海外では「暗号資産ETF」が登場しているらしい

「暗号資産」を資産運用に取り入れるのはアリ? ナシ?

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初めての暗号資産は「ポートフォリオの5%」から

資産運用の一部に暗号資産を組み入れるとしたら、まずはビットコインがいいというわけだ。

「ただし、ビットコインといえども、ほかの資産と比べるとボラティリティ(価格変動性)が高いという点は否定できません。資産運用を行うのであれば、まずは株式や債券、投資信託などを活用したうえで、それでも余剰資金があるのであれば、追加投資としてビットコインをポートフォリオに加えてもいいのかなと思います」

さまざまな資産を組み合わせて運用していく場合、ビットコインはどの程度の割合で組み入れていくといいだろうか。

「一般的によくいわれることですが、あまり触れたことのない領域かつリスクの高い資産は、多くても5%程度に抑えておくと安心でしょう。ビットコインの将来性に期待して保有しておきたいけれど、暗号資産には詳しくないという場合は、まさにこのケースに当てはまると思います」

松嶋さんは「その資産に対する興味関心の度合いや詳しさによって、保有する割合を変えてもいい」と話す。

「暗号資産やビットコインに対する関心が高く、仕組みを理解し、最新の情報も追っていけるようであれば、資産全体の10%程度など、多少大きなポジションを取ってもいいと思います。暗号資産に限らず、重要なのはその資産にどれだけ興味を持てるかという点です」

ビットコインでの運用では、「長期投資」もポイントになるという。

「ビットコインを含む暗号資産は、短期的な値動きが激しい資産なので、急落した際に不安になって売却してしまうというケースがあります。しかし、長期的に見ると、暗号資産市場は今後5~10年で広がっていく可能性が高く、金融市場全体のなかでも大きな存在感を見せると考えられるので、積立の形で長く運用していくことを考えてみてほしいと思います」

暗号資産投資のカギになり得る「暗号資産ETF」

ここまで暗号資産での運用方法について聞いてきたが、海外ではもっと手軽に暗号資産を保有できるようになってきているようだ。

「アメリカやオーストラリアでは、暗号資産を運用対象とするETFが承認されています。従来のETFのルールに沿って取引や管理ができるので、新たに暗号資産用の口座をつくる必要がなく、個人間での直接取引に対する不安感も払しょくされるでしょう。そのため、アメリカでは企業や機関投資家もETFを用いて暗号資産市場に参入し始めています」

日本でも暗号資産ETFが出てくれば、証券口座でビットコイン投資などができるようになるが、まだ議論の途中にある。

「日本の法律上、暗号資産ETFの組成は難しいので、法改正が必要になります。ただ、法改正には時間がかかり、早く進んだとしても数年はかかると予想されます」

現在は海外の暗号資産ETFを国内で取引することはできないが、世界の流れに乗り、日本でも取引できるようになることを期待したいところだ。

「国内でも、金融機関が暗号資産プラットフォームのようなものの開発に着手しているので、暗号資産市場は着実に大きくなっていくと考えられます。このトレンドに取り残されないようにすることも、投資家として重要ではないかと考えています」

リスクはあるものの、リターンも大きい暗号資産。分散投資のひとつとして、まずはポートフォリオの5%程度を保有するところから始めてみるのもいいだろう。

(取材・文/有竹亮介 撮影/森カズシゲ)

お話を伺った方
松嶋 真倫
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ 暗号資産アナリスト。大阪大学経済学部を卒業し、都市銀行に勤めた後、暗号資産関連スタートアップの立ち上げメンバーとして業界調査や相場分析に従事。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。2021年3月より現職。著書に『暗号資産をやさしく教えてくれる本』。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。

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