【調査を読み解くシリーズ】プラチナNISA報道で話題の毎月分配型投資信託の気になるデータ

提供元:アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所

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新たにコラム「調査を読み解く」の連載をスタートします。このシリーズでは、金融経済教育推進機構(J-FLEC)や日本証券業協会、投資信託協会などが公表するアンケート結果やデータをもとに、独自の視点や研究所の知見などを交えて分析したいと思います。

第1回では、投資信託協会が行ったアンケート調査(※1)を使って、プラチナNISAの報道で話題となった毎月分配型投資信託について気になるデータを見ていきます。

※1:投資信託協会「2024 年(令和6年)投資信託に関するアンケート調査報告書(全般編)」

【目次】
▶ 年代別の毎月分配型投資信託の保有状況
▶ 20代は毎月分配型に対して特別な理由がなく魅力を感じてしまっている
▶ 分配金に対する20代の誤解
▶ 高齢者層には改めて、資産形成層には新たに、「分配金」に関する啓発活動が重要

年代別の毎月分配型投資信託の保有状況

2025年4月、65歳以上の高齢者向けNISA(プラチナNISA)創設が検討されているとの報道がありました。
65歳以上の高齢者層が利用できる「プラチナNISA」制度を新たに創設し、毎月分配型投資信託(以降、毎月分配型)を対象商品に加えることで、分配金を月々のインカム収入として得たいという高齢者層の投資ニーズに応えるというものです。詳細については、コラム「プラチナNISAの報道を受けて」をご覧ください。
この報道以降、毎月分配型がメディアやSNSなどで取り上げられる機会が増えました。

毎月分配型は、投資している資産から分配金が毎月支払われるため、複利効果を最大限に活かせず、資産形成の基本である「長期・積立・分散」には適していないと考えられています。
しかし、投資信託協会が2025年3月に公表した「2024 年投資信託に関するアンケート調査報告書(全般編)」によると、現在投資信託を保有している人の中で、20代が70代を上回り、最も毎月分配型の保有率が高いという意外な結果でした。(【図表1】)

【図表1】

出所:投資信託協会「2024 年(令和6年)投資信託に関するアンケート調査報告書(全般編)」を基にアセットマネジメントOne作成

70代以上の多くの方は安定的な収入が年金のみとなるため、運用しながら資産を取り崩す毎月分配型の保有率が他の世代と比べて高いのは理解できますが、それよりも20代の保有率が少し上回っています。この20代の投資行動は決して合理的とは言えません。

20代は毎月分配型に対して特別な理由がなく魅力を感じてしまっている

【図表2】を見ると、毎月分配型に対して魅力を感じている割合が最も高いのは20代で、「魅力を感じる」と「やや魅力を感じる」と回答した割合を足すと37.5%でした。

【図表2】

出所:投資信託協会「2024 年(令和6年)投資信託に関するアンケート調査報告書(全般編)」を基にアセットマネジメントOne作成

【図表2】はアンケートの対象者全員における結果ですが、現在投資信託保有者に限定した【図表3】を見ると、驚くべきことに60.1%が毎月分配型に魅力を感じていると回答しており、この結果が保有率の高さにも表れています。
(ちなみに、保有率が2番目に高かった70代の値は、保有率が39.8%に対して、魅力に感じている割合は37.0%と保有率の方が高いという意外な結果でした。)

【図表3】

出所:投資信託協会「2024 年(令和6年)投資信託に関するアンケート調査報告書(全般編)」を基にアセットマネジメントOne作成

毎月分配型に対して魅力を感じている割合が高い20代ですが、どこに魅力を感じているのでしょうか。毎月分配型に魅力を感じている現在投資信託保有者の回答が【図表4】です。

【図表4】

出所:投資信託協会「2024 年(令和6年)投資信託に関するアンケート調査報告書(全般編)」を基にアセットマネジメントOne作成

年代別に特に大きな特色は見られませんし、20代の回答で特に目立つものもありません。

著者/ライター
坂内 卓
アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所
研究員

証券会社で個人投資家向けの商品企画や営業企画を携わった後、IT企業でフィンテックアプリの運営を担う。2020年アセットマネジメントOneに中途で入社後は営業企画や新規ビジネス企画などに従事。2024年4月より現職。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
用語解説

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