個人株主の方々の応援を企業の成長につなげる

株式分割を行ったオリエンタルランドが実感する「個人株主増加」の効果

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個人株主の増加とは“ともに走ってくださる方が増える”ということ

株式分割を行ってから2年が経過しようとしていた2025年3月、想定以上の状況になったという。

「先ほど、個人株主の数は2倍ほどになると想定していたと話しましたが、実際には2倍を超えたんです。分割前は20万人ほどだったのですが、2024年に30万人を超え、2025年3月には50万人を超えました。うれしい想定外です」(七釜さん)

「当初の想定より増えたのは、新NISAが大きく影響していると考えています。2024年に新NISAが始まってから、当社の株式を持ってくださる個人株主の方々が明らかに増えました。かつて下がっていた個人株主の比率も、2024年3月末時点で21%に回復し、現在は23%まで増えています」(黒瀬さん)

個人株主数は増える想定だったが、株式分割当初は比率に関してはそこまで上がらなかった。

「分割を行ってからしばらくの間、個人株主の割合はそこまで増えませんでした。しかし、分割を行ったことで個人株主の皆様にも購入していただきやすい土壌ができたことで、徐々に比率も増えてきたのだと感じています」(七釜さん)

また、個人株主の比率が増えることは、株価にもいい影響があるという。その理由は、一般的に機関投資家と個人株主は売買のタイミングが異なるといわれるからだ。機関投資家は株価が上昇しているときに追加投資する「順張り」が多いが、個人株主は株価が下落しているときに購入する「逆張り」を行う人が多いため、双方の売買のバランスで値動きが少なくなり、株価の急騰や急落を抑えやすくなる。

「機関投資家の方々は理論的に投資判断されるので、対話を尽くしても我々にはどうにもできない部分があります。一方、個人株主の皆様は、株価や配当、優待に期待しながら当社を応援してくださる気持ちで保有していただいている方も多く、とても心強いです。我々とともに走っていただいている感覚で、感謝しかありません」(七釜さん)

個人株主の増加に伴い、株主総会の参加者も増えることが予想されたため、現在は会場とライブ配信のハイブリッド型で開催している。2025年度は会場に約1300人、ライブ配信に約1500人の株主が集まったという。

「新たに株主になってくださった方も多いので、パークに関する質問が増えると考えていたのですが、実際は経営に関する質問も増えた印象があります。最近の個人株主の方々は経営視点でも情報を見てくださっているんだと感じます」(黒瀬さん)

「個人株主が増えたら議決権行使率は下がるのではないかと考えていたんですが、実はほとんど下がっていません。株主が増えた分だけ行使してくださる方も増えているのは思いがけないサプライズでした」(七釜さん)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。

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