投信・ETFトレンド情報

投資信託のトレンドが分かる!

2024年7月 投資信託の資金フロー

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2024年7月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「前月を上回る、大幅な資金流入超」

資金流出入額は約1兆6,240億円の流入超となり、前月(約1兆2,690億円の流入超)を上回る、大幅な資金流入超となった。

資産別の資金流入では、流入額の大きい順に、「外国株式型」(約1兆2,270億円)、「エマージング株式型」(約1,990億円)、「国内株式型」(約1,490億円)となった。円高の影響で押し目買いが広がり、「外国株式型」(前月約1兆470億円)や「国内株式型」(前月▲約170億円)など、内外株式への流入額が増加した。

資産別の資金流出では、流出額の大きい順に、「不動産投信型」(▲約590億円)、「外国債券型」(▲約220億円)、「国内債券型」(▲約84億円)となった。当月は、日銀の早期利上げの観測の高まりにより、国内債券型や不動産投信型の資金流出超に影響したと考えられる。不動産投信型は13ヵ月連続で資金流出超となった。

個別ファンドでは、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ)(約2,240億円)が1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ)(約2,000億円)、次いで3位には「アライアンスB・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約1,680億円)がランクインした。流入上位ファンドの顔ぶれに大きな変化はなかった。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「海外株式が円ベースでは9ヵ月ぶりに下落」

7月の金融市場は、米国の長期金利低下の影響で海外リートのリターンがプラスとなった。一方、海外株式は、大幅な円高の影響により円ベースでは9ヵ月ぶりに下落した。

株式市場は、主要国を中心に上昇(円換算ベースでは下落)した。月前半の米国株式は、FRBによる早期利下げ観測が高まり、半導体関連株を中心に上昇した。その後、対中規制強化への懸念により、ハイテク関連株が下落する一方、景気敏感株は上昇した。月後半はFRB議長が9月利下げを示唆したことで下落幅を縮めるも、円高により円ベースでは大幅に下落した。

欧州株式は、月上旬は仏国民議会選挙の結果を受けてリスク回避の動きが和らぎ、小幅に上昇した。月中旬は中国の景気減速の影響が懸念され、下落した。月下旬は欧州長期金利が低下し、株価は下げ幅を縮めたが、大幅な円高により円ベースでは下落した。

日本株式は、月上旬は米国で早期利下げ観測が高まったことで投資家のリスク選好姿勢が強まり、半導体関連株を中心に上昇した。日経平均株価は史上初の4万2000円台に到達し、TOPIXとともに過去最高値を更新した。月中旬は米国の先端半導体を巡る対中規制強化への懸念や円高進行により、ハイテク関連株を中心に下落に転じ、日経平均株価は一時3万7000円台まで下落幅を拡大した。月下旬は国内企業の4-6月期決算発表本格化や日銀の金融政策決定会合を控えて市場は様子見姿勢となり、国内株式は下落幅を縮めた。

債券市場は、国内金利は横ばい、米国金利は低下した。米国10年国債利回りは、月前半は米大統領選でのトランプ氏の支持の高まりから、同氏の再選によるインフレ拡大が意識され上昇した後、雇用統計や消費者物価指数(CPI)が鈍化したことで反落した。月後半は再びトランプ氏優勢との見方から上昇した後、米連邦準備理事会(FRB) の9月の利下げ観測が高まり低下した。日本10年国債利回りは、月上旬は方向感の定まらない展開だった。月中旬は円高が進行したことにより利上げ観測が後退し、長期金利はやや低下した。月後半は海外金利につられて低下する局面もあったが、日銀の早期利上げ観測から上昇し、月間では横ばいとなった。

為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに大幅な円高となった。米ドル・円は、月前半は前月に続き日米金利差が意識され、円安・米ドル高の流れを引き継いだ。その後、米雇用統計やCPIの鈍化、政府・日銀による為替介入観測から円高・ドル安に反転した。月後半は日銀総裁の発言を受けて、一段と円高・ドル安が進行した。ユーロ・円は、月前半は仏国民議会選挙において、最終的に極右勢力の得票率が想定内の結果となったことから過度な警戒感が後退し、円安・ユーロ高となった。月後半は不透明なユーロ圏景況感や日銀の早期利上げ観測から、大きく円高・ユーロ安が進行した。

これらを背景に、当月はリートのリターンのみ小幅なプラスとなり、その他の資産は軒並みマイナスとなった。日銀は7月末の金融政策決定会合で利上げを実施し、米国でも9月の利下げ観測が高まっていることから大きく円高が進行している。その影響もあり、内外株式は下落した。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数、設定額ともに増加」

当月の新規設定は16本と前月(13本)から増加し、設定額も約570億円と前月(約270億円)から増加した。

新規設定ファンドのうち、設定額が最も多かったのは、「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-07」(あおぞら)(約220億円)、次いで「アジア半導体関連フォーカスファンド」(SBI岡三)(約150億円)となった。

1位のあおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-07は、世界の株式と債券に分散投資し、1年かけて株式の組入比率を6割程度まで段階的に引き上げるファンドであり、基準価額11,500円以上で安定運用への切り替えを行う。2位のアジア半導体関連フォーカスファンドは、ニューバーガー・バーマン・インベストメント・アドバイザーズ・エル・エル・シーが運用を行い、日本を含むアジア半導体関連企業の中から、ファンダメンタルズ分析等を通じて成長性や割安性の高い銘柄に投資する。

新規設定金額、設定本数の推移

※ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

最後に、7月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)

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