奨学金制度とは?種類や給付対象についてもわかりやすく解説
奨学金を利用する際の注意点
奨学金を利用するにあたっては、以下の点に気をつけなければなりません。
・使い道が決まっていることがある
・成績によって停止されることがある
・貸与型は将来の返済負担を考慮しなければならない
ここから、各注意点について解説します。
使い道が決まっていることがある
団体によって、奨学金の使い道が決まっていることがある点に注意が必要です。奨学金の利用を検討している団体の要項などを確認すれば、使い道が授業料などに限定されているかがわかるでしょう。
なお、一般的には奨学金の使い道は限定されていないため、授業料だけでなく通学費・食費・教材購入費・住居費などにも利用できます。ただし、奨学金が振り込まれる時期によっては、入学金には間に合わないことがあるでしょう。
成績によって停止されることがある
奨学金の受け取りが決まっても、入学後の成績などで要件を満たさないと停止されることがある点にも注意しましょう。
例えば、日本学生支援機構の給付奨学金は、習得単位数・GPA(平均成績)・出席率が一定水準を下回る場合に「警告」が出され、「警告」が続くと奨学金が「停止」もしくは「廃止」される可能性があります。
貸与型は将来の返済負担を考慮しなくてはならない
貸与型の奨学金制度の利用を検討している場合は、将来の返済負担を考慮した上で申し込みましょう。
受け取る金額が大きいと、その分返済負担も重くなり、卒業後の生計を圧迫する可能性があります。親子で話し合った上で、必要かつ返還が現実的な額を利用することが大切です。
なお、日本学生支援機構の奨学金は、経済困難などの事情で約束通りの返還が難しい時に、返還期間の延長と月々の返還額の減額を利用できる場合があります。
奨学金制度を利用する流れ
奨学金制度を利用する際の一般的な流れは、以下の通りです。
1. 各機関の奨学金制度の概要や条件について調べる
2. 奨学金を申し込む
3. 返済・返還を始める
ここから各手順について解説します。
1. 各機関の奨学金制度の概要や条件について調べる
奨学金を利用することを決めたら、まず各機関における奨学金制度の概要や条件について調べましょう。機関によって手続き方法や要件、申込時期などが異なるため、慌てないよう早めに調べておくことが大切です。
日本学生支援機構の場合は、予約採用と在学採用によっても、申込時期や方法が異なります。予約採用は進学前にインターネットで申し込みする手続きで、在学採用は進学後に在籍する学校に必要書類を提出する手続きです。
2. 奨学金を申し込む
時期が来たら、奨学金の申込手続きを進めます。必要書類を揃えて、指定された場所に提出しましょう。日本学生支援機構の奨学金を利用するための申込書類は、在籍する学校で受け取れます。
なお、日本学生支援機構の奨学金を申し込む際に、「機関保証制度」「人的保証制度」のどちらを利用するか決めなければなりません。機関保証制度は日本学生支援機構が指定する保証機関の連帯保証を受ける制度、人的保証制度は対象学生の父母や親戚などに連帯保証人と保証人になってもらう制度です。
3. 返済・返還を始める
貸与型の奨学金を利用する場合は、卒業後に返還を開始しなければなりません。
日本学生支援機構の奨学金は、貸与終了月(一般的には卒業学年の3月)の翌月から数えて7カ月後に口座振替で返還を開始します。主な返還方法は、期間内に毎月一定額を返済する「定額返還方式」と所得に応じて決められた額を返還する「所得連動返還方式」です。2017年4月以降に第一種奨学金の奨学生として採用された場合に、「所得連動返還方式」を選択できます。
奨学金とは学費の給付や貸与を受けられる制度
奨学金制度とは、学習意欲があるにもかかわらず、家庭の事情や経済的理由などで進学が困難な人が、学費を給付や貸与を受けられる制度です。利用するにあたっては、さまざまな要件が定められています。
利用する際の主な注意点は、成績によって停止される可能性があること、貸与型の場合は返済負担を考慮しなければならないことなどです。卒業後に奨学金の返還で生計が圧迫されることがないように、利用前に妥当な額について家族で話し合っておきましょう。
参考:文部科学省「奨学金事業の充実」
参考:独立行政法人 日本学生支援機構「令和元年度奨学事業に関する実態調査」
参考:独立行政法人 日本学生支援機構「令和4年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査」
ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。