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施策のテーマは観光客も巻き込んだ“レスポンシブル・ツーリズム”

交通情報サイト開設に駐車場料金改定…白川郷が取り組む「オーバーツーリズム対策」に迫る

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乗り出し始めた「経済的な対策」と「規制」

ことし3月には、新たな発表も行った。2025年10月1日から村営駐車場の利用料金を改定するというものだ。大型自動車・マイクロバスは3000円から1万円に上がり、普通自動車・軽自動車は1000円から2000円、二輪車・原動機付自転車は200円から500円に変わる。また、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの繁忙期及び冬季に特別料金(割増料金)を設ける予定であることも発表されている。

「オーバーツーリズム対策として『情報発信』『規制』に加え、『経済的な対策』も検討していくなかで、駐車場料金の改定に至りました。実は、観光客の車が住民の駐車場に停められてしまうトラブルがあったので、ことしのゴールデンウィークに役場からカラーコーンやコーンバーを貸し出し、住民の方々に自衛していただいたんです。この取り組みが成功したので、継続に伴う備品購入や交通整理員の追加配置など、オーバーツーリズム対策に必要な費用を確保するため、駐車場料金の改定に踏み切りました」

オーバーツーリズム対策のひとつ「規制」の部分では、ツアーバスの駐車場利用を予約制にする案が出ているという。バスの入れ込みを管理することで、集落内の混雑緩和や駐車スペースの有効活用につながるからだ。

「予約制に関しては、冬の風物詩である白川郷ライトアップイベントで既に実施しています。駐車場の事前予約に加えて、駐車場で配布されるチケットを持った方だけが集落に入れる仕組みにしたところ、無断駐車や混雑が大幅に改善されました。このような経験を積み、将来的には常に予約制で対応できる体制を視野に、効果的な対策を検討していきたいと考えています」

オーバーツーリズムに対応するべく、さまざまな施策に積極的に取り組んでいる白川村。いま直面している課題は「人手不足」だという。

「人手が足りないので、デジタルに頼るのは必然だと考えています。効率的な予約システムなどを構築できれば混雑緩和につながりますが、地域に合ったものを用意しようとするとオーダーメイドするしかありません。一方で、自治体は失敗できない立場にあるので、フットワーク軽く動けないのが悩ましいところです。可能であれば、国が主導してプラットフォームを構築してもらい、全国の自治体で活用できるようになると、観光地の課題も解決しやすくなるのではないかと期待しています」

いち早くオーバーツーリズム対策に動き出した白川村も、試行錯誤しながら進めているところ。日本人である僕らが「レスポンシブル・ツーリズム」を実践していくことが、重要な一歩となるだろう。

(取材・文/有竹亮介)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。

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