【前編】三井住友DSアセットマネジメントが機関投資家にも個人投資家にも届けたい「アクティブETF」

【三井住友DSAM】「高い配当を“継続”する銘柄」を組み入れたETFを上場

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2023年9月7日に東京証券取引所でアクティブETF(上場投資信託)の上場が解禁されてから、現在(2024年7月時点)までに11本のアクティブETFが上場されている。そのひとつが、三井住友DSアセットマネジメントの「SMDAM Active ETF 日本高配当株式(証券コード:2011)」

その名の通り、「配当」に着目した日本株投資を行うアクティブETFだ。ただし、単に配当利回りが高い銘柄を選定しているというわけではなく、独自の投資哲学にもとづいているようだ。

既に個人投資家からの注目も集まっている「SMDAM Active ETF 日本高配当株式」について、三井住友DSアセットマネジメント ソリューション営業部 法人マーケティングチームの南慶吾さんに聞いた。

「Be Active.」に新たなことにチャレンジする運用会社

――ETFについて伺う前に、まずは三井住友DSアセットマネジメントの特徴を教えてください。

「大きく3つの特徴があります。1つ目は、『Be Active.』というブランドを掲げ、明確にアクティブ運用商品を主軸に据えて国内外でビジネス展開を行っていることです。運用会社としてパッシブ運用商品や株・債券などの伝統資産、オルタナティブ資産など、広くラインナップを揃えていますが、そのなかでも特に注力し、経営リソースを投下しているのが自社運用のアクティブ運用商品です。

2つ目の特徴は、人材組織の多様性です。当社は、2019年4月に三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問が合併して発足しました。もととなった三井住友アセットマネジメントも5社、大和住銀投信投資顧問も3社が合併してできた会社で、さまざまな人材が集まっていることもあり、組織の多様性や合理的かつ公平な社内文化の醸成は早い段階で実現しています。運用会社に求められるスチュワードシップコードなどにおいても、プラスに寄与すると考えています。

3つ目は、新しいことにチャレンジする精神です。これまでも大手資産運用会社で初めてインターネット直販体制を構築する、日本の運用会社で初めてNY市場に日本株のアクティブETFを上場するといった挑戦を意欲的に行ってきました」

――「Be Active.」は商品だけでなく、社員の皆さんの取り組みも表しているといえそうですね。そのなかで、南さんはどのような業務を担当されているのでしょう?

「私はもともと大和住銀投信投資顧問におりまして、その頃から機関投資家営業を担当し、私募投信(特定の機関投資家のみを対象とした投資信託)の企画や営業を行ってきました。2019年に三井住友DSアセットマネジメントが発足してからも担当は変わっていませんが、同時にETFにも携わるようになりました」

――私募投信を担当していたとなると、ETFとの違いも感じたのではないですか?

「そうですね。私募投信も含めた投資信託と比べて、ETFは利便性が高いと感じます。取引所に上場されているので日中にリアルタイムで約定できますし、相対的にコストが低く、組み入れ銘柄が日次開示されているという違いがあります。

また、上場されているETFは個人投資家も売買できるので、これまで機関投資家営業を行ってきた我々としましては、いかに個人投資家に商品を発信していくかというマーケティング面での違いも感じましたね」

機関投資家にも個人投資家にも届く、日本高配当株式ETF

――ETFの利便性を感じるなかで、アクティブETFの上場解禁はどのように捉えましたか?

「アクティブETFの上場解禁の前から、機関投資家向けのETFのニーズの高まりを感じていたんです。先ほども話したようにETFには投資信託にはない利便性がありますし、機関投資家からすると会計上も取り扱いやすいというメリットがあります。そのためか、かつての私募投信と同じような内容のETFが出た際に、ETFに移行する機関投資家が、5~10年前と比べると増えていると感じます。

その状況を踏まえて、我々の部門でも私募投信だけでなく新たなETFを企画する土壌ができあがってきました。そのなかで、アクティブETFが解禁されたので、これまで以上に当社のアクティブ運用力とETFの利便性を兼ね備えた商品をつくれるのではないかと、期待が膨らみましたね」

――その第一弾として上場されたのが「SMDAM Active ETF 日本高配当株式」ですが、なぜ高配当株に着目されたのでしょう?

「アクティブETFをつくる際に、自信を持って機関投資家にも個人投資家にも提供できる投資戦略を議論した結果、高配当株だろうという結論に至りました。というのも、もともと私募投信でも類似の戦略を設定しており、機関投資家から幅広い支持を得ていたので、ETFでも同様の戦略を用いたら活用していただけるという確信があったのです。特に近年はコーポレートガバナンス・コードの改訂や『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の発表などを受けて、機関投資家のなかで株主還元、とりわけ高配当株への期待が高まっているので、外せないポイントだと捉えていました。

また、『新NISA』をきっかけに、個人投資家の間でも高配当株のニーズが高まっていることを感じていたところも大きく影響しています。機関投資家にも個人投資家にも届く戦略として、高配当株に着目したアクティブETFを上場しました」

組み入れ銘柄のポイントは「配当の“継続性”」

――「SMDAM Active ETF 日本高配当株式」で採用された投資戦略について、具体的に伺えますか?

「『SMDAM Active ETF 日本高配当株式』は単に配当利回りが高い銘柄を選ぶわけではなく、高い水準で配当を“継続”できる銘柄を選んで組み入れています。なぜかというと、足元の配当利回りが高かったとしても、減配してしまうと株価が下がり、最終的にトータルリターンが悪化してしまう可能性があるからです。高い配当を継続できることが重要になります」

――「高い水準の配当を継続できる銘柄」は、どのように選別しているのでしょう?

「ファンドマネージャー自らが株式を発行している企業を取材し、今後の経営・財務戦略の分析を行うボトムアップリサーチをベースに選定しています。企業の業績の動向や財務情報といった数字を見るだけでなく、内部留保の活用方針などを含めた今後の戦略を経営者やマネジメント層から直接ヒアリングすることが重要だと考えています。

配当利回りが高い銘柄も、業績が下がっていたり株主還元に対して消極的だったりする場合は、入れ替える可能性があります。また、高配当を継続できる銘柄を組み入れる際には、大型株だけでなく中小型株も含めた幅広い投資対象から選定することを意識しています」

――なぜ、中小型株も対象としているのですか?

「国内の大型高配当銘柄だけを対象にすると、大部分を自動車や金融、総合商社が占める形になってしまうからです。これらの銘柄は株式市場や為替の影響を受けやすく、値動きが大きくなりやすいというリスクがあります。

その点、中小型株も含めて高い配当を継続している銘柄を選んでいくと、建設や卸売、情報通信、サービスなど、内需の非製造業銘柄の組み入れ比率が高くなります。これらの銘柄は、大型株と比べて為替の影響を受けにくく、事業に対する投資も少ないので、業績が安定しやすく、継続的な配当も実現しやすいといえます。近年、株主還元に力を入れようとしている中小型株が増えていることも、『SMDAM Active ETF 日本高配当株式』にとってはプラスに働くと考えています。

また、業績は安定しているが老舗企業で市場から注目されていない銘柄が眠っていると考え、ボトムアップリサーチでさまざまな企業の状況を捉え、組み入れ銘柄を選定しています」

――企業の将来性も含めて、ベストな銘柄を探しているというわけですね。

「はい。現時点での配当利回りだけでなく、将来的にも配当を継続できるか、株主還元を重視していくかといった点を重視し、将来予測を行っています」

単に高い配当を出しているだけでなく、将来的に継続していくことを重視している「SMDAM Active ETF 日本高配当株式」。後編では、そんなETFに対する投資家の反応や日本のETF市場のこれからについて伺う。

(取材・文/有竹亮介 撮影/森カズシゲ)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
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