かぶオプコラム
【かぶオプコラム】第15回:無限の可能性を持つ「かぶオプ」戦略
提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート
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【かぶオプコラム】
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第14回:株式投資の上級者を目指す「かぶオプ」の効果的な使い方
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全15回にわたり連載してまいりました本コラムも、今回が最終回となりました。今回は総集編として、さまざまな相場状況にあわせた投資戦略についてご紹介したいと思います。そこで、以下の7つの相場状況についてどのような戦略が有効か、それぞれ考えてみましょう。
1.強い上昇トレンド(↑)
2.弱い上昇トレンド(↗)
3.強い下落トレンド(↓)
4.弱い下落トレンド(↘)
5.凪(なぎ)相場・レンジ相場(→)
6.決算発表などのイベントの直前(→?)
1.強い上昇トレンド(↑)
株式市場が当面上昇すると予想され、かつそのトレンドが強いのであれば、単純に株を買うのが効果的な戦略です。しかしながら、相場上昇時にどんどん値上がりする株を高い値段で買うというのは勇気が要るものです。
そのような時はコール買いがおすすめです。例えば2025年1月に任天堂(7974)の株価は9,000円程度から11,000円程度まで20%超値上がりました。一方、1月20日頃には5円ほどで買えた任天堂の2月限行使価格11,000円のコールは、1月末には100円を超え、20倍に値上がりました。
株の値上がり率とコールの値上がり率を比べてみると、その差は一目瞭然、収益性はコールのほうが圧倒的に高いことがわかります。また、5円のコールオプションを1枚買うのに必要な金額は500円ですが、任天堂の株を100株買うのには90万円もかかることを想えば、相場上昇時にもコールは買いやすいと感じられるのではないでしょうか。しかも、予想が外れた時の損失も最低限に抑えられるというメリットがあります。
2.弱い上昇トレンド(↗)
相場がだらだらと上昇していく際にはコール買いはおすすめできません。なぜなら、オプションには長期間保有していると値が下がるという特性(タイムディケイ)があるからです。
むしろ、じっくり株価が上昇していく場合には、株を保有しつつカバード・コールを組み合わせるのがよいでしょう。そうすれば、株価がのんびりと上昇していく間、コールの売りを繰り返すことでコールの売り代金を得られますし、途中に配当があれば、「配当+値上がり益+コールの売り代金」という3種類もの利益を得ることができます。また、今後しばらくのうちにトレンドが反転する恐れがあるのであれば、コール売りから得られた利益の一部を使ってプットを買っておけば、株価下落時の心配も減らすことができます。
3.強い下落トレンド(↓)
株価がすでに大きく下落している場合、一般的にはボラティリティが高まっているため、オプションの値段は割高になっています。ですので、すでに下落トレンドがついている中でプット買いは必ずしも有利に働くとは限りません。
むしろ、購入を検討している株が下がっているのであれば、ターゲット・バイイングをしてみてはどうでしょうか。ボラティリティが上昇しているおかげでプットが割高に売れるので、絶好の買い時になるかもしれません。ただし、下落の底が全く見えないという場合には、焦らずタイミングを見計らうことも必要です。
4.弱い下落トレンド(↘)
たんたんと株価が下がっているようなときは、あまりボラティリティも上昇しませんので、オプションの売りにはあまり向いていません。とはいえ、保有株がある場合は、カバード・コールを活用して値下がり分を補うことができます。もしくは、次の戦略を練るのに時間を使いましょう。常に売買することが最善とは限りません。
5.凪相場・レンジ相場(→)
相場が無風の時、あるいはレンジ相場が続いている間は、株を買っても売っても仕方ありません。しかし、ターゲット・バイイングやカバード・コールであれば、株価が一切動かなくても、オプションの売り代金だけは利益を稼ぐことができます。
相場の上値、下値がある程度読めているのであれば、そのレンジの少し外側の行使価格のオプションを売ることで、権利行使されないまま戦略を継続でき、保有している現金や株を無駄に寝かせることがありません。凪相場の場合ボラティリティは低いので、コールやプットが高く売れるわけではありませんが、株価の急な変動がない分、オプション取引も落ち着いて行うことができますので、かぶオプ取引デビューに適した時期です。
6.決算発表などのイベントの直前(→?)
注目される経済指標の発表や、決算発表の直前など、イベント直前はオプションの買いに最適なタイミングです。例えば金曜日の夜に米国で悪い経済指標が発表され、翌週朝には自分の保有株が下落している、などというように自分が対処できないタイミングで株価に影響が出てしまうことがありますが、金曜日のうちにプットを買っておけば、月曜日に株価が下がっていてもプットから利益を得ることができ、週末も安心して過ごせます。
あるいは、決算発表が予想以上に良かった時などは株価が上昇するものですが、発表前に株を買うことは賭けになるでしょう。その場合、安いコールを買っておくのであれば、損失を限定しつつ上昇時に利益を出すことができます。こういった経済指標の発表や、決算発表などは予め日程が決まっていますので戦略も立てやすいものです。まずは経済指標カレンダーを確認しましょう。
株だけの取引では買うか売るかしか選択肢がありませんが、「かぶオプ」を取り入れることで、相場が一切動かないような凪相場でも、はたまた暴落時にも利益を出すことが可能になります。今回ご紹介した戦略はほんの一例にすぎません。かぶオプを組み合わせていくと、もっと複雑な相場観にあわせた投資戦略をとることも可能です。無限の可能性を持つ「かぶオプ」を味方につけて、さらに豊かな投資を実現していってください。来月からは新テーマでの「かぶオプ」コラムを連載予定ですのでぜひご覧ください。
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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