年金の振込は「偶数月」のみ
年金生活中は銀行口座いくつ持つ?上手な使い分け3つのポイント
提供元:Mocha(モカ)
年金を受け取るようになると、偶数月に年金の振り込みがあります。しかし、公共料金やクレジットカードの引き落としは毎月あるものなので、今まで給料をもらっていた時のような感覚では、お金のやりくりが変わり、難しいと感じるのではないでしょうか。
そんな年金生活のお金の悩みは、銀行口座の使い分けによって解決できます。今回は、年金生活時の銀行口座の管理方法を考えていきましょう。
年金生活の口座のポイント1:目的別に銀行口座を分ける
年金生活では現役時代より収入が限られているため、お金の流れをつかみ、管理していくことがより重要になります。好き勝手にお金を使ってしまうと、本当に大切にしたいことにお金をかけることができなくなってしまいます。
そこで、銀行口座を「使う口座」と「貯める口座」の2つ用意しましょう。用途別に分けて管理しておくと金融資産全体の把握がしやすくなります。
「使う口座」では、生活費用の入出金を管理します。たとえば、年金や給付金、給与など入ってくるものと、現金として引き出すお金や固定費、クレジットカードなどの引き落としなど、出ていくものについて1つの口座にまとめます。
こうすることによって、数か月にわたってお金の動きを見ていくと、最低でも毎月どれくらいの口座残高が必要か見えてきます。2か月に1度の年金の入金に慣れるまでには、試行錯誤があるかもしれません。うっかりすると残高不足で、たとえば生命保険や損害保険の保険料の引き落としができず、契約が失効してしまうといったこともあるので注意が必要です。
銀行口座については、現在利用しているもので構いませんが、新規に作るのであれば、近隣に無料で使えるATMがある銀行や、自宅近くにある銀行、窓口対応がある銀行を選んだ方がよいでしょう。現在は取引や手続きをネットで完結できるような環境が整っていますが、年齢を重ねると、ふと暗証番号を忘れたり、勘違いが多くなったりと、家族に付き添われて窓口対応が必要なケースが増えてきます。また、足腰が不自由になっても自宅から近いと便利ですね。
年金生活の銀行口座のポイント2:余裕資金は貯める口座で管理
使う口座で余裕分があれば、貯蓄用の「貯める口座」に移して増やしていきましょう。普通預金口座にある程度資金がまとまったら、貯める口座に移します。また、今までに蓄えてきたお金も貯める口座に移しておきましょう。
貯める口座の金融機関は、お金を貯めながらも、少しでもお金が増えるところを選ぶのがいいでしょう。そして定期預金や国債などの低リスクの商品を利用します。
定期預金の金利は、ネット銀行の方が高いケースが多くあります。地方銀行でもボーナス時期には金利上乗せのキャンペーンを行っています。また、安易に引き出しをしないようにわざと少し遠くの銀行に口座を作っている人もいます。
貯蓄の目的が異なる場合などは、いくつかに分ける、預入期間を変えるなどの工夫をしておきます。もし、運用する期間に余裕がある場合なら、NISAのつみたて投資枠を活用して「増やす口座」を設けてもよいでしょう。
年金生活の銀行口座のポイント3:認知症や高齢になった時に向けた準備も視野に
年金をもらい始める65歳前後には自立ができており、金銭管理に特に問題はないでしょうが、いつまでも元気で過ごせるとは限りません。認知症や高齢になったときのことも考えて将来設計を立てておきましょう。
後期高齢者と呼ばれる時期になれば、認知症の症状が見られたり、本人の身体が弱って金融機関に出向けなくなったりして、家族の手助けが必要になるかもしれません。こうした場合でも口座の使い分けができていれば、親族間で親の金融資産の全体像が把握できますし、必要であれば金融資産の組み換えを行うなどの対策も行うことができます。
使う口座も貯める口座もできるだけ数を増やさずに、シンプルに管理ができるようにめざしましょう。使っていない口座は管理コストがかかるので、解約しておきます。銀行によっては、2年以上利用していない場合には口座管理料を徴収するところもあります。
実は口座を解約することは、本人にしかできません。相続時には使っていない口座であっても、残高証明書を取ったり、口座を解約したりと金融機関に出向いて手続きをしなければなりません。できるだけ相続手続きを簡単に済ませたいと思えば、銀行口座を最小限の数にしておくことにも目配りが必要です。
まだまだ元気で高齢になった時のことまでは考えが及ばないかもしれません。しかし、年金生活の銀行口座は、高齢期や相続時にまで影響があることを理解して、年金の振り込み口座や口座数などもよく考えておく必要があります。
[執筆:ファイナンシャルプランナー 池田幸代]
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