トランプ政策を気にしない
提供元:日興アセットマネジメント
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米国のGDPやインフレがトランプ政権の政策で悪化する可能性は低い
25年に入って、トランプ政権の政策の不確実性が景気悪化につながるとの懸念が強まってきた。昨年末より米国の輸入額が突然増え、小売売上高も急に増えてきている。これらは、関税導入による価格上昇を恐れる製造業や消費者の前倒し需要と見られる。実際に、関税が引き上げられる、あるいは引き上げられないとしても、その後に反動減が起こってしまうだろう。3月3日に発表された2月の製造業景況指数では、数値はおおむね予想通りだったものの、多くの業界からは関税の懸念による一時的な活動増加を指摘する声があり、景気悪化への恐れとして市場に伝わってきている。
さらに、3月3日にトランプ大統領は、カナダ・メキシコに対する関税の見直しの余地はないとする趣旨の発言や、人民元や円が米ドルに対して弱いことを批判し、関税を使って米ドル高に対抗する趣旨の発言をしたと伝えられ、米ドル安が進んだ。関税を幅広く引き上げると短期的にはインフレ、金利上昇、米ドル高の恐れがある一方、中長期的には消費不況と景気後退、金利低下、米ドル安の恐れがある。米国のインフレ率は低下しつつあり、このまま政策金利の引き下げが続けば自ずと米ドル安になると思われるので、単に米ドルの低下を貿易黒字国への脅しの成果にするための発言ではないかと疑いたくもなる。このような発言は突然撤回されたり、一度関税が賦課されても短期間で取り下げる可能性もあり、株価や金利の低下は限定的で様子見と言えるだろう。
ただし、トランプ政権の「Make America Great Again」政策は米国の景気悪化、インフレ上昇を目指していないことに注意しておきたい。政権は、景気悪化が起こらないように調整できるし、一時的に起こっても政策を修正することができる。中国からの輸入品の関税率引き上げの結果、中国から輸入する米国の業者に対する法人税減税や補助金支給、米国内で生産する企業への法人税減税といった政策があり得る。関税引き上げと減税・補助金がセットであれば経済に中立といえる。減税・補助金だけが追加されればインフレ的だが、ベッセント財務長官は財政規律を重視すると発言しており、その可能性は低いだろう。
トランプ政権はメディアを騒がせるように行動しており、その結果、市場心理が揺らぐことが多い。しかし、政権は米国経済を良くしようとしていることと、他国については「切り札」を切らせようとしていることが重要である。仮に今後、米国の経済状態が悪化したとしても、政治が主因となる可能性は低い。ただし、政権が意図的に政策の不確実性を高めることで市場のブレが大きくなることは、すでに想定してきた通りである。
(日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト 神山直樹)
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