スチュワードシップ担当者から見た日本企業の公衆衛生への貢献
アステラス製薬に見る医薬品アクセスへの取り組み
提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント
アステラス製薬の取り組み紹介
ATMI2024には日本の大手製薬企業が4社組み入れられていますが、その中で唯一、アステラス製薬だけが評価を上げました。ここでは同社の医薬品アクセス向上への取り組みを紹介します。同社は保健医療へのアクセスをマテリアリティの最上位に掲げています。「(アステラス製薬のサステナビリティ経営とは)本業を通じて社会に貢献することで、社会とアステラス双方の持続可能性を向上させる、好循環を生むことです。」という同社統合報告書のCEOメッセージからもその想いが伝わってきます。
図中右上「保健医療へのアクセス」は世界中の人々の健康にとって不可欠であることは言うまでもありません。しかしながら、世界には低中所得国を中心に貧困、保健医療に関する情報不足、保健システムの不備といった様々な理由から必要な医療を受けられない人々がいます。同社は保健医療へのアクセスを(1)アステラスのコアビジネス、(2)アステラス製品の入手可能性の向上、(3)外部パートナーまたは財団が実施する保健医療へのアクセス向上に向けた活動の協働・支援、という3つのアプローチで包括的に取り組んでいます。
今回のATMI2024では、こうした3つのアプローチに関する定量数値(患者数等)とともに具体的な活動内容を開示し、その進捗状況を統合報告書等で毎年リバイスしている点が高く評価されました。
また、過去のATMIでは研究開発段階から販売後までの一貫した医薬品アクセス計画が課題であるとの指摘がありましたが、2023年度に医薬品アクセス改善に向けた戦略・実行・手順の運用を管理・監督するために医薬品ステアリングコミッティを設立し、その下部組織として医薬品ワーキンググループを発足し、医薬品アクセスに関わる業務や手順の改善および管理を開始しました。こうした医薬品アクセス向上に向けて持続的に取り組む体制構築も高評価につながりました。
さいごに:三井住友トラスト・アセットマネジメントの活動
私たち三井住友トラスト・アセットマネジメントは日本版スチュワードシップ・コードに賛同する「責任ある機関投資家」として、また2006年に国連責任投資原則(PRI)が発足した時からの署名機関として企業とのエンゲージメントを通じたESG課題の解決を促すことによって企業および社会全体の持続的成長、サステナビリティの実現を目指しています。
当社は「安全と責任」を12のESGマテリアリティの一つとして定め、投資先企業とのエンゲージメントを進めています。特に医薬品アクセス財団と取り組むATMのグローバルイニシアチブ活動では当社はリードマネージャーとしてアステラス製薬との協働エンゲージメントを担当しており、医薬品アクセスだけでなく、保健医療へのアクセス向上も含めた世界の公衆衛生への貢献を医薬品アクセス財団と連携しています。
こうした真摯な取り組みを好事例としてヘルスケア関連企業へも紹介し、投資先企業に対して世界の公衆衛生向上に通じる企業行動を促進するとともに、皆様からお預かりした資産の価値向上を図ってまいります。
※上記は特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません。
(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)
1990年より株式アナリストとしてヘルスケア及び化粧品トイレタリーセクターを中心に日本・米国で株式運用業務に従事した後、2021年より現職。