米利下げ局面における米国株の動向

提供元:野村證券(FINTOS!編集部)

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米国の金融政策と米国株の動向

(注)データは日次で、直近値は2024年8月21日。政策金利はFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標(レンジの上限)。○数字は利下げ局面で、うち数字の赤文字は景気後退と認定されたことを示す。5のケースではコロナ禍に見舞われた2020年以降は例外とし、2020年中に行われた2回の利下げは含まない。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

米国の利下げ開始は株価下落のシグナルではない

8月初旬の米国では重要統計が下振れると、市場の利下げ観測が一段と高まると共に株価が大きく下落しました。1990年以降の5回の利下げ局面入り前後の米国株の動向を改めて確認してみると(コロナ禍に見舞われた2020年入り後の2回の利下げは除く)、景気が底堅い中でインフレ鎮静化(図表の1の利下げ局面)や株価の不安定化(同5)、あるいは海外での経済ショック(同2)等に起因して行われた「予防的利下げ」においては、利下げ局面入り前後に米国株が大幅に調整した経験はありません。

一方で、ITバブル崩壊(同3)やサブプライムショック、世界金融危機(リーマンショック:同4)など、米国を発端とした金融ショックに直面したケースでは株価が急落し、FRB(米連邦準備理事会)は大規模な金融緩和を実施しました。また、5回の利下げ局面のうち景気後退に陥ったのは、米国発の金融ショックが生じた後者の2回(3と4)だけです。

株価動向を考えるうえでは利下げの背景にある経済状況に注目

現在のFRBの政策スタンスは95年7月以降の利下げ局面(同1)、あるいは2019年の利下げ局面(同5)に似ているのではないかと見られます。ケース1では、インフレが鎮静化したことを受け景気が堅調な中で利下げを行いました。ケース5は利上げを嫌気して株価が下落したことを受けて19年1月に利上げの打ち止めを宣言し、19年7月から3会合連続で「予防的利下げ」を実施しました。いずれも利下げ後の株価は堅調に推移しています。この点から株価の動向を考えるうえでは、利下げの背景にある経済状況こそが重要であると言えます。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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