人生を豊かに過ごす考え方「DIE WITH ZERO」~基礎編~
注目の人生戦略「DIE WITH ZERO」ってどんなお金の使い方?
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若いうちこそ効果のある「記憶の配当」「幸せの配当」
ビル・パーキンスは「若いうちに経験にお金を使うべき」と説いているが、仮に同じ価格で同じ場所に旅行に行くのであれば、年齢は関係ないのではないだろうか。
「年齢を重ねるごとに体力や身体能力が低下していくため、『いまはお金を貯めて、定年退職したら旅行に行こう』と思っていても、いざ定年を過ぎると『体力もないし体も痛いし、家でゆっくりしていよう』という思考になりかねません。40代以降は前頭葉が萎縮し、好奇心そのものが低下するともいわれているので、思い立ったときに行動に移すことが大切です」
さらに、若いうちに経験することで、「記憶の配当」「幸せの配当」を得ることができるという。
「『記憶の配当』『幸せの配当』というと難しく聞こえますが、金銭的な投資と同じように複利効果が得られるということです。旅行先で得た経験が仕事に活きたり、習い事でできた人脈がどんどん広がっていったりする可能性がありますし、早い段階で経験したことは現役で働いているうちから老後まで長く活かすことができます。大それた自己成長のようなことでなくても、経験による思い出が積み重なるほど幸せを感じ、幸福度は高くなると考えられます」
旅行などのレジャーに限らず、自己投資といわれるような習い事や資格取得に使うのもいい。「いつかやろう」と思っていることを、いまやってみることが大切なのだ。
現役の間から「健康」にお金を使うのも、一種の投資といえるだろう。
「若いうちから健康に投資することで、病気やケガの予防になり、年齢を重ねたときにも身体能力の低下を食い止めることができるでしょう。そうすることで想定よりも長く働けたり、医療費や介護費を抑えたりすることにつながるので、結果的に長い間自分でお金を稼ぎながら、さまざまな経験を積むことができるといえます」
いまのうちにやっておきたい「お金を使う練習」
若い間から経験を積んだほうがいいとはいえ、やみくもにありったけのお金を使えばいいというわけではない。
「病気やケガに見舞われたときのためのお金や今後のライフイベントや老後のためのお金を備えたうえで、経験にもバランスよくお金を使っていくことが重要です。節約しすぎると負担に感じてしまうので、まずは日々の生活費や将来的に必要なお金を確認するところから始めてみましょう」
これまで節約を徹底してきたため、いざお金を使おうとしても、何に使えばいいかわからないという人も多いのではないだろうか。
「お金を使う練習をすることも大切です。自分が何にお金を使ったときに、どの程度の満足感や幸福度を得られるのかということがわかると、お金の使い道が見えてくるはずです。ポイントは、少し贅沢なお金の使い方をしてみること」
外食をするのであれば、リーズナブルなファミリーレストランではなく高級焼肉店にも行ってみる。普段使う時計も、数千円のものではなく数十万円のものを買ってみる。飛行機のビジネスクラスや新幹線のグリーン席を使ってみる。少し頑張れば手が届く範囲の贅沢をしてみるのだ。
「贅沢をした結果、満足度が高いと感じたら、それがあなたにとっての合理的なお金の使い方といえるでしょう。あまり満足できず、無駄遣いと感じるのであれば、そこはお金をかけるべきではないところと判断できます。お金を使った経験が少ないと、老後に派手に使いすぎてしまったり、逆にお金を使うタイミングが読めずに貯め込んでしまったりする可能性があります。お金を使い、慣れていくことも大切なステップです」
漠然とした不安を抱え、ついついお金を貯め込んでしまう人は多いだろう。しかし、それでは物足りない人生になってしまうかもしれない。お金の使い道を考えることが、第一歩となりそうだ。
(取材・文/有竹亮介)