乙武先生!金融教育、見にきてください まねぶー後編
乙武洋匡が聞く、すべての子どもにわかりやすく経済活動を伝える「まねぶー」の挑戦
「お仕事」をいかにわかりやすく子どもに伝えるか
乙武 ところで、私はこの「まねぶー」に触れていて、2つのものを連想したんです。1つは「キッザニア」で、職業体験のアミューズメントを仮想空間に移すとこうなるのかと感じました。そしてもう1つは都市開発ゲーム「シムシティ」。街が少しずつ出来上がっていくイメージが共通していると思ったのですが、実際の制作過程において何かヒントを得た既存の作品はありますか?
中村 ヒントと言いますか、実はキッザニアもKDDIグループの仲間なんです(笑)。
乙武 え、そうなんですか? 全然知らなかった。
中村 しかし、だからといってゲーム内にそのまま落とし込んでリアルを突きつけてしまうと、物足りなさが生じるのではないかという懸念があったので、そこは切り離して考えるようにしていました。あくまでファンタジー的な要素を大切にしたほうがいいだろう、と。
乙武 それに何より、キッザニアの店舗が存在しない地域のお子さんや、あるいは障害があってなかなか他の子と一緒に遊ぶことができないお子さんなどには、こうした仮想空間でプレイできるのは大きな利便性かもしれませんね。
中村 そうですね。より多様なお子さんに遊んでもらえれば嬉しいです。
乙武 マップを見ていると、実在するアニメスタジオ「タツノコプロ」の店舗も見られます。これは我々のようなドンピシャ世代もたまらなかったです(笑)。親子2代にわたっていい会話の種になりそうですね。
中村 ああ、たしかにそうですね。「ハクション大魔王」がリメイクされていたりして、いまのお子さんにもとても人気があるんですよ。
乙武 制作過程で最も苦労したのはどのような点ですか?
高田 お仕事の内容を、いかにわかりやすく子どもに伝えるかという表現の部分ですね。子どもにとって馴染みのない仕事も多いので、それをどういう形でゲームに落とし込むかは、かなり悩みました。たとえばゲーム内で「競り」や「株」をミニゲームにして取り入れているのですが、これを3~8歳に理解して遊んでもらうのは、すごく大変なことです。
乙武 それでも、表現の手法でそのハードルも乗り越えられたわけですね。
高田 もう本当に、「こっちの数字より大きな数字を選びましょう」といったレベルにまで簡略化して、どうにか形を整えました。