年次有給休暇とは?取り方・平均取得日数・関連する法律も紹介
年次有給休暇制度は、心身の疲労回復やゆとりある生活を保障するために設けられている制度です。取得が進むことで従業員のモチベーションが上がり、生産性の向上につながれば、会社にとっても大きなメリットとなるでしょう。
本記事では、年次有給休暇の付与日数の計算方法や、取得方法についても解説します。
年次有給休暇制度とは
年次有給休暇とは、取得しても賃金が減額されない休暇のことです。「有給」とは給与が支払われることを意味します。
年次有給休暇制度が設けられている主な目的は、従業員の心身の疲労を回復させること、従業員にゆとりある生活を保障することなどです。条件を満たしていれば、誰でも一定日数を取得できます。
年次有給休暇は、法律に明記されている制度です。ここから、法律の概要や、年次有給休暇が付与される要件について解説します。
有給休暇について定めた法律
労働基準法には有給休暇に関する規定があります。労働基準法とは、労働者が経済的に弱い立場にあることから、不利な労働契約を結ばされることを防ぐために、労働条件の最低基準を定めた法律です。
労働基準法第39条には、条件を満たす従業員に対して有給休暇を付与しなければならない旨や日数の決め方、有給休暇中の賃金などについての記載があります。
年次有給休暇が付与される要件
従業員に年次有給休暇が付与されるためには、以下の要件を満たさなければなりません。
・雇われた日から6カ月が経過している
・期間中に全労働の8割以上出勤している
例えば、2025年4月1日に雇用されたケースでは、同年10月1日が6カ月経過日です。この期間中の全労働日数が130日の場合は、104日以上出勤している人が有給休暇を付与されます。
なお、パートタイムやアルバイトとして働く人も、上記要件を満たしていれば年次有給休暇の付与の対象です。
年次有給休暇を取得するメリット
従業員が年次有給休暇を取得するメリットについて、従業員側と会社側の観点で説明します。
従業員側のメリット
従業員は、有給休暇を取得することで心身の健康維持を図れることがメリットです。法定休日とは別に休暇を取ることで、仕事で溜まった疲労を回復して健康な状態に戻したり、家族や友人と有意義な時間を過ごして気分転換できたりするでしょう。
また、年次有給休暇を取得することで、モチベーションの向上につながることもメリットです。休暇中に旅行などで楽しい時間を過ごせれば、「休み明け仕事を頑張ってまた旅行を楽しもう」などと考えられます。また、仕事中に忙しくてできなかった読書や勉強の時間を確保することで、自己啓発にもつなげられるでしょう。
会社側のメリット
従業員が年次有給休暇を取得することで、会社側は生産性の向上を期待できる点がメリットです。
従業員が休暇中に疲れをとり、仕事へのモチベーションを高めていれば、会社全体の生産性も向上できる可能性があります。それに対して、休みが取れずストレスが溜まる環境であれば、従業員の健康や仕事へのパフォーマンスに支障をきたしかねません。
人材確保にもつながりやすい点も、従業員が積極的に年次有給休暇を取得することのメリットです。年次有給休暇を取得しやすいことが広まれば、自ずと「働きやすい会社」のイメージもつくでしょう。
年次有給休暇の付与日数の計算方法
雇用された日から現在までの期間によって、付与される年次有給休暇の日数が決まります。継続勤務年数と付与日数の関係は、以下の通りです。
付与条件を満たせば最低でも10日が付与され、継続勤務期間が増えるにつれてさらに付与日数が増えていきます。例えば、2023年4月1日に雇用されて2025年4月1日まで勤続して働いているケースでは、付与日数が11日です。
年次有給休暇の取得方法
一般的に、年次有給休暇を取得するには、会社にあらかじめ申請が必要です。何日前までに提出が必要かについては会社によってルールが異なるため、わからない場合は勤め先の所管部署(人事部など)に確認しましょう。
申請方法についても、紙で提出するケース・電子申請によるケース・紙の申請と電子申請が混在しているケースなど、会社によって異なります。