基準地価とは?実勢価格との関係や路線価との違いをわかりやすく解説

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基準地価とは、各都道府県が主体となって公表する土地の価格のことです。実際の数字は、国土交通省や各都道府県のWebサイトで確認できます。

また、基準地価は対象エリアの範囲や公表時期、基準日などの面で公示地価と異なる点がポイントです。そのため、土地の価格を正しく把握するために、公示地価だけでなく基準地価についても理解を深めておかなければなりません。

本記事では、基準地価とはどのような価格なのかを説明した上で、他の指標との違いや上昇要因についても詳しく解説します。

基準地価とは

基準地価とは、毎年9月ごろ(※)に各都道府県が公表する、基準地における1平方メートルあたりの土地の標準価格を指します。基準地とは、各都道府県で選定した場所のことです(全国に約21,000地点所在)。

各都道府県で各地の基準地価を調査することを、「都道府県地価調査」と呼びます。

※2025年度は9月17日に公表(東京都の場合)

基準地価の主な役割

基準地価の担う主な役割は、以下の通りです。

・土地を取引する際の指標とする
・公示地価を補完する
・適正な取引が実施されているかの判断材料にする

各役割について、詳しく解説します。

土地を取引する際の指標とする

土地を取引する際の指標とすることが、基準地価の主な役割です。

対象の土地の価格について基準地価のように目安となる指標があると、売り手も買い手も価格を決めやすくなります。価格高騰を防ぐことにもつながるでしょう。

また、基準地価の推移を確認することで、対象エリアにおける土地価格が上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのかも把握できます。

公示地価を補完する

公示地価を補完することも、基準地価の役割のひとつです。公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が公示する、標準地における1平方メートルあたりの土地の標準価格を指します。

公示地価の対象は都市計画域内に限られるのに対し、基準地価の対象は都市計画区域内・区域外の両方が対象です。基準地価の方が対象とする範囲が広いため、公示地価を補完する指標として使われています。

また、公示地価の基準日が毎年1月1日時点で毎年3月下旬に公表されるのに対し、基準地価の基準日は毎年7月1日時点で公表日は毎年9月下旬です。基準地価は公示地価のおよそ半年後に公表されるため、2つの指標をチェックすることで特定エリアにおける半年ごとの地価変動を把握できます。

公示地価について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

公示地価(公示価格)とは?基準地価との違いもわかりやすく解説

適正な取引が実施されているかの判断材料にする

各都道府県知事が、適切な価格で土地の取引が実施されているのかを判断する際にも、基準地価が用いられています。

国土利用計画法の定めにより、一定面積以上の土地を取引する際には、市町村長を経由して都道府県知事もしくは政令市市長に対して届出なければなりません。土地の投機的取引や地価の高騰を抑制して適正かつ合理的な土地利用の確保を図ることが、届出に関する決まりが定められている理由です。

都道府県知事は、基準地価を基準として、届出のあった取引が適正な価格で実施されているのかを審査します。

基準地価と実勢価格の関係・違い

基準地価と実勢価格の違いとして、価格の決め方が挙げられます。

実勢価格とは、不動産が実際に取引された際の価格のことです。そのため、実勢価格は売り手と買い手の需要と供給によって決まります。

それに対し、基準地価は不動産鑑定士による鑑定評価に基づき、各都道府県が決めている点がポイントです。ただし、実勢価格が決まる過程で、公示地価や基準地価が参考にされることはあります。

基準地価と路線価の違い

基準地価と路線価の主な違いとして、主体・公表時期・基準日・評価方法などが挙げられます。

路線価とは、国税庁が毎年1月1日に公表している(相続税路線価の場合)、路線に面する標準的な宅地1平方メートルあたりの価格のことです。基準地価は各都道府県が公表しているのに対し、路線価は国税庁が公表している点が異なります。

また、基準地価は毎年9月下旬に公表される、7月1日時点における土地の価格であるのに対し、路線価は毎年7月1日に公表される、1月1日時点における宅地の価格です。さらに、路線価は不動産鑑定士による鑑定評価だけでなく、公示地価・基準地価や取引事例も参考にして決められている点も異なります。

路線価について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

路線価とは?調べ方・見方のポイントや土地評価額の計算方法も解説

基準地価の調べ方

基準地価の調べ方として、以下のような方法があります。

・国土交通省のWebサイトを確認する
・各都道府県のWebサイトを確認する

それぞれのやり方について、押さえておきましょう。

国土交通省のWebサイトを確認する

国土交通省のWebサイト「不動産情報ライブラリ」で、基準地価を調べられます。まず、「不動産情報ライブラリ」の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」にアクセスしましょう。

アクセスしたら、「検索条件設定」の欄にある「区分」で、「地価調査」の部分にチェックを入れます。「地価調査」の左隣にある「地価公示」は、公示地価を調べる際にチェックする箇所です。

次に、自分が調べたい「地域(都道府県・市区町村・地名)」「用途区分」「調査年」を入力・選択し、「一覧表示」をクリックします。「検索結果一覧」に表示される「価格」の部分が、対象地点における1平方メートルあたりの基準地価です。

なお、基準地価が公表されるのは9月下旬のため、調べるタイミングによってはその年の価格が表示されない可能性があります。

参考:国土交通省「不動産情報ライブラリ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」

各都道府県のWebサイトを確認する

気になる土地が所在する都道府県のWebサイトにアクセスして、基準地価を調べる方法もあります。

例えば、東京都の基準地価格を知りたい場合は、「東京都基準地価格」のページにアクセスしましょう。ページ内で最新の「東京都基準地価格」をクリックすれば、PDFやExcelなどで価格一覧などを確認できます。

なお、Webサイト内には上昇率(下落率)順位一覧表や平均価格マップなどもアップロードされているため、周辺エリアの傾向をつかむのにも便利です。

参考:東京都「東京都基準地価格」

基準地価の上昇につながりうる主な要因

基準地価は以下のような要因で上昇することがあります。

・人口が流入する
・観光需要が高まる
・再開発が進む

ここで、それぞれ押さえておきましょう。

人口が流入する

人口が増えると戸建住宅・マンション・アパートといった住居に対する需要も高まるため、人口の流入が、基準地価が上昇することがあります。生活していくために今までより高いお金を払ってでも住居を調達しようとする人が増えれば、さらに基準地価も上昇する可能性が高いです。

それに対し、人口が流出して過疎化が進むと、住居に対する需要が減少して基準地価が下落する傾向にあります。

観光需要が高まる

観光需要が高まることで、基準地価が上昇することもあります。観光客が増えることで宿泊施設や商業施設などに対する需要が高まり、基準地価も上昇することが一般的です。

それに対し、観光需要が減少すると、基準地価の下落につながりかねません。例えば、新型コロナウイルスの感染が拡大していた2020年は、訪日客需要が減ったことなどを理由に全国各地で基準地価が下落しました。

再開発が進む

再開発が進むことも、基準地価が上昇する要因のひとつとして挙げられます。一般的に、再開発とは市街地を時代にあった形に作り直したり、改修したりすることです。

再開発が進んで商業施設や複合ビルなどが新たに建築されていくエリアには、人々の関心も集まる傾向にあります。そのため、土地に対する需要が高まり、基準地価が上がる可能性があります。

その他、交通機関が整備されて利便性が高まることも、基準地価が上昇する要因でしょう。

2024年度における基準地価の傾向

国土交通省が公表している「都道府県地価調査結果の概要」によると、2023年7月1日以降の1年間の基準地価について、全用途平均・住宅地・商業地いずれも3年連続で上昇しました。

住宅地の平均変動率を圏域別で見ると、東京圏は3.6%、大阪圏は1.7%、名古屋圏は2.5%上昇しており、上昇幅も拡大しています。また、商業地における平均変動率は、東京圏+7.0%、大阪圏+6.0%、名古屋圏+3.8%です(いずれも上昇幅拡大)。

なお、商業地で最も基準地価が高いのは東京都中央区銀座にある土地で、1平方メートルあたり4,210万円でした(前年比+5.0%)。

基準地価とは各都道府県が公表する指標

基準地価とは、各都道府県が公表する、基準地における1平方メートルあたりの土地の標準価格のことです。対象とするエリアや公表時期・基準日が異なるため、同じく土地の価格を示す公示地価を補完する指標としても用いられます。

基準地価は、人口の流出入や観光需要などによって変動することが一般的です。気になるエリアについて、国土交通省や各都道府県のWebサイトで直近の地価を調べてみてはいかがでしょうか。

参考:国土交通省「都道府県地価調査」
参考:国土交通省「令和6年都道府県地価調査」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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