小学校低学年から「お金を3つに分ける意味」を学ぶ

日本とは何が違う? 金融コンサルタントが経験した「欧米式お金教育」

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生活の延長線上で「お金」について話す習慣

「お金の増やし方を学ぶこと=お金教育」と思われがちだが、実際はそうではないと、川口さんは話す。

「お金教育は、人生を考えることです。目標の仕事に就くには何を頑張ったらいいのか、家を建てるには何が必要なのか、考えていくと必ずお金が出てくるので、そのためにどう備えるかということにつながっていきます。また、欧米の学校ではボランティア活動や寄付に関する授業もあり、社会に還元することの意義も学びます。日本でも社会の一員としてできることを考えることが、お金と向き合うきっかけになると思います」

欧米では、授業のなかでお金に関することを考える際、お金の使い方の前提となる大切なことも教わるそう。

「『友達同士でお金の貸し借りをしてはいけない』と教わるので、欧米では安易に『お金を貸して』『おごって』と言う子はほとんどいません。一方、日本では、子どもが交通系ICカードなどで友達におごってしまうという問題が稀にありますよね。早いうちから日常のお金の使い方について話すことで、避けられる問題はあるでしょう」

家庭でお金の話をする際は、腰を据えて勉強するよりも、体験を通じてお金に触れることが大事とのこと。

「スーパーやコンビニに行ったときに、子どもに現金で買い物をさせて、おつりをもらう感覚を教えてあげてほしいと思います。おつりの一部をおこづかいにしたり寄付したり、使い方を考えさせるのもいいでしょう。アナログができてこそ、キャッシュレス決済も使いこなせるようになるので、まずは現金を取り入れてみてください」

家電や家具、車などの大きな買い物をする際も、子どもと一緒に店舗に赴き、さまざまな製品の性能や価格を比較することもお金を学ぶ方法のひとつ。予算をもとに製品を選ぶ経験が、社会の仕組みを知るきっかけになるという。

「ある程度大きくなったら、外食したときに予算を決めて、子どもに『予算内で家族みんなのごはん、ドリンク、デザートまで頼むとしたら、どう注文する?』と聞いてみましょう。子どもなりに一生懸命考えると思いますよ。実際に注文を任せることで、人のためになる有意義なお金の使い方を学ぶこともできます。日々の生活の延長線上でお金の話をして、親子で一緒に考えることが大切です」

重要なのは、お金に関する話を避けるのではなくオープンにすること。日々の買い物や食事、子どもの習いごとの費用などに関しても一緒に話してみることが、お金の使い方を学び、実践するきっかけになるだろう。

(取材・文/有竹亮介 撮影/森カズシゲ)

お話を伺った方
川口 幸子
クラウドコンサルティング取締役。金融コンサルタント、宅地建物取引士、国際認定コーチ、マネーセミナー講師。南カリフォルニア大学gerontology学科修了後、銀行勤務を経てファイナンシャルプランナー・金融コンサルタントとして独立。20代前半で資本金1000万円を元手に会社を設立し、現在は約4500人の顧客を抱える。経済専門誌での執筆や大手企業でのセミナーも行う傍ら、子どもやパパ・ママ向けのお金教育にも力を注いでいる。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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