元サラリーマンFPが考える「お金に困らない夫婦」の特徴 その1
「些細なことも一緒に考える夫婦」は家計に困らない…!?
結婚・出産を通じて家族が増えると、お金について考える機会も多くなる。将来必要になる教育費やマイホームの購入費、老後の生活費などを想像し、漠然とした不安や焦りを感じる人も少なくないだろう。
世のなかには、貯金や資産運用をこつこつと行い、将来必要なお金をしっかり備えている夫婦もいる。どうしたら“こつこつ”ができるのだろうか。
「企業に勤めていた頃は、お金が貯まらない時期もあった」と話すのは、『一度始めたらどんどん貯まる 夫婦貯金 年150万円の法則』(青春出版社)の著者の1級ファイナンシャル・プランニング技能士・磯山裕樹さん。ご自身の経験とお金に困らない夫婦の特徴を伺う。
お金の勉強をしたことで知った「過去の無駄遣い」
かつて旅行会社に勤務していた磯山さんは、修学旅行や社員旅行、留学などの大規模な旅行を企画し、同行する業務を担当していたそう。
「もともと旅行が好きなので、仕事でいろいろな場所に行けるのがめちゃくちゃ楽しかったんです。だから、家庭よりも仕事を優先していた部分がありました。一度、修学旅行で同行した先から、そのまま海外旅行についていって、1カ月ほど家を空けたことがあったんです。その間にまだ小さかった長男が体調を崩してしまい、妻から『帰ってきて』と連絡があったんです。でも、途中で帰るわけにもいかず、すべて終えて帰ったら『子どもと2人で生きていく覚悟がある』という置き手紙が残されていて、これはまずいと思いましたね」(磯山さん・以下同)
妻の本心を知った磯山さんは働き方を見直し、時間や場所に縛られない仕事として保険会社に転職する。
「当時、お金に関してはまったく興味がなかったし、夫婦ともに正社員で収入に困っていなかったこともあり、なんとかなるだろうって感じだったんですよね。保険の知識も当然なかったので、転職して初めてお金の勉強をし始めました」
保険の仕組みや資産運用の方法などを知れば知るほど、保険を売ることよりも顧客のライフプランを一緒に考えていくことに興味を覚えていった。
「保険の営業って、自社の保険商品を売る仕事なんですよね。でも、お金について勉強するほど、保険だけじゃなくて、NISAやiDeCo、不動産投資などの運用で備えられる部分があることを知り、顧客の悩みを解消するには家計全体を整理する必要があるとわかったんです。そうなると保険会社ではやり切れないから、お金の専門家の資格を取って独立するしかないなと」
転職してしばらくするとコロナ禍となり、時間ができたため、1年かけてお金について徹底的に勉強した。100冊以上の書籍を読み、100回以上セミナーに参加し、20人以上のお金の専門家のカウンセリングを受け、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。
現在は基本的に家で仕事をしながら小学校から帰ってくる子どもたちの帰りを待ち、夕方以降は子どもたちと一緒に遊んだり習い事に連れていったりする毎日。
「お金の勉強をして感じるのは、かつての僕は適当にお金を使っていたということです。深く考えずに欲しいものを買って、したいことをしていたから、当然お金は貯まらないし、無駄にお金を使っていたなって思います。家族と話をして、何にお金をかけると幸せなのかという部分を知る必要があったんです。大切なのは、日々の家計管理や金融知識だけではなくて、自分や家族が望む生き方に向き合うことなのかなって思います」
夫婦貯金 年150万円の法則』。


