選択制DCを活用すると「社会保険料」の負担が下がるらしい?

給与・賞与の一部を拠出する「選択制DC」で資産運用するメリットと留意点

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老後の年金や傷病手当金が減る可能性もある…?

将来に向けて備えながら、社会保険料や税金を抑えられる「選択制DC」だが、いくつか注意点があるとのこと。

「拠出した掛金は原則60歳まで引き出すことができないという点は覚えておくべきです。確定拠出年金はあくまで老後資金として備えるものなので、現役の間は引き出せないお金になると理解したうえで、拠出額などを決めましょう」

社会保険料が抑えられるというメリットは、注意点にもなるそう。

「社会保険料が減るということは、将来受け取る老齢厚生年金や健康保険から支給される傷病手当金、雇用保険から支給される失業手当(失業保険の基本手当)、労災保険の各種給付などが減少することと同義だといえます。基本給が下がることで残業代が下がる設計になっているケースもあります。これらは、収めた保険料や支払われた給与額に基づいて計算されるからです。『選択制DC』を利用する場合は、給付額が減るリスクを理解しておく必要があるでしょう」

厚生年金が下がる点が気になる人は多いかもしれないが、傷病手当金や労災の給付は全員が受け取るとは限らない。失業手当も、何年間も支給されるということはないだろう。

「各種給付はいざというときのための大切な備えではありますが、全員が必ず利用するものではなく、利用できる場面も限られています。一方、『選択制DC』で備えた資産は、積み立てて老後に使うことができるものです。また、厚生老齢年金が下がったとしても、その分が消えたわけではなく、『選択制DC』で自分の名義で老後に向けて備えていると考えることもできます。それぞれの制度の仕組みを理解し、思い描く将来像に近付ける制度を活用することが重要です」

もうひとつ、注意したいのが「給与・賞与が減る」という点だ。

「『選択制DC』の掛金の分だけ給与や賞与が減るため、日々の家計やローン返済などの計画はしっかり立てましょう。特に給与から掛金を拠出する場合は、月々の手取り額が減るのと同じなので、その給与額でやりくりできるように生活を見直す必要が出てくるかもしれません。家計への圧迫を避けるため、会社によっては『原則、賞与から拠出』としているところもあります。例えば、毎月3万円拠出するよりも、半年に1回の賞与から18万円拠出すると考えたほうが負担が少なく感じるでしょう。会社が導入している制度内容を確認し、どのような拠出・運用ができるか、検討してみましょう」

留意点もあるが、メリットも大きい「選択制DC」。改めて制度内容を把握したうえで、給与や賞与の額、日々の家計などと照らし合わせ、できる範囲で活用していけるといいだろう。

(取材・文/有竹亮介)

お話を伺った方
川部 紀子
FP・社労士事務所川部商店代表、ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。日本生命保険相互会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・プランニングに携わる。2004年、30歳の時に起業。個人レクチャー・講演の受講者は3万人を超えた。著書に『得する会社員 損する会社員』『今すぐはじめられる NISAとiDeCo』がある。
著者サイト:http://kawabe.jimusho.jp/
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
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