小学校低学年から「お金を3つに分ける意味」を学ぶ

日本とは何が違う? 金融コンサルタントが経験した「欧米式お金教育」

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子どもでもできる「お金の分け方・使い方」

幼い頃の川口さんは、主にユダヤ系の人々からお金について学び、あることの大切さを知ったという。

「リスクを分散することです。ユダヤ系の方々は収入があった際に、『すぐに使うお金』『5~10年以内に使うお金』『10年以上先に使うお金』の3つに分けていたんです。実際に分けるように教えてもらったこともありました。ただ、子どものうちは5~10年先まで意識するのは難しいので、おこづかいをもらったときには次のような3つに分けていました」

(1)学校で必要なものやおやつなどを買うためのお金
(2)いますぐではないけれど欲しいものを買うためのお金
(3)家族や友達にプレゼントを買ったり、寄付をしたりするためのお金

「ある程度大きくなったら、大人と同じようにお金を使うタイミングに合わせて3つに分けるように変えていきました。この経験があったので、社会に出てからも収入を分けるということが自然とできたのだと思います」

お金を3つに分けると、「(2)いますぐではないけれど欲しいものを買うためのお金」には、ほとんど手をつけないことがわかってくる。

「私が8歳のときに、祖父が『目的のためのお金である(2)を貯金箱に入れておいても、増えるわけではない』と教えてくれたんです。その時点で、投資や複利について解説してくれたことを覚えています」

雪が降り積もった日に祖父は雪の玉を2つつくり、1つには手でつかんだ雪を少しずつ付けて大きくしながら「これが単利」と説明。もう1つは雪の上を転がし、回転するごとに大きくなる様子を見せながら「これが複利」と、8歳でもわかる方法で教えてくれたそう。

「その時点で『貯金箱にお金を入れても増えない』『単利より複利がいい』ということがわかったので、子どものうちに長期・積立・分散投資をスタートできました。金額は小さかったので、複利の効果を実感できたのは約5年後です。お金が増えるのが楽しみでした(笑)。約20年経ってからは『こんなに増えるんだ』と感じましたね。30~40年後に複利効果をさらに実感し、貯金や単利との違いを思い知りました。貯金がもったいない理由がわかると、そのうちの一部分でも投資で働かせてみようかなという気持ちになれると思います。これは子どもだけでなく、大人も同じです」

若い世代は、金額が小さくても長く継続できるからこそ、銀行口座や貯金箱に貯めておくだけでなく、増やす方法を知ることも重要だ。

「日本のiDeCoや企業型DCは、アメリカの401kがモデルになっています。その401kを活用している50代後半の方の多くは2億円程度に資産を増やしています。ISA(NISAのモデルとなったイギリスの個人貯蓄口座)を活用している人も、50代後半で1億円以上になっているようです。日本もiDeCoやNISAで分散投資を継続していけば、同じようになる可能性は大いにあると思います」

お話を伺った方
川口 幸子
クラウドコンサルティング取締役。金融コンサルタント、宅地建物取引士、国際認定コーチ、マネーセミナー講師。南カリフォルニア大学gerontology学科修了後、銀行勤務を経てファイナンシャルプランナー・金融コンサルタントとして独立。20代前半で資本金1000万円を元手に会社を設立し、現在は約4500人の顧客を抱える。経済専門誌での執筆や大手企業でのセミナーも行う傍ら、子どもやパパ・ママ向けのお金教育にも力を注いでいる。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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