国民年金の第3号被保険者とは?廃止の可能性についても解説

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国民年金の第3号被保険者が押さえておくべきこと

国民年金の第3号被保険者は厚生年金保険の上乗せ分がないため、配偶者(第2号被保険者)と比べて、将来受け取れる給付が少ないことを押さえておきましょう。2025年度における計算では、仮に20歳から60歳までの40年間ずっと第3号被保険者として保険料を納めていた場合、将来受け取れる年金額は年間831,700円(月額69,308円)です。

また、第1号被保険者のように、国民年金基金を活用して上乗せ給付を受け取る方法がないことも理解しておかなければなりません。国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどが、将来老後に必要な生活費が不足することに備えて、公的年金を上乗せする制度のことです。

国民年金基金について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

国民年金基金とは?加入するメリットや国民年金との違いについて解説

国民年金の第3号被保険者制度が廃止される可能性は?

2025年4月23日現在、国民年金の第3号被保険者制度の廃止は決まっていません。ただし、廃止に関する議論が度々出ることはあります。

ここで、廃止議論が生じる理由や廃止された場合の影響、関連するトピックについて押さえておきましょう。

第3号被保険者制度の廃止議論が起こる理由

第3号被保険者制度の廃止議論が起こる理由のひとつが、第3号被保険者は第2号被保険者が代わりに保険料を支払っている点です。一方、第1号被保険者や第2号被保険者は、自身で保険料を納付しています。

また、片働き世帯を優遇しているとの見解があることも、廃止議論が起こる理由です。第3号被保険者制度があることで、パートタイム従業員が働き控えをすることにつながるとの考え方もあります。

廃止された場合に対象者に及ぼす影響

仮に第3号被保険者制度が廃止されると、対象者は新たに保険料を支払わなければなりません。

もし、従来第3号被保険者だった人も個人自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者と同額の保険料を支払う必要が生じると、家計にとって大きな負担になるでしょう。例えば、2025年度の国民年金保険料の金額は、1カ月あたり17,510円です。

なお、2024年12月に開催された社会保障審議会年金部会では、年金法改正案に第3号被保険者の廃止を盛り込まない方針を明らかにしています。ただし、将来的な廃止を含めて、今後も議論が重ねられるでしょう。

第3号被保険者制度廃止に関連するトピック

第3号被保険者制度廃止に関連するトピックのひとつが、社会保険の適用拡大です。

従来、パート・アルバイトで社会保険の適用対象となりうるのは、101人以上の企業で働く人でした。しかし、2024年10月から社会保険の適用が拡大されたため、今後は従業員数51〜100人の企業でパートやアルバイトとして働く人も対象となる可能性があります。

対象となる従業員の主な条件は、以下の通りです。

・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・所定内賃金が月額8.8万円以上
・2カ月を超えて雇用される見込みがある
・学生ではない

第3号被保険者制度が廃止にならなくても、第3号被保険者だった人が、今後上記条件を満たすことにより第2号被保険者になることはあるでしょう。

今後第3号被保険者が減少する可能性がある

国民年金の第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている配偶者で、原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人のことです。第3号被保険者に該当する人や第3号被保険者になる予定の人は、厚生年金保険の上乗せがない分、配偶者(第2号被保険者)と比べて将来受け取れる給付が少ないことを理解しておきましょう。

また、第3号被保険者制度廃止に関する議論が度々起こっている点も注目すべきポイントです。現状、第3号被保険者制度の廃止は決まっていません。ただし共働き世帯が増えたり、社会保険の適用範囲が拡大されたりすることで、今後第3号被保険者が減少する可能性はあります。

今後も議論が重ねられる見込みのため、随時第3号被保険者制度に関するニュースをチェックしましょう。

参考:日本年金機構「国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。」
参考:日本年金機構「年金用語集 た行 第3号被保険者」
参考:政府広報オンライン「年金の手続。国民年金の第3号被保険者のかたへ。」
参考:日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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