教育投資ジャーナリスト・戦記君が伝える「教育投資のススメ」後編
戦記君が実践する「教育投資を“金融教育”につなげる方法」
子どもにかかる教育費を、運用で備える「教育投資」。
前編では、教育投資ジャーナリストの戦記氏(以下、戦記君)に教育投資の経験とコツを教えてもらった。キーワードは「インカムゲイン」と「目標」だ。
後編となる今回は、戦記君が話していた「教育投資は家庭内での金融教育につながる」という点について、詳しく聞いていく。
「親目線」と「子ども目線」2段階の教育投資
「私は大きく2段階に分けて、教育投資を行っています。1段階目は、親として子どもの教育費を確保すること。S&P500で運用することで2023年6月に1600万円、2024年5月に5550万円を確保した時点で、1段階目は達成しました。投資を始めたときから運用成績をグラフ化し、娘にも見せるといったことを行ってきました」(戦記君・以下同)
戦記君は子どもにも毎週ポジション報告を行い、「あなただったらどうする?」と意見を聞いていたそう。値動きの理由などを解説すると、子どもは自ら経済新聞を読むようになったという。
「そして、2段階目は娘自身に運用させることです。1600万円を確保した時点でその1600万円を娘に渡し、株式市場の仕組みや投資の方法論を教えたうえで、『自分で運用してみなさい』と託しました。家族でさまざまな可能性について議論した結果、娘は『通っている塾代(年間60万円)を投資で賄いたい』と決め、S&P500のなかでも特に高配当な銘柄に絞って投資するETF『SPYD(SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF)』で運用しています」
「SPYD」の分配金利回りは、2025年4月時点で年4%を上回っている。つまり、1600万円投資すれば年間64万円以上の分配金を得られるため、塾代を確保できるというわけだ。
「娘にも、『目標を目指して運用しなければダメだ』と伝えています。やみくもにお金を増やすのではなく、将来使う費用を備えるために運用するのが正しい投資ではないかと思うからです。娘は中1からお小遣いで個別株投資もしているのですが、中2のときに一度7万2000円くらいで利益確定していました。その理由を聞くと、『欲しいコートがあったから』と話してくれました。目標があると、必要以上の利益を求めず、冷静に判断できるようになるんですよね」
子ども自身に投資判断を委ねることで、自立にもつながるとのこと。
「いまや塾代は娘自身が稼いでいるので、どれだけ成績が下がろうと親子ゲンカしようと、私が娘に『塾をやめろ』と言うことはできないんです。私のお金ではないので。娘も自分で稼いだお金で通っているから、より当事者意識が生まれて勉強にも精を出すという好循環が生まれていると感じています」