米ドル円相場に金利差はどれぐらい効く?

提供元:野村證券(FINTOS!編集部)

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為替相場は、購買力平価、金利差、貿易収支などの影響を受けます。最近の米ドル円相場では、日米の金利差に注目することが多いと思います。

米ドル円相場と日米金利差(米国2年国債利回りー日本2年国債利回り)

(注1)データは日次で、直近値は2024年9月4日。
(注2)日米金利差は米国2年国債利回りー日本2年国債利回り。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

こちらの図は、日米の2年国債利回りの差、つまり米国の2年国債利回りマイナス日本の2年国債利回りを金利差とし、米ドル円相場と合わせて示しています。

足元ではおおむね、日米金利差と米ドル円相場は連動しています。2022年以降その連動性が強まっています。一方、1980年代後半や1990年代の多くの期間は連動性は強くないように見えます。

そこで、2種類のデータの関連の強さを示す相関係数で説明したいと思います。相関係数の値はマイナス1からプラス1の範囲の数字となります。プラス1に近づくと正の相関が強くなります。つまり日米の金利差拡大と円安米ドル高が起こりやすいことを意味します。マイナス1はその逆で、負の相関が強くなります。また、ゼロは相関が見られない、つまり、日米金利差は米ドル円相場に影響を及ぼしていないことになります。

日米金利差と米ドル円相場の相関係数の推移:最近は正の相関が強まる

(注1)米ドル円相場の月次リターンと日米金利差の前月末差(2、5、10年の米国国債利回りー日本国債利回り)の相関係数(期間は60ヶ月)。相関係数は2種類のデータの関連の強さを示し、値は-1から+1の範囲となり、+1に近づくと正の相関が強くなり、ゼロは相関が見られない。
(注2)1988年1月末から2024年8月末(5年国債は1991年1月末から、10年国債は1988年9月末から)。
(出所)日銀、LSEGより野村證券投資情報部作成

こちらの図は2年、5年、10年国債利回りの日米金利差と米ドル円相場の相関係数の推移を示しています。2022年以降相関係数が上昇しています。米ドル円相場に金利差がより強く効いていると言えます。

米ドル円相場は日米金利差に対する感応度が高く、米国の金利上昇時には円安米ドル高となることが多いと言われます。市場の関心が日米金融政策に集中していることを踏まえると、日米金利差が米ドル円相場に影響を及ぼす局面が当面見込まれます。

しかし、過去を振り返ると、相関係数は変動していることが判ります。注目材料は局面により変化することが多く、貿易収支やインフレなどの様々な材料を総合的に判断する必要があると言えるでしょう。

(野村證券投資情報部 服部 哲郎)

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