「スキマバイト」「旅先でのお手伝い」「バス運転手のシェア」
観光業が抱える課題「季節過疎」を解消するカギは「人材のスポット採用」
「繁忙期のずれ」を活かしてバス運転手をシェア
「季節過疎」の課題を解消するため、人材のシェアに動き出しているのが沖縄県だ。毎年10~12月にかけての修学旅行シーズンに貸し切りバスの運転手を確保できないという問題が生じていた沖縄県では、同時期が貸し切りバスの閑散期に当たる北海道から運転手を呼び込む「助っ人運転手」という取り組みを始めた。
「もともと県内のバス会社が独自に北海道から運転手を招く取り組みを進めていたのですが、一社だけでは対応し切れなくなったため、令和5年度から沖縄県バス協会が舵を取って進める形になりました。現在は県内のバス会社8社が参加し、令和6年度には北海道から運転手42人、バスガイド19人に来ていただき、修学旅行の未手配バスの問題が解消されました」(沖縄県観光振興課・中村さん)
沖縄と北海道は気候が大きく異なり、繁忙期が重ならないため、運転手を呼び込むことが可能で、雇用にもつなげることができる。ただし、北海道の閑散期に変化が見え始めているという。
「インバウンドの増加もあり、スキーシーズンに入る10~12月に貸し切りバスが求められるケースが増えているようです。そのため、来ていただけた運転手の方々の人数は想定よりも少なかったという現実があります。県内のバス会社からは『助っ人運転手』の継続を望む声が届いているので、北海道以外にも当たっているのですが、繁忙期のずれが少ないため難しい状況です。全国的に人材をシェアできるようなネットワークができると、よりスムーズに人材を確保できるのではないかと感じています」(中村さん)
「季節過疎」の課題を抱えているのは、高山市や沖縄県だけではない。それぞれが他人事とは思わずに、民間のサービスや公的な支援を活用しながら支援し合う形をつくっていくことで、観光地の継続につながっていくのだろう。
(取材・文/有竹亮介)