用する場合には、タイミングによっては元本割れのリスクがあることや手数料がかかる等、注意が必要です。

その他の方法は?

頻繁に海外旅行に行く予定がある場合には、海外口座の開設を検討しても良いかもしれません。*7

海外口座とは、海外に本店がある銀行の口座のことです。外貨預金と異なり、現地でその地域の通貨をすぐ引き出せるため、海外での長期滞在時やその国に頻繁に行く場合には便利です。

さらに、年末年始やGW等を避けて、閑散期となるタイミングで旅行をすることも費用を抑えることにつながるでしょう。

円安・円高は国内旅行やインバウンド(訪日外国人旅行)にも影響するの?

日本を訪れる外国の旅行者にとっては、円安になると円より自国通貨の価値が相対的に高い状態にあるため、日本での買い物がしやすくなります。

実際、2023年7月から9月までの3ヵ月間で、円安等の要因により、インバウンドの国内消費額は1兆3,904億円と、四半期として過去最高を記録しました。*8

円安によって国内観光業は潤っていますが、観光地では観光客が押し寄せて地元住民の暮らし等に支障が出る「オーバーツーリズム」などの課題も顕在化しています。*9

例えば京都市では、観光客で混雑してしまい、一度に全員がバスに乗り込めないと言ったケースなどが報告されています。

また、東京では、都市部への旅行が急激に回復していることで、ホテルの満室が多く予約が取れなかったり、宿泊料金が値上がりしたりするケースが増えています。*10

円安によってインバウンド需要が増加することで、国内旅行にも影響が出る可能性があります。

まとめ

今回紹介したように、一般的に海外旅行がお得になるのは円高の状態の時と言えます。しかしながら、円安が急激に進行している状況でも、海外旅行を賢く楽しむ方法は多くあります。

円安時でも行きやすい国や地域を探しつつ、ご紹介した方法を参考に、海外旅行を楽しんでみてはいかがでしょうか。

本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意下さい。

出典
*1 日本経済新聞「GW海外旅行、コロナ前9割に回復 円安直撃でアジア人気」
*2 NHK「円相場 一時1ドル=150円台半ばまで円安進む 日銀の会合受け」
*3 日本銀行「円高、円安とは何ですか?」
*4 NHK「夏の旅行 国内コロナ前の水準に 円安で海外は?トレンドはリトリート?」
*5 ANA「燃油特別付加運賃/航空保険特別料金について」
*6 三菱UFJ銀行「外貨預金をはじめるには?仕組みやメリット、注意点も徹底解説!」
*7 三菱UFJ信託銀行「海外赴任や留学でも使える『海外口座』とは?」
*8 NHK「日本がリード!? 世界のインバウンド回復は?」
*9 NHK「日本各地で『オーバーツーリズム』が問題に 解決策はあるのか」
*10 NHK「東京のホテル宿泊料金高騰 いつまで高い?理由は?“旅行断念も”」

(Money Canvas)

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