中国の一帯一路とは?参加国や日本との関連について解説
一帯一路と関係がある機関
ニュースなどで一帯一路と関連して説明されることのある機関が、以下の通りです。
・シルクロード基金
・AIIB(アジアインフラ投資銀行)
ここから、各機関の概要について説明します。
シルクロード基金
シルクロード基金とは、アジアのインフラを整備するために、中国が2014年末に設立したファンドのことです。設立にあたって、中国はシルクロード基金のために外貨準備を切り崩し、400億ドルを拠出しています。
中国人民銀行が所管しているため、中国が独自の判断に基づいて投資先を決められる点が特徴です。最初の融資先には、パキスタンの水力発電所建設プロジェクトが選ばれました。
AIIB(アジアインフラ投資銀行)
AIIB(アジアインフラ投資銀行、Asian Infrastructure Investment Bank)とは、主にアジアの発展途上国を対象に、インフラ整備に必要な資金を貸し出す国際金融機関のことです。習近平国家主席が提唱したことをきっかけに、2016年1月に創設されました。
シルクロード基金は中国人民銀行が所管する機関であるのに対し、AIIBは複数の国と地域で構成される機関です。
一帯一路の現状
近年の一帯一路に関する主なトピックは、以下の通りです。
・2023年10月:一帯一路をテーマとしたフォーラムを開催
・2023年12月:イタリアが離脱を表明
・2025年2月:パナマが離脱を表明
・2025年3月:中国とバングラデシュの会談を開催
ここから、各トピックの概要について解説します。
2023年10月に一帯一路をテーマとしたフォーラムを開催
2023年10月、北京で一帯一路をテーマとした国際協力サミットフォーラムが開催されました。一帯一路に関するフォーラムが開催されるのは、3度目です。
このフォーラムには、151カ国と41の国際機関の代表が参加しましたが、共同声明の採択はありませんでした。一方、フォーラム終了後の議長声明では、一帯一路立ち上げ後10年間で3,000のプロジェクトを実施したと主張しています。
2023年12月にイタリアが離脱を表明
2023年12月、G7の中で唯一一帯一路に参加していたイタリアが、一帯一路から離脱することを表明しました。離脱の主な要因として考えられるのが、イタリアが当初想定していたような成果を得られなかったこと、米国などから批判を受けていたことなどです。
なお、2024年7月には、イタリアのメローニ首相が中国・北京を訪問し、離脱後初めて習近平国家主席と会談しています。
2025年2月にパナマが離脱を表明
2025年2月には、南米で最初に一帯一路に参加していたパナマも、離脱する方針を表明しています。一帯一路から正式に離脱するのは、イタリアに次いで2カ国目です。
離脱を表明した要因としては、パナマにとって具体的な利益がなかったこと、パナマ運河への中国の影響力を懸念する米国に配慮したことなどが挙げられます。
2025年3月に中国とバングラデシュの会談を開催
2025年3月、中国・北京でバングラデシュ暫定政権のムハマド・ユヌス首席顧問と習近平国家主席が会談しました。
バングラデシュは、すでに一帯一路に参加している国です。会談で、習近平国家主席は一帯一路に触れてインフラ建設などでバングラデシュと協力関係を築く意向を示し、ムハマド・ユヌス首席顧問も一帯一路に積極的に関与する旨を伝えています。
一帯一路とはシルクロードをモデルに構想した経済圏
一帯一路とは、中国の習近平国家主席が古代のシルクロードをモデルとして打ち出した広域経済圏構想で、陸路の「一帯」と海路の「一路」で成り立っています。
現在、日本は一帯一路に参加していません。ただし、状況次第では日本に影響を及ぼす可能性はあります。一方で、イタリア・パナマと離脱を表明する国も現れており、一帯一路の今後は不透明です。
今後、中国やアジアに関するニュースを目にすることがあれば、一帯一路との関連性にも注目してみましょう。
ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。