条件を満たすと「受講費の80%」が返ってくる!?
キャリアアップのために活用したい「教育訓練給付制度」を解説!
中長期的キャリア形成を支える「専門実践教育訓練」
「専門実践教育訓練」は、「労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練」と定義されている。
「『中長期的キャリア形成』という点から、長く企業に貢献できる人材になるための知識や資格の取得を目指した講座ということがわかります。例えば、介護福祉士や看護師、美容師、第四次産業革命スキル習得講座、法科大学院・MBAなどの学位課程などが挙げられます」
「専門実践教育訓練」を受講すると、費用の50%(年間上限40万円)が受講中6カ月ごとに支給される。
さらに、資格や学位などを取得したうえで、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、追加で費用の20%(年間上限16万円)が支給される。合計で費用の70%が支給されるというわけだ。
「2024年10月以降に受講開始した場合は、さらなる給付があります。資格などの取得・就職に加えて、修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合、費用の10%(年間上限8万円)が追加で支給されるのです」
すべての条件を満たした場合、費用の80%が支給されるように制度内容が拡充されたのだ。難しい資格にチャレンジするチャンスだといえるだろう。
速やかな再就職につなげる「特定一般教育訓練」
「特定一般教育訓練」は、「労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練」とされている。
「『速やかな再就職』と書かれていることから、就職・転職活動を行う際に強みになるような知識や資格が揃っているといえます。具体的には、普通自動車第二種免許やファイナンシャル・プランニング技能検定、介護支援専門員実務研修、電気主任技術者試験などが対象になっています」
「特定一般教育訓練」を受講すると、費用の40%(上限20万円)が修了後に支給される。
「『特定一般教育訓練』も、2024年10月に拡充となりました。2024年10月以降に講座を受講して資格などを取得し、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、追加で費用の10%(上限5万円)が支給されるようになったのです。『速やかな再就職』を実践することで、負担が減るという仕組みです」
雇用の安定を目指すための「一般教育訓練」
最後のひとつ「一般教育訓練」は、「雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練」。
「『雇用の安定』が一番に来ていることから、働きながら学習できるようなレベル感のものといえます。Webクリエイター能力認定試験や産業カウンセラー試験、医療事務技能審査試験、TOEICなどが対象です。大学院の修士・博士課程もここに含まれます」
「一般教育訓練」を受講すると、費用の20%(上限10万円)が修了後に支給される。
「『教育訓練給付制度』は、あくまで雇用・就職につなげるための学習が対象となっています。制度を管轄している厚生労働省も『働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ること』を目的としていると明記しています。そのため、就職や賃金アップにつながった際に追加で支給されるような拡充が行われたのでしょう。いまの職場でさらに活躍したい人はもちろん、再就職や転職を考えている人にもぜひ活用してもらいたい制度です」
少なくとも費用の20~50%が戻ってくる「教育訓練給付制度」。リスキリングやキャリアアップを考えている人は、役立ちそうな資格や講座が対象になっているか、確認してみよう。
(取材・文/有竹亮介)