学びのポイントは「実物大のシール」と「大人が好むデザイン」

くもん出版の「お金について学べるドリル」が“シールたっぷり”なワケ

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「新しいNISA」が始まったり、学習指導要領の改訂によって小学校から高校の授業で金融を取り扱う時間が増えたりと、お金に関する制度やシステムが日に日に変化しているいま。子どもと一緒にお金の学びを深めようと考えているパパやママは、多いのではないだろうか。

近年、就学前の幼児を対象にしたドリルが各社から出版されている。くもん出版の『シールたっぷりレッスン 5さいからできる おかね』は、タイトルにもある通り、シールを貼りながら学べる問題がたくさん収録され、楽しみながらお金の知識を身に付けられる内容になっている。

このドリルの企画・制作を担当したくもん出版 企画開発部の長野香子さんに、「シールたっぷり」というコンセプトを掲げた理由や子どもが楽しみながら学べる工夫について聞いた。

シールやカードで遊びながらお金に触れる経験

「くもん出版は、以前から『読み書き』『計算』という学びの基礎となる力を付けるドリルを展開していたのですが、これまで扱ってこなかった学習領域を、シールを貼るという遊びを通じて体験しながら親しめるドリルとして『シールたっぷりレッスン』シリーズを立ちあげることになりました。その第一弾として2022年12月に発売したなかのひとつが『5さいからできる おかね はじめて編』です」(長野さん・以下同)

第一弾には「おかね はじめて編」のほかに「えいご」「しぜんとかがく」「プログラミング」がある。また、2023年9月には第二弾として「おかね おかいもの編」「かたち」「よみとり」「ルールとマナー」も発売された。子どもたちが変化の多い社会を生きていくために必要な力を、楽しみながら身に付けられるように、という思いが込められているそう。

「特にお金に関する学習は以前からリクエストが多く、子どもたちにお金を使う体験をさせたいというパパやママの気持ちが伝わってきていました。お金の世界は1万円などの大きな数を扱うので、本来であれば小学校に入ってからの数字の知識がなければできない分野なのですが、『シールたっぷりレッスン』のコンセプトとあわせることで、就学前の子でも楽しみながらお金に馴染んでいけるのではないかと考えました」

『5さいからできる おかね』には、200枚を超えるシールに加え、お金カードも付いている。シールやカードの硬貨は実物大にこだわっているという。

「キャッシュレス決済が進み、子どもたちは実際にお金に触れる機会が少なくなっていますよね。硬貨や紙幣の金額の違いや品物の値段など、実際の物品とお金の関係を感じる場面が少なくなっているからこそ、お金カードを付けました。おうちの方とお店屋さんごっこなどをしながら、お金に馴染んでもらいたいと思っています」

「子どもが自主的に進められる問題」と「親子で取り組むワーク」

「5さいからできる おかね」は「はじめて編」「おかいもの編」の2冊が出版されている。「はじめて編」では硬貨や紙幣の種類から始まり、1種類の硬貨・紙幣で買い物をするところまで学ぶ内容となっている。「おかいもの編」では、異なる金額の硬貨や紙幣を組み合わせて買い物をするところまでを学ぶ。

「かなり緩やかなステップで丁寧にお金について学び、金融教育の土台をつくる内容にすることを心掛けました。第一弾の『はじめて編』は、1から100までの数字がわかれば自主的に取り組めるような内容になっています」

1000円や1万円といった大きな数字も扱うため、就学前の幼児でも理解できるよう、かなりシンプルな問題で構成されている。なかには、あえてお金には触れず数字に慣れていくような問題も。

「発売前に4~5歳の子どもたちに使ってもらい、つまずく箇所を修正しながら内容を固めていきました。お子さんによっては簡単と感じる内容かもしれませんが、楽しみながらサクサク進められる内容だと、途中で投げ出さずに継続できると思います。『はじめて編』『おかいもの編』と、続けて挑戦してほしいですね」

子どもが自主的に進められる問題の合間には、親子で一緒に取り組める問題も挟まれている。「やりとりワーク」と名付けられたもので、子どもに自分のお店を考えさせたり、紙幣のデザインをさせたり、お店での買い物に挑戦させたりと、さまざまな内容が用意されている。

「これからの社会で生きていくには、答えのない問いに取り組むことも大事だと考え、子どものクリエイティビティを引き出すような問題を収録しました。『やりとりワーク』を通じてお金と現実の世界がつながっていること、お金が社会を巡っていることにも気付いてもらえるような工夫も施しています。数字を扱わない問題もありますが、そこからお金や買い物への興味につながることを期待しています」

読者からは「おかいもの編」に収録されている「フリーマーケットでおかいもの」のページが好評とのこと。創造力や好奇心をくすぐるイラストだけでなく、現実的な価格設定もこだわったポイントなのだそう。

学習内容もデザインも評価され、多くの反響が寄せられているとのこと。

「パパやママから、『ドリルをやったことで、子どもがお金に興味を持ち始めた』という声をよくいただきます。私も当時5歳だった姪にドリルを渡したのですが、ページを進めていくうちにお金に興味が湧いたみたいで、自分で貯金箱をつくって見せてくれました」

長野さんは「『やりとりワーク』は子どもに考えさせるだけでなく、親も一緒に取り組み、コミュニケーションを取ってほしい」と、話す。

「ドリルをやって終わりにするのではなく、普段の生活のなかでお金に触れたり買い物に行ったりした際に『やりとりワークでやったことだね』と話すことで、生きていくために知っておくべきことなのだと子どもが気付くきっかけになるといいなと思っています。ドリルの各ページに『おうちのかたへ』という解説を載せているので、パパやママはその解説をヒントに子どもに声掛けしてみてください」

2024年9月に第三弾「おつり編」が登場

「5さいからできる おかね」は問題の内容や構成だけでなく、子どもっぽくなりすぎないデザインもポイントだ。

「書店で幼児教材を手に取るのはお子さん本人ではなくパパやママなので、大人の目を引くようなデザインを意識しました。中のページもデザイナーさんがグラフィカルかつシンプルにまとめてくれたおかげで、おしゃれな雰囲気になるだけでなく視認性が高まり、学習内容がわかりやすくなっています。色みなども、親子揃って楽しんでいただけると思います」

親子で一緒にドリルを通じてお金に触れることで、家族間でお金の話をすることのハードルも下がっていくだろう。

「当社では2016年に、商店街で売っている品物から100円で買える物を探すという内容の絵本『100円たんけん』を出したのですが、当時はまだ家族でお金の話をすることがタブー視されていた覚えがあります。しかし、ここ数年で、お金の話は避けるものではなく、むしろ小さい頃から子どもに教えることが大事だという認識に変わっているように感じます。『100円たんけん』もすごく支持をいただいて、10万部を超えました」

「5さいからできる おかね」も支持を集め、2024年9月には第三弾となる「おつり編」が出版される予定だ。

「『おつり編』というタイトルの通り、おつりを導き出す計算などが出てくる予定で、『5さいからできる おかね』の完結編となります。シールがたくさん付いているほうが子どもも楽しく学べるので、第一弾で204枚、第二弾で287枚だったシールが、第三弾では300枚を超えそうです(笑)。たくさんのシールを貼りながら、金額の異なる硬貨や紙幣を組み合わせてさまざまな価格の品物を買う練習をして、お買い物のルールや感覚をつかんでほしいなと思います」

遊びを通じて、生活に欠かせないお金に関する知識やルールを学べる「5さいからできる おかね」。まずは「はじめて編」から始めて、子どもと一緒にお金を使う楽しさを改めて考えてみてはいかがだろうか。

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
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