トランプ次期政権と良い相性が期待できる日本株の業種は?

提供元:野村アセットマネジメント

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1. 第1期トランプ政権発足後は、エネルギー資源のパフォーマンスが良好だった

米大統領・連邦議会選挙を経て、トランプ氏が大統領へ返り咲くことが決まりました。また、米国で大統領職と上下両院の多数派を共和党が占める、トリプルレッドとなります。そこで、同じくトリプルレッドとなった第1期トランプ政権の発足後2年間におけるTOPIX-17セクターのパフォーマンスを振り返ってみました。

図表1でTOPIX-17セクターの株価パフォーマンスを、横軸を選挙当日(日本時間では選挙前日)~約1年後まで、縦軸をその後の約1年間に分けて振り返りました。当初1年間(横軸)のパフォーマンス上位5セクターは、電機・精密、素材・化学、機械、エネルギー資源、鉄鋼・非鉄でしたが、その中でその後の約1年間(縦軸)も好パフォーマンスだったのはエネルギー資源のみでした。また、同期間はTOPIX(東証株価指数)もマイナスであり、株式市場全体のパフォーマンスが良くない局面でした。

[図表1]  第1次トランプ政権発足後のTOPIX-17セクターの株価パフォーマンス

・横軸:2016年大統領選挙当日(日本時間では選挙前日)~約1年後
・縦軸:大統領選挙の約1年後~2018年中間選挙当日(日本時間では選挙前日)
※中間選挙で民主党が下院で多数派となりトリプルレッドが終わったため
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成

2. トリプルレッドではあるが、上下両院は僅差での共和党支配である

トリプルレッドとなったことで、トランプ氏が掲げる政策が実現されやすいと考えられていますが、注意しておきたいのは上下両院が僅差での共和党支配であるという点です(図表2)。議会の共和党議員全員がトランプ氏に従うとは限らないため(一定数の穏健派議員がいる)、共和党からわずかの離反者が出るだけで、上下両院ともに共和党は過半数を割り込むこととなり、法案が成立しないケースが想定されます。

あまりにも過激な法案はこうした穏健派が離反者となって退けられる可能性が高いと考えられ、それゆえ、トランプ氏が選挙中に掲げていた過激な政策はマイルドな内容に変更されて検討されると思われます。大胆な関税引き上げが国内のインフレや景気悪化をもたらし、強硬な移民政策への変更で国内労働需給がひっ迫化して賃金インフレが高まるといったリスクは過度には恐れる必要はなく、ある意味トランプ次期政権下においても米国経済は安定的に推移すると考えます。

[図表2] 2024年の米大統領・連邦議会選挙の結果

時点:2024年11月13日時点
(出所)CNN.comを基に野村アセットマネジメント作成

3. トランプ政策からプラスの影響を受けそうな産業、ダメージを受けそうな産業

トランプ氏・共和党の主なマニフェスト(図表3)を見ながら、プラスの影響を受けそうな産業、ダメージを受けそうな産業を検討してみましょう。

トランプ減税については、米国で事業を行なう企業が法人税減税のメリットを受けるほか、所得減税を受ける米国民が消費を拡大することで売上拡大も期待できます。TOPIX-17セクターでは、自動車・輸送機、電機・精密、素材・化学、機械、医薬品、銀行や金融(除く銀行)などにメリットがありそうで、第1期の時にパフォーマンスが良かったセクターと重なる部分が多いです。

規制緩和は、半導体産業である電機・精密や素材・化学、それに、資本財の機械、エネルギー資源などにメリットがありそうで、これらも第1期と重なる部分が多いです。通商政策は、関税引き上げによって対米輸出で直接的なダメージを受けるのと、対中政策では強硬姿勢が予想されるために中国でビジネスを展開する企業にはマイナスと思われ、自動車・輸送機、電機・精密、機械、医薬品、食品、鉄鋼・非鉄、小売などにはマイナスでしょうか。

総合的に考えると、エネルギー資源、電機・精密や素材・化学(共に半導体関連)といったセクターがトランプ次期政権と相性が良さそうです。もちろん、他の要因で株価が動くことも十分に考慮する必要があるので、参考程度にしていただければ幸いです。

[図表3] トランプ氏・共和党の主なマニフェストとその影響が見込まれる産業

(出所)各種報道より野村アセットマネジメント作成

<関連銘柄>

NEXT FUNDS エネルギー資源(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1618)
NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1620)
NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1625)

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(提供元:野村アセットマネジメント)

著者/ライター
阪井 徹史
野村アセットマネジメント株式会社
シニア・ストラテジスト

1988年以降約20年間、野村アセットマネジメントにて主に日本株のアクティブ運用業務に従事。その後、グローバル・ストラテジストとして、世界の様々な市場の分析や投資アイデア提供活動を継続中。
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