プラチナ投資の方法
提供元:ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(World Platinum Investment Council, WPIC)
サマリー
プラチナに投資するには、コインやインゴットなどプラチナ地金商品を購入する、オンラインの口座を通じて地金の一部を購入する、現物が原資の上場投資信託を購入するなど、状況に応じて投資家が選択できる様々な方法があります。
また、プラチナ価格の動きを見て購入するにあたり、必ずしも現物を所有する必要はありません。現物を所有する以外にも、先物などのデリバティブ商品、あるいはPGM(Platinum Group Metals:プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの「白金族」を指す)を生産する鉱山会社の株式に投資することもできます。鉱山会社の株式を保有する場合には、その企業の業績だけでなく、間接的に PGMやその企業が生産するPGM以外のメタルの価格に投資成績が左右されることになります。
貴金属でありながら、その物理的・科学的特質から工業にも使われるプラチナは、長期的な価値保存ができる魅力的な投資商品と言えます。現物が原資となるゴールドやプラチナの上場投資信託(ETF)は、上場企業の株式同様に老後の資産形成の一部に組み込むこともできます。個人投資家の居住地や信託を設立した場所、また適応される税法によりますが、プラチナ投資商品に対しては税控除できる場合もあります。現物のプラチナ地金商品には多くの国で消費税がかかります。
プラチナは強い需要がありながらも、現在供給は限られておるにもかかわらず、ゴールドに比べると著しく割安で取引されています。どういったプラチナ商品に投資するかを決める際には、需給の状況に対して価格が適切な水準にあるかを考慮することも重要です。
プラチナ地金商品
プラチナ地金商品にはコインとインゴットという二つのタイプがあり、両者ともにプラチナの純度99.95%が保証されています。購入するだけで容易に現物プラチナをポートフォリオに組み込むことができます。プラチナ地金商品、特にUSミントや英国のロイヤルミントなどの国営造幣局の商品の場合、商品の出所と品質が保証されていることになります。 またプラチナ地金商品は、地金以外の商品に比べると流動性が高いのも特徴です。売買のしやすさ、商品の純度そのものが持つ価値、さらには製造コストと供給側のマージンが織り込み済みのスポット市場が普及していることが流動性につながっています。
プラチナ地金のインゴットはプラチナ純度99.95%で、プラチナ地金の国際的なマーケットであるロンドン・プラチナ・パラジウム市場(LPPM)の厳格な「グッドデリバリー」基準に則って製造されています。グラムあるいはトロイオンス単位の様々な大きさがあり、購入の際には実際に自宅で保管するかあるいは専用の保管庫で保護預かりとするか、どちらかを選択することができます。
純度99.95%のプラチナ地金コインには、世界的に有名なアメリカンイーグルやカナディアンメープルなどがあります。プラチナコインはゴールドコインに比べると製造される頻度が少なく、実際、2016年に至るまで世界の造幣局では10年以上も新たなプラチナコインの発行が行われませんでした。 しかし、その後はプラチナへの関心が高まるに伴って、世界各国の造幣局で従来のコインシリーズにプラチナコインの「初発行」が相次ぎました。例えば、ロイヤルミントでは、ブリタニアとクイーンズビーストコレクションに、オーストリア造幣局ではウイーンコインハーモニーのコレクションにそれぞれプラチナコインが加えられました。2021年には中国人民銀行が有名なプラチナパンダコインの発行を再開しました。
プラチナプルーフコインもプラチナ投資商品の一つで、その価値を構成する要素として、純度、プラチナのスポット価格、さらにはコレクターが評価する付加価値も含まれることがあります。プルーフコインはデザイン、希少性、それにまつわる歴史などから、専門家も含むコレクターにとっては高い価値を持っています。
プルーフコインは、特殊な製造法と鏡面加工によって光り輝く面にデザインがきめ細かく浮き出るようになっています。
造幣局による地金コインは、時にはプルーフコインも含まれますが、法定通貨であることでさらに高い信頼性を持ち、国によっては税控除が受けられます。そのため、額面は実際の時価よりも大幅に低く設定されます。例えばアメリカンイーグルのゴールドコインは額面50ドル、プラチナコインは額面100ドルです。
厳密には法定通貨となるプラチナ地金コイン(場合によってはプルーフコインも) は、発行価格や発行時にコインを溶解した時の価値が、額面を大幅に上回っているため、実際には通貨としては流通していません。
コインやインゴットの形でプラチナ地金に投資するのは、投資家が入手しやすく流動性が高いというだけでなく、株式や債券と違って信用リスクもカウンターパーティーリスクもないという点で魅力的な投資方法といえます。米国ではプラチナ地金は資産として個人退職口座(Individual Retirement Accounts, IRA)に直接組み込むことが可能です。
オンライン投資
オンラインの地金口座を開設することで、現物プラチナを安全に、何時でも、様々な通貨で、かつ少ない手元資金で最小単位から、取引アプリを通じて売買することができます。つまり地金を1グラムからでも購入できるわけです。
上場投資信託
上場投資信託(ETF)とは取引所に上場している投資信託で、コモディティー(あるいはその他の金融商品)の価格に連動し、価格は取引時間内に相場の状況に応じて変動します。プラチナETFは直接取引所で、あるいはブローカーを通じて売買でき、最低取引単位は1口です。
現物の裏付けのあるプラチナETFは、投資家が保有するETFの価値は100%が現物のプラチナインゴットに裏付けられていることになります。そのETFの裏付け資産のすべてを占めるインゴットは安全な保管庫に保管されており、年間手数料は通常、プラチナ価格の1%以下です。個人投資家、あるいはアセットマネジャーにとっては、保険料や保管料などのコストがかからない形で現物プラチナに投資できることになります。
プラチナETFの購入が売却を上回った時には新たな受益権が追加設定されます。その場合、ファンドは通常3日以内にスポット価格あるいはOTC市場でプラチナインゴットを購入し、大手銀行などの保管庫に移して原資とします。
ETFの取引価格はプラチナのスポット価格に連動します。プラチナを現物で所有している場合と同様に、プラチナ価格が上昇すればETFを保有している投資家には利益になり、プラチナ価格が下がれば損失となります。
プラチナETFの中には、保有しているETFを現物のプラチナに交換できるものもあります。その場合、投資家が保有するETFの価値分に相当するインゴットとの交換になり、特定ブランドのインゴットに交換することはできません。
プラチナETFはポートフォリオにプラチナを組み入れるには便利な方法で、英国、米国、日本では自己管理の年金プランや投資制度に組み入れて有利な税制が受けられる場合もあります。
プラチナの積立口座
日本で以前から行われているプラチナ積立口座(Platinum Accumulation Plans, PAP)は、個人投資家が毎月決まった金額でプラチナを購入する方法で、老後資金の一部となる場合が多くなっています。
日本では長い間、国内の精錬所で製造されたキロ単位、あるいはグラム単位でプラチナインゴットが購入でき、近年ではそれに上場投資信託が加わるなど、貴金属への投資が盛んです。
積立口座では、毎月定額分のプラチナが積み立てられていきます。任意のタイミングで任意の量を売却することも可能です。あるいはインゴット、コイン、または宝飾品として、積み立てた分を引き出すこともできる仕組みになっています。
先物
プラチナ先物は、将来の決まった期日に決まった価格と量のプラチナを購入または売却する契約を取引する金融商品で、個人投資家、機関投資家や企業など誰でも取引できます。投資家は期日まで購入したポジションを保持することもできますし、あるいは相場の見方次第で期日より前に反対売買を行って、差益差損を実現することもできます。貴金属先物は大阪取引所(日本取引所グループ)を含む世界各国の取引所にて取引されています。
先物市場は、リスクを取りながらも価格変動による利益を得ようとする投資家と、将来の価格を固定することによってリスクを避けたい投資家(例えばサプライチェーンのコスト変動を抑えたい企業など)を、マッチングさせることで成り立っています。
上場投資信託などと違い、プラチナ先物は現物が原資とはなっていませんが、契約上は現物の受け渡し決済ができることになっています。現実には現物の受け渡し決済は先物取引全体の数パーセントほどであり、殆どが差金決済ですが、現物の受け渡し決済ができることが基本になっている点が、現物市場と先物市場の間で満期日に価格の一貫性があることを裏付けています。
プラチナ取引に関わるトレーダーは、先物取引を行うことで将来のプラチナ価格の変動によって利益を得る、あるいは変動による損失を抑えることが可能になります。オプション取引、スワップ取引、フォワード取引、あるいは裁定取引なども同様の目的のために行われますが、このような金融商品の中には取引所によって規制されていないものもあります。
先物取引が行われる取引所は価格の透明性や流動性が高く、完全に電子化され、リアルタイムで毎秒数百万件という取引を行うことができます。また、取引所には安全な清算機能もあるため、投資家はカウンターパーティーリスクを心配することなく取引ができます。
プラチナ生産を行う鉱山会社の株式
プラチナ生産を行う鉱山会社の株式の取引もプラチナに投資する一つの方法です。この場合には現物のプラチナに投資するというよりはプラチナを生産する企業そのものに投資することになります。
プラチナについて動画で学びたい方は以下ページもご参照ください。
https://www.jpx.co.jp/ose-toshijuku/tag/31.html
(ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル)
(World Platinum Investment Council, WPIC)
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