年金は申請しないともらえない
【やらないと大損】年金生活者が忘れてはいけない7つの手続き
提供元:Mocha(モカ)
年金は「申請主義」といって、もらう場合には請求手続きが必要です。では、年金の請求手続きをいったんすれば、あとはもう何も手続きはないのでしょうか?
そんなことはありません。年金をすでにもらっている人であってもしなければならない手続きや、手続きしないでいると年金の面で損してしまう可能性のある手続きもあるのです。今回は、年金をもらっている方が忘れてはいけない手続きを7つ、紹介します。
忘れてはいけない年金の手続き1:加給年金の請求
加給年金とは、年金の家族手当のようなもの。厚生年金に20年以上加入している人が65歳になった時点で、65歳未満の配偶者や18歳未満の子を養っていると加算されます。ただし、加給年金は要件を満たしていれば自動的にもらえるわけではなく、自分で請求手続きをしなければなりません。
「養っている」というのは、配偶者や子の生計を維持しているということ。具体的には、同居しているまたは別居で仕送りをしており、配偶者や子の前年の収入が850万円未満である場合に認められます。「配偶者が専業主婦(夫)でないと加給年金を受け取れない」と勘違いして、せっかくもらえるはずの加給年金の請求手続きを行わない方もいるため気をつけてください(ただし、配偶者自身が20年以上厚生年金に加入している場合、加給年金は支給されません)。
●加給年金の手続きに必要な書類
・老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
・戸籍謄本または戸籍抄本(配偶者との続柄がわかるもの)
・世帯全員の住民票の写し(続柄と筆頭者の記載があるもの)
・配偶者や子の所得証明書または非課税証明書
加給年金を請求する届出書に加え、配偶者や子との続柄、扶養している事実を証明する書類、配偶者や子の収入や所得が分かる書類が必要です。
●加給年金で受け取れる金額
加給年金で受け取れる金額は、毎年見直されます。2025年度の場合、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合は年額23万9300円を受け取ることができます。また、18歳未満の子がいる場合、1人目・2人目の子は年額23万9300円をそれぞれ受け取ることができますが、3人目以降の子は年額7万9800円ずつとなります。
さらに、配偶者がいる場合の加給年金は、受給権者本人の生年月日によって加算されます。これを特別加算といいます。
<加給年金の特別加算の金額>
例えば、65歳未満の配偶者がいる1958年生まれの人は、23万9300円に加え17万6600円が加算され、合計で年額41万5900円の加給年金が支給されることになります。
忘れてはいけない年金の手続き2:振替加算の請求
加給年金は、配偶者が65歳になると支給が停止されます。その代わり、今まで加給年金として上乗せされていた金額の一部が配偶者の年金に自動的に加算されます。この加算額を「振替加算」といいます。
もともと、配偶者が厚生年金に加入している場合、専業主婦(主夫)が国民年金に加入する義務はありませんでした。1985年の法改正により、厚生年金加入者の配偶者である専業主婦(主夫)は、必ず第3号被 保険者として国民年金に加入することになりました。しかし、法改正後に第3号被保険者になった人は加入期間が少ないため、それにともない老後にもらえる年金額も少額となってしまいます。そこで、これらの対象者に老齢基礎年金にプラスしてお金を支給する目的で、振替加算の制度がつくられました。
加給年金は、生計を維持されている配偶者が年下の場合にのみ受け取れますが、振替加算は配偶者が年上でも受け取ることができます。
配偶者が年下であれば、加給年金から振替加算への移行は自動的に行われるため、振替加算を受け取るための特別な手続きは必要ありません。注意しなければいけないのは、配偶者が年上、つまり会社員の夫(妻)と専業主婦(主夫)で年上の妻(夫)といった夫婦です。この場合、夫(妻)が65歳になったタイミングで、妻(夫)が振替加算の手続きを行う必要があります。
●振替加算の手続きに必要な書類
・国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届
・戸籍謄本または戸籍抄本(配偶者との続柄がわかるもの)
・世帯全員の住民票の写し(続柄と筆頭者の記載があるもの)
・配偶者の所得証明書または非課税証明書
●振替加算で受け取れる金額
振替加算は国民年金に加入する義務がなかった人のためにつくられた制度です。そのため、1986年の制度変更時に59歳以上だった人の受け取れる金額が最も多く、年齢が若くなるにつれ減額され、1986年に20歳未満だった人(1966年4月2日以降生まれの人)は受け取れない仕組みとなっています。
<振替加算の金額>
忘れてはいけない年金の手続き3:亡くなった人がもらわなかった未支給年金の請求
年金をもらっていた人が亡くなると、もちろん、それ以降の年金を遺族がもらい続けてはいけません。黙ってもらい続けていると不正受給となってしまいますから、速やかに死亡の届出をして支給を止める必要があります。
ただし、年金は偶数月に前月と前々月の分がまとめて支給される後払いのシステムですから、亡くなった月の分までは「未支給年金」として、遺族が代わりに受け取る権利を持っています。
例えば、年金をもらっていたAさんが5月に亡くなったとすると、Aさんの遺族は6月に支給される4月分と5月分の年金までは受け取って良い、ということです。なお、ここでいう遺族とは、亡くなった人と生計を共にしていた三親等内の親族のこと。配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の順に未支給年金を受け取る権利があります。
未支給年金をもらいたい場合は、年金事務所に死亡の届出をすると同時に、未支給年金の請求手続きも行わねばなりません。
●未支給年金の請求時に必要な書類
・未支給年金請求書
・亡くなった人の年金手帳・年金証書
・戸籍謄本または法定相続情報一覧図
・亡くなった人の住民票除票
・未支給年金請求者の世帯全員の住民票
・金融機関の通帳やキャッシュカード
請求書や年金手帳・証書のほかに、亡くなった人と請求する人の続柄が分かる書類や、生計を共にしていたことを示す書類が必要です。未支給年金を振り込んでほしい金融機関の通帳やキャッシュカードも忘れずに用意しましょう。
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