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投資信託のトレンドが分かる!

2024年10月 投資信託の資金フロー

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。

そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2024年10月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。

(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

1.投信市場における資金の流出入動向

「前月を下回る資金流入超」

資金流出入額は約6,140億円の流入超と、前月(約9,580億円の流入超)を下回り、3ヵ月連続で流入額が減少した。

資産別の資金流入では、流入額の大きい順に、「外国株式型」(約6,210億円)、「複合資産型」(約640億円)、「エマージング株式型」(約230億円)となった。外国株式の流入額は今年7月をピークに次第に減少しており、全体の資金流入減にも大きく影響している。

資産別の資金流出では、流出額の大きい順に、「国内株式型」(▲約640億円)、「外国債券型」(▲約300億円)、「国内債券型」(▲約60億円)となった。国内株式については、10月中旬に日経平均が4万円近辺まで上昇したこともあり、利益確定の売りや戻り売り等が出たものと考えられる。

個別ファンドでは、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ)(約1,490億円)が1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ)(約1,340億円)、次いで3位には「アライアンスB・米国成長株投信 D」(アライアンス)(約720億円)がランクインした。流入上位ファンドの顔ぶれに大きな変化はなかった。

主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)

※合計には、グラフ表示していない、その他資産も含む

2.投信市場のパフォーマンス動向

「海外資産が円ベースで上昇」

10月の金融市場は、海外資産は下落したものの、大幅な円安・ドル高の進行により円ベースでは上昇した。このほか、地政学リスクへの懸念や米大統領選挙の不透明感から、金価格も上昇した。

株式市場は、外国株式は下落(円ベースでは上昇)、国内株式は上昇した。
月上旬の米国株式は、中東情勢の悪化や堅調な雇用統計などから、強弱入り混じる展開となった。月中旬は良好な企業決算を追い風にダウ平均やS&P500が史上最高値を更新した。月下旬は米大統領選挙を見据え長期金利が上昇したことなどから、株価は下落した。

欧州株式は、月上旬は中東情勢の緊迫化を受け、下落した。月中旬はリスク回避姿勢が落ち着いたことや、欧州中央銀行(ECB)、英中銀による利下げが支えとなり、上昇に転じた。月下旬は各国主要企業の決算や業績見通しの悪化、低調な景況感指標などにより下落した。

日本株式は、月上旬は米国の経済指標が予想を上振れたことで米長期金利が上昇し、円安・ドル高が進行したことにより、輸出関連銘柄を中心に上昇した。月中旬はオランダ半導体製造装置大手の決算内容が市場の期待を下回り、国内の半導体関連企業への業績懸念が広がったことで下落した。月下旬は衆議院議員選挙の結果、政権交代には至らなかったことや財政拡大への思惑が強まったことなどから、株価は上昇に転じた。

債券市場は、米国金利、国内金利ともに上昇した。
米国10年国債利回りは、月上旬は雇用者数の増加や失業率の低下により上昇し、月中旬も消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで更に上昇幅を広げた。月下旬は米大統領選挙でトランプ氏優勢の見方が広がり、財政拡張によるインフレ進行が意識されたことで上昇幅を広げ、月間では0.5%ほど上昇した。

日本10年国債利回りは、月初に石破首相が追加利上げに否定的な見解を示したことで一時的に低下したものの、月中旬にかけ米国の金利上昇につられて上昇した。月下旬は日銀が政策金利を据え置いたことなどから、やや上昇幅を縮めた。

為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに大幅に円安が進行した。
米ドル・円は、月初に石破首相が追加利上げに否定的な見解を示したことで円安・ドル高となり、月中旬にかけては雇用統計やCPI、小売売上高などの堅調な米経済指標を受けて、円安・ドル高が進行した。月後半は米大統領選挙後の財政支出が意識され、長期金利が上昇したことなどから、一段と円安・ドル高が進行した。

ユーロ・円は、月初に石破首相が追加利上げに否定的な見解を示したことで円安・ユーロ高となった後はしばらく横ばいで推移した。月中旬はECBの利下げで若干ユーロ安となったが、月下旬はドイツのインフレ加速を受けてECBの利下げ観測が後退した影響で、再び円安・ユーロ高が進行した。

これらを背景に、当月は海外資産を中心に円ベースでプラスとなった。米国の堅調な経済指標や米大統領選のトランプ氏優勢の見方から米長期金利が上昇し、円安・ドル高が大幅に進んだことから、外貨建資産が恩恵を受けた。また、金利上昇局面では価格が下落する傾向にある金も、中東情勢の悪化や米大統領選の不透明感から上昇した。

パフォーマンス上位5資産のランキングと実績

3.新規設定ファンドの動向

「設定本数は増加、設定額は減少」

当月の新規設定は30本と前月(21本)から増加したが、設定額は約770億円と前月(約1,370億円)から減少した。

新規設定ファンドのうち、設定額が最も多かったのは、「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」(三井住友DS)(約530億円)、次いで「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10」(あおぞら)(約65億円)となった。

1位のニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)は、ニュートン・インベストメント・マネジメント・ノースアメリカ・エルエルシーが運用を行い、電力需要の拡大や電力市場の変革に伴い恩恵を受けることが期待される世界の株式に投資する。2位のあおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-10は、世界の株式と債券に分散投資し、1年かけて株式の組入比率を6割程度まで段階的に引き上げるファンドであり、基準価額11,500円以上で安定運用への切り替えを行う。2021年4月の同シリーズ設定開始以降、当ファンドは15本目の設定となる。

新規設定金額、設定本数の推移

※ETF、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

最後に、10月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。

資金流入上位15ファンド一覧

(三菱アセット・ブレインズ)

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