2024年に生まれ変わるNISA

「新NISAの認知・活用事情」より

新NISAの認知・利用状況は? その1

提供元:三井住友信託銀行/三井住友トラスト・資産のミライ研究所

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2022年11月に岸田内閣から発表された「資産所得倍増プラン」では、7つある柱のうち「第一の柱」として、「家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる NISA の抜本的拡充や恒久化」が打ち出されました。本プランでは、目標の一つとしてNISA口座数を当時の1,700万口座から、5年間で3,400万口座に倍増させる目標が掲げられ、その実現に向けて、2024年より抜本的制度拡充がなされた「新しいNISA制度」(以下、新NISA)がスタートしました。

では、新NISA制度が始まる前後で、NISA口座数はどのくらい伸びているのでしょうか。
2024年6月に金融庁が発表しているNISA利用状況調査によると、【図表1】のとおり、2023年12月末から2024年3月までの3か月で約186.8万口座伸び、2322.8万口座に増加しています。制度の拡充などを経て、NISA口座数は急速に伸びていることがわかります。

【図表1】 四半期ごとのNISA口座数の推移(2019年3月末~2024年3月末)

※2023年までのNISAは一般NISAとつみたてNISAの口座数の合計
(出所)金融庁HP「利用状況調査

では、世間の方々の「NISA」に対する認知度や利用状況、利用意向はどのようなものでしょうか。ここから、ミライ研が2024年1月末に実施したアンケート調査をもとにみていきます。

資産形成制度の認知度は新旧NISAがトップ

まず、「資産形成のための制度」としての認知度を確認してみました。1万人のアンケート回答者に「制度として知っているもの」を複数回答で選択いただいたところ、【図表2】のとおり、新旧NISA制度の認知度がトップとなりました。

資産形成の制度における認知度は、NISA制度がトップで、次いでiDeCo(個人型確定拠出年金)が続いています。一方で、どの年代においても「この中にはひとつもない」との回答が約4割弱存在し、認知度の格差がありそうなことがうかがえます。

【図表2】 「資産形成のための制度」の認知度(複数回答可)

※社員向け貯蓄(財形・社内預金),社員持ち株会,ストックオプション・株式報酬制度など(業務インセンティブとしてお金ではなく自社株式を与える制度),2023年までの旧NISA制度,2024年から開始の新NISA制度,個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ)),企業型DC(確定拠出年金),この中にはひとつもない, から複数回答
(出所)特に出所を示していない場合、ミライ研「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)よりミライ研作成

また、認知度と合わせて新NISAの利用状況も尋ねています。本調査が2024年1月であるため、実際に新NISAでの買い付けをスタートしていない方が含まれることを考慮する必要はありますが、調査時点での新NISA利用率は14.5%でした【図表3】。新NISA制度の「認知」と「利用」のギャップは相応にありそうなことがわかります。

【図表3】 新NISA制度を「知っている」「実際に利用している」割合のギャップ

新NISAの“利用者”と“利用意向がある人”を足し上げると、全体で3割を超える

では、新NISAを活用していない方における利用の「意向」はどうでしょうか。

同調査で、新NISAを活用していないと回答した9,360名に対し、「2024年から開始の新NISA制度を今後活用しますか」と聴取しています。すると、「活用する」「おそらく活用する」と答えた方は、「新NISAをすでに利用している」人数とほぼ同じ人数に上り、両者をあわせるとおよそ3割を超える水準になることがわかりました【図表4】。

さらに、新NISA未利用者のうち、今後の利用意向について「わからない」と答えている層が、どの年代も4割前後いることがわかりました。

【図表4】 新NISAの活用者割合と未利用者における活用意向

※5.0%未満はグラフ内表記省略

2024年のNISA制度の抜本的拡充を契機として、国民への新NISAの利用浸透は着実に進んでいるようです。また、現時点で新NISA未利用者においても、すでに利用意向がある方が相応にいることがわかりました。一方で、調査時点で新NISAを利用していない層のなかで、今後の利用意向に関して「わからない」と答えている層が約半数と最大勢力でした。

次回は、調査時点で新NISAを現在利用していない方のうち、新NISAに対して「利用意向がある」方、「利用するかどうかわからない」方、「利用意向がない」方に、どのような経験・意識の差があるのかみていきます。

(提供元:三井住友トラスト・資産のミライ研究所)

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