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物流や点検だけでなく「災害対応」「林業」「エンタテインメント」での活用も進行中

『ドローンジャーナル』編集長が見据える「ドローンビジネス」のこれから

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「災害対応」「林業」での活用にも期待

2024年10月に開催された「第3回ドローンサミット」では、「これから期待される、社会課題ソリューション」として、「建設」「農業」以外に「災害対応」や「林業」というキーワードも出ていた。この分野での活用も進んでいくのだろうか。

「『災害』の分野は間違いなく進んでいて、2024年1月の能登半島地震はドローンが本格的に活用された最初の現場だったのではないかと思います。孤立した地域に物資を運んだり、倒壊した家屋の内部調査を行ったり、地滑りや土石流の危険がある場所を定点観測したりと、さまざまな場面でドローンが取り入れられましたし、今後もさらなる活用の可能性を秘めていると考えられます」

ただし、「災害対応」の分野においては、その場になって急にドローンを動かせるものではないという。

「平時にも利用していないと、災害時にうまく使いこなすことはできないでしょう。物資の輸配送などで常時ドローンを飛ばすことによって、その地域の環境を把握することができ、緊急時に飛ばすルートなどの判断を行いやすくなります。災害前の状態も動画や写真で保存できるので、被害状況なども把握しやすくなります。平時での活用こそ、『災害対応』の分野の課題といえるでしょう」

「林業」の分野では、苗木の運搬などは以前から行われていたそう。今後注目されているのは、森林調査での活用。国が進めている「J-クレジット制度(※)」に参入する企業が森林管理を行う際、ドローンが導入される可能性もあるという。

※省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量をクレジットとして国が認証する制度。創出されたクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、さまざまな用途に活用できる。

「人力で広大な森林を調査し、CO2等の吸収量を算出するのは労力がかかるため、センシングツールとしてドローンが活用されるのではないかといわれています。ドローンが測定し、森林の資源量を解析するという活用法になるでしょう。山間の森林であれば基本的に人がいないので、ドローンを飛ばしやすいという点も相性がいいと考えられます」

「機体」「周辺サービス」市場も活性化の兆し

最後に、ドローン市場全体の今後についても河野さんに聞いた。

「建設現場や山間部での搬送、災害発生時など、人が行きづらい場所や危険を伴う場所での活動において、ドローンの活用は間違いなく増えていくと考えられます。さらに、AIなどの技術も組み合わさるとドローンにできることが増えていくので、市場規模がぐっと大きくなっていく可能性もあります」

その過程で注目すべきは、国内のドローンメーカーとのこと。

「オールマイティな海外メーカーのドローンと比べて、国内メーカーのドローンは特化型が多い印象です。例えば、Liberawareの小型ドローンは人が入れない狭小空間でも問題なく使用できます。サービスも多様化していて、年間数百万円でドローン使い放題のサブスクサービスを展開しているところも出てきています。国内メーカーはこれから力を増してくるはずなので、要注目です」

ドローン活用が進むことで、周辺サービスも重要になってくる。

「ドローンを飛ばす際は、目的に応じて注意すべき点が変わってきます。例えば、ドローンを利用した点検といっても、対象の構造物はさまざまです。構造物ごとに点検に必要なデータは異なり、その必要なデータをドローンによって取得するための操作技術が必要になってきます。目的に応じた操作を行い、ドローンを活かすための人材の育成が重要になるので、それぞれの業務分野に必要なドローンの飛行技術を提供するドローンスクールなども増えていくでしょう。ドローンを巡って、さまざまな展開が待っていると思います」

ドローン活用の事例を目にする機会が増えたが、まだまだ始まったばかり。物流や点検など、日々の生活に欠かせないツールになっていくことだろう。

(取材・文/有竹亮介 撮影/鈴木真弓)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。

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