取引コストの低減を目指して

東証はETF等の呼値の単位を適正化しました

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東京証券取引所は、立会市場におけるETF等(ETF、ETN及びレバレッジ商品等をいいます。)の呼値の単位(価格の刻み幅)を見直す措置を実施しました。
ETF等の呼値の単位の適正化について(2025年5月7日から実施します) | 日本取引所グループ

今まで、売買単位が1口のETF等では価格帯に対して呼値の単位が大きすぎるため、投資家が希望する価格での売買が難しく、執行コストが高くなるという課題がありました。
今回の見直しによって、個人投資家や長期投資家を中心に多様な投資家が、より良い価格で執行できるような環境となると考えています。

【主な変更内容(売買単位が1口のETF等)】

※終値が5,000円以下となった銘柄が、その後の値動きで終値が7,000円以上となった場合に、その2営業日後から1円が適用されていた。

今回の変更は10,000円以下の価格帯で、呼値の単位が1円に統一された点が大きな変更です。
例えば、売買単位が1口で取引価格が4,000円付近のETFは、以下のような問題が発生していました。

【呼値の単位変更前】

呼値の単位が5円であるために、買値と売値の差が最低でも5円ありスプレッドの拡大につながっていました。

【呼値の単位適正化後】

呼値の単位が1円となり、より買値と売値の差を近づけることができスプレッドの縮小につなげることができます。

上記のように、今後は取引価格の透明性が向上し、立会内取引にてよりフェアな価格形成が期待されます。また、スプレッド(買値と売値の差)が縮小することで、投資家の取引コストが軽減される可能性があります。

投資家が受けるメリットをまとめると

東証はETFの呼値の単位を適正化することにより、よりよい価格形成ができるような制度を整えましたが、ETFを実際に運用している運用会社はどういう取り組みをしているのでしょうか。

売買単位を引き下げた日興アセットマネジメントへインタビュー

上場インデックスファンドシリーズを運用する日興アセットマネジメントは、2025年5月10日までに22本の東証ETFについて、売買単位を10口から1口に引き下げる変更をしました。この変更について、担当者にインタビューしました。

内国ETFの売買単位の変更及び呼値の単位の変更について(上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(コード 1399)等18銘柄) | 日本取引所グループ
内国ETFの売買単位の変更及び呼値の単位の変更について(上場インデックスファンド豪州国債(為替ヘッジあり)(コード 2843)等4銘柄) | 日本取引所グループ

Q:売買単位を引き下げたのはなぜですか?

東証における売買単位を10口から1口にすることは、ETFの最小売買金額を引き下げることと同じ意味を持ちます。最小の売買金額を引き下げることで、個人投資家の利便性向上が図れると考え、22銘柄について実施に踏み切りました。

Q:どのような効果がありましたか?

弊社のETFには上場後の時間経過で価格が上昇したことにより、10万円前後で取引しなければならない銘柄がありました。
売買単位を10分の1にしたことにより、1万円前後で取引ができるようになりました。その他の銘柄でも多くが5千円前後で売買が可能となったため、個人投資家による売買が活発になったと考えています。

足元で、個別株やETFでも定期的なつみたてを自動設定できる証券会社が増えてきました。NISAの後押しもあり、個人投資家によるETF利用は着実に増えていると感じています。

東証による今回の呼値の単位適正化も、私たちが売買単位を引き下げる理由となりました。小さな取引価格を指向する個人投資家にとっても、1万円以下の価格帯で取引スプレッドを削減できる素晴らしい取り組みだと思います。
実際に立会内市場で値が付く頻度が向上したETFもあるため、今後も継続的に取り組んでまいります。

<東証株式部(売買制度の企画担当者)からのコメント>
今回の制度見直しは、個人投資家・機関投資家の取引コストの低減と利便性の向上を目指して実施したものです。これまでは、一部の価格帯において呼値の単位が大きくなっていましたが、新たに呼値の単位を縮小したテーブルを設定したことで、投資家の取引コストを低減させることが出来ました。また、売買単位が1口のETF等専用の呼値テーブルを設けたことで、売買単位が1口のETF等の価格に応じて適用する呼値テーブルを変更する複雑な運用がなくなり、シンプルな仕組みにすることができました。東証ETF市場は、昨今投資家皆様による利用が拡大しており、残高・取引代金ともに成長を続けていますが、まだまだ成長途上のマーケットですので、投資家の皆様のニーズに合った取引環境をご提供できるように、今後も改善を検討してまいります。

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