もらえるにはもらえるけど…
国民年金保険料「10年」払えばもらえるけど、年金額はいくら?
提供元:Mocha(モカ)
老後の生活資金として重要なのが公的年金です。年金をもらうには、少なくとも10年は国民年金保険料を払う必要があります。しかし、国民年金保険料を10年しか払っていなければ、もらえる年金額はかなり少なくなってしまいます。
今回は、国民年金保険料を「10年だけ払った人」の年金額と、年金を増やす方法について説明しますので参考にしてください。
「10年だけ払った人」の年金はいくら?
国民年金には20歳から60歳までの40年(480か月)加入し、国民年金保険料を払う必要があります。40年間の国民年金保険料を全額払った人は、国民年金から老後にもらえる年金(老齢基礎年金)を満額受給することが可能です。
老齢基礎年金の金額は毎年改定されます。1956年(昭和31年)4月2日以降生まれの人の2025年度(令和7年度)の老齢基礎年金額は満額で83万1700円(月額6万9308円・1962年(昭和37年)4月2日以降生まれの場合)です。国民年金保険料を40年間払った人でも、それほど年金額が多いわけではありません。10年だけ払った人の年金額はかなり少ないことが予想されます。
以下、国民年金保険料を「10年だけ払った人」の年金額がどれくらいになるのかを説明します。
●国民年金保険料を10年払った人の年金額は?
老齢基礎年金を受給するためには、国民年金保険料の納付期間が10年以上必要です。逆に言うと、10年保険料を払っていれば年金はもらえるということです。ただし、年金額は保険料を払った期間に比例して変わるため、10年しか年金を払っていない人は、40年払った人の年金額の4分の1となります。
国民年金保険料を「10年だけ払った人」の年金額は満額の4分の1である20万7925円(月額1万7300円)です。老齢基礎年金は満額でも決して多いとは言えませんが、4分の1となると月1万円台となり、かなり心細い金額となってしまいます。
国民年金保険料を「10年だけ払った人」でも年金がもっと多いケースもある
上で説明した「10年だけ払った人」は、残り30年間の国民年金保険料が未納扱いの人です。未納とは、本来国民年金保険料を払わなければならないのに、正当な理由なく払っていない場合です。
次のような人は、年金未納ではないか未納期間が短いため、もう少し年金が多くなります。
●会社勤めした期間がある人
会社等に勤めていて厚生年金に加入していた期間がある人には、老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金も支給されます。厚生年金加入期間は、国民年金保険料も納めた扱いになるため、未納とはなりません。
つまり、自分で国民年金保険料を払った期間は10年しかなくても、それとは別に厚生年金に加入していた期間があれば、老後の年金はもっと多くなります。自分で国民年金保険料を払っていた期間が10年間であっても、仮に残りの30年間を厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金を満額もらえます。
●全額免除・一部免除の承認を受けた期間がある人
国民年金保険料の免除申請をし、全額免除や一部免除の承認を受けた期間がある人は、未納期間がある人よりも年金額が多くなります。全額免除・一部免除の承認を受けた期間については、納付期間にカウントされ、次のとおり年金額の一部が支給されるからです。
<国民年金保険料の免除の種類と年金受給額の割合>
国民年金保険料を10年だけ払い、残り30年間は全額免除だったケースで考えてみましょう。全額免除の期間は平成21年3月以前が20年、平成21年4月以降が10年と仮定します。
まず、国民年金保険料を払った10年間に対応する年金額は
(ア)83万1700円×10/40=20万7925円
です。
全額免除を受けていた30年間に対応する年金額は次のとおりです。
(イ)平成21年3月以前の20年間
83万1700円×20/40×1/3≒13万8616円
(ウ)平成21年4月以降の10年間
83万1700円×10/40×1/2≒10万3962円
以上より、受け取れる老齢基礎年金の額は
(ア)+(イ)+(ウ)=45万503円
となります。月額にすると約3.7万円です。
国民年金保険料を30年間未納にしていた場合と比べると、年金額は2倍以上になっています。国民年金保険料を払えないときには、未納にせず免除申請をすることが大事であることもわかるでしょう。
「10年だけ払った人」が繰り上げ受給・繰り下げ受給をしたらどうなる?
年金受給開始は原則として65歳からです。ただし、60歳以上65歳未満でもらい始める繰り上げ受給や、66歳以降でもらい始める繰り下げ受給も可能です。繰り上げ受給を選択した場合には年金額が減り、繰り下げ受給を選択した場合には年金額が増える仕組みになっています。
「10年だけ払った人」の年金額が、繰り上げや繰り下げによりどう変わるかをみてみましょう。
●繰り上げ受給の場合
1962年(昭和37年)4月2日以降生まれの人の場合、1か月繰り上げるごとに0.4%年金額が減額します。60歳から64歳で受給開始した場合、「10年だけ払った人」の年金額は次のとおりです。
<10年だけ払った人の年金額(繰り上げ受給)>
「10年だけ払った人」が繰り上げ受給を選択した場合、1年繰り上げるごとに約1万円年金が減ります。60歳まで繰り上げた場合の年金額は15万8023円(月額1万3168円)となります。ただでさえ少ない年金が、さらに少なくなってしまうことがわかります。
●繰り下げ受給の場合
1941年(昭和16年)4月2日以降生まれの人の場合、65歳に達した月から1か月繰り下げるごとに0.7%年金額が増額します。70歳まで繰り下げた場合には42.0%の増額です。
なお、1952年(昭和27年)4月2日以降生まれの人は、2022年(令和4年)4月より75歳までの繰り下げが可能になりました。75歳まで繰り下げた場合の増額率は84.0%となります。
「10年だけ払った人」が繰り下げ受給を選択した場合の年金額の変化をみてみましょう。
<10年だけ払った人の年金額(繰り下げ受給)>
「10年だけ払った人」の場合、1年繰り下げるごとに約1万7000円年金額が増えます。とはいえ、75歳まで最大限の繰り下げをしても、年金額は月3万円程度にしかなりません。
繰り下げ受給で年金額を少し増やせることは確かですが、老後資金はまだまだ不足するでしょう。
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